WEST.重岡大毅、余裕がなかった過去から「ライバル意識を持つことがなくなった」と思えるまで<「ある閉ざされた雪の山荘で」インタビュー>
2024.01.10 08:00
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WEST.の重岡大毅(しげおか・だいき/31)が主演を務める映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が12日より公開。モデルプレスらのインタビューに応じ、映画単独初主演となる本作について語った。登場人物が全員役者の設定にちなみ、共演者から刺激を受けたことやライバルの存在についても質問。「余裕がなかった時期もあった」という過去から「ライバル意識を誰かに対して持つことがなくなった」と思えるようになるまでの考えの変化とは。
東野圭吾原作の「ある閉ざされた雪の山荘で」
本作は、東野圭吾が1992年に発表した同名小説を実写映画化。登場人物が全員役者であり、彼らが挑む新作舞台の主役の座をかけたオーディションの最終選考が、“大雪で外部との接触が断たれた山荘”という架空の密室空間で行われる様を描く。WEST.重岡大毅、演じた久我との共通項は“部外者”
重岡が演じる主人公・久我和幸は、オーディションに参加する俳優の7人の中で唯一、異なる劇団から参加した“部外者”。役作りで重要視した点を聞くと、久我とは“部外者”という点において自身の共通項を見つけたといい、原作からはキャラクター性が異なる主人公を、“重岡ならでは”の表現に落とし込んだ。「オーディションに参加した唯一の“部外者”というところが自分の中で良い取っ掛かりになりました。自分もグループ活動をメインとしている中で、(俳優業など)他の活動を一本でやられている方の中に飛び込んで行くという意味では、“部外者”という言葉がストンと落ちるところがあって。それでも『負けたくない』とか『勝ちたい』とか『自分を出したい』みたいな気持ちはあるので、そのまま役に生かそうと思いました」
WEST.重岡大毅が憧れを抱く存在
久我は、間宮祥太朗、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵が演じる劇団員が所属する劇団「水滸」へ憧れを抱いている売れない役者だが、自身も憧れの存在を重ね合わせて役に挑んだ。「この方法が合っているか分からないけど自分なりに立ち止まって考えたらそういうことなのかな」と控えめに前置きしつつ、自身の役作りの方法について明かす。「久我が劇団『水滸』に入って自分の力を試してみたいという気持ちを抱くくらい憧れの世界を僕自身に置き換えるとどこだろう?と考えて、自分事に近づけていきました。久我がどういう人物かゼロから考え始めたら自分から遠いところにどんどん手を伸ばし始めていくことになる気がするので、それよりも自分事にしていくというかそもそも遠いところに置こうとしないようにします」
そんな重岡の憧れる存在を具体的に聞かれると「音楽の世界には結構そういう存在の方は多いです。正直芸能界に入ることは、ある種そういう憧れの人たちに認められたいところもありますから。サザンオールスターズさんに認められたいなとか。例えば色々なアーティストさんたちと同じ歌番組に出たときに物怖じせずにパフォーマンスができるかとか、そんなことを重ね合わせていましたね」と振り返った。
WEST.重岡大毅にとって芝居とは
「全員役者、全員容疑者」という鮮烈なキャッチコピーのように、8人のキャラクターの個性がそれぞれぶつかり合っているが、重岡が久我の性格を象徴的に表していると思うセリフは「殺し合い」。これは芝居論を語り合うシーンで「芝居とは?」と問われたときの久我の答えだ。「殺し合いとまではいかないけど、戦いや誰が生き残るかという、言わんとしていることはなんとなく分かるんです。俺も若いときはそういうところを通ってきたし、『このオーディションに受からなかったらにっちもさっちも行かないので将来どうしよう』とか、詰まるところ余裕がないんですよね」「今の重岡さんが『芝居とは?』と聞かれたら?」と久我と同じ質問をぶつけられると「生き様です」と即答。「今まで生きてきた過去が前提になっているなと。まだまだ上には上がいるし、『まだ30代じゃん』と言われるかもしれないけど、自分なりに柔軟にやってきて色々なことを経験してきていると、なかなか一言で言いづらくなってくるんですけど上手いこと集約しているのが“生き様”かなと思っています」
WEST.重岡大毅、現場を盛り上げる理由「本当のことを言うと…」
同世代の役者が集まった現場にて、ムードメーカーとして中心で場の雰囲気を作り上げていった。そのことが話題に上がると「それがもう俺のアイドリングなんですよね」と照れ笑いする。「実際はローでも現場にいれるしいることも全然あるんですけど、多分盛り上げていないと変に考えちゃうときがあるんです。そうしていないと仕事モードになりすぎて切り替えが曖昧になって疲れちゃうんです。だから逆にこうやって喋っているときや人と会っているときの方が楽な時ってありませんか?…かっこつけた言い方するとそうなんですけど、本当のことを言うとチャカチャカしているのが好きなだけです(笑)。楽しいんですよ。クラス替えじゃないですけど知らない人が沢山いる中で、皆で喋って居心地が良いクラスの方が良いじゃないですか?俺は明るい現場の方が好きだし、そう思っている人の方が多いと思うので『喋ろうよ』という感じで自分から積極的にコミュニケーションは取っていました。気にしいなところもあるし人見知りなところもちゃんとあるので、(積極的に)行けるときと行けないときはありますけど、今回はもう積極的に行ける現場でした。皆大人やし、ちゃんとコミュニケーションを取っていました。その中でも目立ちやすいタイプらしいですね。声でかいし、声高いし、口でかいし、歯多いし、 関西人やし、早口やし(笑)。今はこんな感じでやっていますけど、いつかどこかの現場で『うるさい』と雷食らうこともあると思うんですけど、まだないですね(笑)」
気取らない言葉からは、ただ無意識に明るく振る舞っているだけではなく、その裏には彼なりの周りへの温かい配慮が感じられた。
逆に演技に集中したいときの切り替えはもっぱら音楽だ。「大事なシーンの前にその曲を聴いて、気持ちに良い感じに火がついてそのままのテンションで行けた成功体験もあります。ライブの前の感じとも似ていて、普段がワッーと周りと喋っているので音楽を聴いていたら戦闘モードだというのも周りにも分かりやすいし、良い塩梅がそこですね。あとはシンプルにアスリートが好きなので、例えば水泳選手とかもレース前に音楽を聴いているのでその憧れもあります(笑)。『めっちゃ泣けるわ、この歌詞が今めっちゃ刺さるわ』という曲がシーンによっても変わるので、自分で作った曲を聴いているときもあればブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)さん、ドリカム(DREAMS COME TRUE)さん、ジュディマリ(JUDY AND MARY)さんなどを聴いているときもあります」
WEST.重岡大毅、実力派キャスト同士の意識「『俺にはこれがある』がある」
登場人物は全員役者でライバルという設定だけに、これだけの同世代キャストが揃う現場も珍しい。当然お互い刺激になることばかりだったようで「本番の前から役作りが始まっていました。(岡山)天音くんはすごく前髪を短くしていて、『群像劇だからこの八角形の中でそれぞれが突出している方が面白いと思った。皆の写真を見て髪型や服装を見てパッツンもありかもという感じで作っていった』と話していて、なるほどと思いましたね」とそれぞれのキャラクターの作り方に驚くことも。一方で「演技バトルやバチバチする部分はなかったか?」という質問には「そんな意識はなかったですね。観てもらったら多分どこかで比べられるところが出てくると思うんですけど、意識としては全くなかったです」と答える。「同世代やから余計比べられやすくなるけど、20代の駆けだしでもないし、30代前後になって皆同世代だからある種比べなくて良い『こいつにはこれがあるよね』『俺にはこれがあるよね』『私にはこれがあるよね』が多分皆あると思うんですよ。だからそもそも比べられる次元に無いかもしれないです。自分の感覚的にはそういうものをちゃんと皆持っているし俺も持っているので特にそういう意識はなかったです」と、それぞれがキャリアを積んだ役者同士だからこそ誇れるものを持っていると胸を張った。
WEST.重岡大毅「ライバル意識を持つことがなくなった」理由
そんな重岡でも「若いときは余裕がなかった」という前述の回答から、ライバル意識を持っていたことや今も意識する存在がいるのか聞くと「今はない」ときっぱり。ライバル意識を持つことがなくなった今の核にあるのは、経験が積み重ねてきた自信だ。「余裕のない時期は皆あると思うし、昔はメンバーとか横並びの人たちに対して『あの仕事良いな、俺も欲しいな、でも俺こんなことできん』とか思うときはありました。(誰かが)テレビドラマが決まったとか、それこそ『良い曲の良いフレーズもらえているな』とか『楽しいところ歌っているな』とか色々な感情がありましたけど、何でもメリットとデメリットがありますから、そういう人がいた方が切磋琢磨できて良い側面もあるかもしれないですけど、今は『負けたくないから頑張ろう』という存在は思い浮かばないですね。自分が好きな自分でいれることをいくつか知っていて、好きな自分の居方みたいのが分かっているから、ライバル意識を誰かに対して持つことがなくなったんだと思います」
重岡大毅、WEST.活動と俳優業の両立を語る
出演作も絶えず多忙を極めるが、WEST.の活動と並行しながらお互いの活動が良い切り替えになっていると語る。「切り替えは音楽業と俳優業と言う感じで、僕の中では芯はやっぱりライブなので、良い感じのバランスになっている気はしていて、例えばお芝居ばかりやっていて大変なときもしんどいときもあるんですけど、そのときは『失敗しても大丈夫、俺にはライブがあるから』と思えるし、ライブで何かあっても『大丈夫、お芝居があるから』と両方でそうやって思えるし、良い言い方で言えばガス抜きになっているし斜に構えているとも言えるけどそれでもなんとか頑張ってやれていると思います」俳優としても着実に立ち位置を築き上げている重岡。「重岡さんに憧れる後輩も沢山出てきていると思うんですが…」と切り出されると「沢山ではないですけど、出てきちゃっているんですよね(笑)。何人か知っているんですけど、おかげでかっこよくいなきゃいけないやんけ(プレッシャー)」と冗談めかしつつも、喜びを隠しきれない表情を見せる。
そんな重岡が30代に向けて成し遂げたいことは?
「中井貴一さんに『40代に目掛けてやっていくのが良いよ』と聞いて『めっちゃ良いこと聞いたな、10年後どうなっていたいかを考えれば良いのか』と思いました。丈(なにわ男子・藤原丈一郎)の舞台を観に行ったときに一緒になって喋る機会があったんですけど、誰に言われるのかですごく響き方が変わるなと。そう考えると31歳なのでまだまだキャピキャピな気持ちなんです(笑)。振り返ったときに20代はなんとか頑張ってこられたかなと思うし、ライブをしているときにずっとこれをやっていてもいい、 これに人生かけてもいいと思うものを見つけたと思ったので、30代をどうしようかなと今考えているところです。仕事で成し遂げたいことはいっぱいありますけど、やっぱり結婚とかもしたいし子供も欲しいし、仕事もプライベートも両方充実させてないと良い人生は歩めないと思っています」
(modelpress編集部)
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』ストーリー
劇団に所属する役者7人に届いた、4日間の合宿で行われる最終オーディションへの招待状。新作舞台の主演を争う最終選考で彼らが“演じる”シナリオは、【大雪で閉ざされた山荘】という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件。出口のない密室で一人、また一人と消えていくメンバーたち。果たしてこれは、フィクションか? それとも本当の連続殺人か?彼らを待ち受ける衝撃の結末とは――
重岡大毅(しげおか・だいき)プロフィール
2008年にドラマで俳優デビューを飾り、2014年には「SHARK〜2nd Season〜」(NTV)で連続ドラマ初主演を果たす。その後も『殿、利息でござる!』(16/中村義洋監督)や『溺れるナイフ』(16/山戸結希監督)、『禁じられた遊び』(23/中田秀夫監督)などに出演したほか、「ごめんね青春!」(14/TBS)、「悲熊」(20/NHK)、「#家族募集します」(21/TBS)、「それってパクリじゃないですか?」(23/NTV)などドラマにも多数出演しており、2023年10月クールの連続ドラマ「単身花日」(EX)では主演を務めた。本作が初の映画単独主演作。
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