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池松壮亮&蒼井優で贈る「日本一嫌われた男のラブストーリー」
「この女は俺が守る!」
2019年9月27日(金)公開の映画『宮本から君へ』で、愛すべきヒーロー・宮本(池松壮亮)が吐き出したセリフは、令和になったいまの時代にはむさ苦しすぎて、正直うざかった。そして、これまた正直、今年一番の映画を観てしまったと内心ワクワクさせられた。
愛する恋人・靖子(蒼井優)のため、絶対勝たなきゃいけないケンカに挑む宮本の姿は、前歯がなくて、血だらけで、ハイカロリーで、ド直球で、愛おしくて、胃もたれする女性がほとんどに違いない。
「だから靖子、お前は綺麗だ‼」
それでも、すべての女性たちへ。この映画が届いてほしいと思った。
■宮本の魅力は「足臭そうじゃないですか」
――池松さん演じる宮本は、金なし、コネなし、勝ち目なし、だけど熱量だけは本当に印象的なキャラクターでした。池松さんは、宮本の魅力をどんな風に理解されていましたか?
池松壮亮さん(以下、池松):宮本ってなんかほら、足臭そうじゃないですか。
――足が臭そう(笑)。それはどういう意味でしょう?
池松:他人からはすごく毛嫌いされるけど、絶対足臭い男のほうがカッコいいと思うんですよ。魅力はそんな感じ。
蒼井優さん(以下、蒼井):ねえ、池松君飲んでた?(笑)
池松:いや、飲んでないです(笑)。
――ははは、たしかに人間臭さとか、全身全霊な部分がすべて“足の臭さ”に詰まっているような感覚はすごくわかります。池松さんは過去のインタビューで「宮本は自分のヒーローだ」と仰ってましたよね。
池松:そうですね。僕は宮本と違って、社会に対してもっともっと平穏に生きてきたし、自分の感情をもっともっと大多数に寄せてきたし、正論に蓋をすることもあった。それは、社会で生きるために。
でも、宮本は自分の中の正論を通すため自分に牙を向けている。まぁ他人にも噛みつきますけど、彼が一貫して一番噛みついているのは「自分」なんですよ。どうしたってこんなに正しい人がほかにいるのか、教えてほしいくらい。
僕はここまでカッコいい人に出会ったことがない。
■女神化されていない「女」な靖子が好き
――一方の蒼井さんが演じたのは、同じく溢れんばかりの熱量を持った、靖子という芯の強すぎる女性でしたよね。蒼井さんは、靖子のどんな部分に魅力を感じていましたか?
蒼井:男性に描かれたキャラクターなのに、女神化されていない、きちんと「女」な部分が好きです。フィクションの女性は、理想の彼女像や奥さん像を幻想で描かれることが多いけど、靖子は2人の男の間でちゃんと揺れ動いたりもする。こんな風に「イイ女」と「ダメな女」の同居しているバランスがすごく好きですね。
靖子は人生一生分のカロリーを2時間に収めたって感じで生きているんですけど、その何千分の一でもお客さんに伝わればいいなって思います。
――「カロリー」というワードが出ましたが、宮本も靖子も、その熱量はお2人でないと成立しなかったのではないかと感じます。撮影中、宮本が池松さんで、靖子が蒼井さんで良かったと思うシーンはそれぞれありますか?
池松:全部です。全部ですけど、ひとつ挙げるとすれば、ごはんを食べながら喋るシーン。口いっぱいに含んで喋るもんだから、もうごはん粒が飛んで飛んで仕方がなくて。蒼井さんだからいいや、と思っていましたけど、あとから考えると女優さんにごはん粒飛ばしちゃダメですよね。ただ、あの瞬間、蒼井さんだから大丈夫だと思えたのはたしかです。
蒼井:そういうこともあったねぇ。私は、靖子がずっと宮本をビンタするシーンですね。池松君は「映るからちゃんと叩いてください」って言ってくれたけど、人をビンタしたことなんてないし。はじめは家の柱とかで練習していたんですけど(笑)。
池松:あっはっは! そうなんだ!
蒼井:ほら、ズレたら悪いじゃないですか。
池松:基本的に蒼井さん、普段そういうシーンは全部やらないんですって。いつも叩いたフリ。なぜかというと昔、役で思いっきりビンタされたのがトラウマらしくて……。
蒼井:みみず腫れになりました(笑)。
池松:『宮本から君へ』のドラマパートにもビンタシーンはあるんですが、実際はしていないんですよね。でも今回は、僕が「どうしても(ビンタを)ください」ってお願いしたんです。そしたら、一発目で鼻血が出るっていう……。
蒼井:必死にビンタしたからね。カットがかかって、池松君を見たら血がポタ、ポタ……、と落ちていました。それはもう結構な鼻血で(笑)。「池松君、ほんっとにごめん、申し訳ない!」って思ったけど、それと同時に「池松君でよかった」と思いましたね。ほかの俳優さんだったらどうなっていたことか。
池松:いやいや、全然大丈夫ですよ。
■「女のひとに向けた映画」の真意
――原作者の新井英樹さんは、「女のひとに向けた映画です」とコメントを寄せられていますよね。でも、女性である私がスクリーンを通して観た“宮本の信じる正論”は、どこか男性寄りのヒーロー軸であったし、女性をターゲットにする映画としては暑苦しすぎる魅力で溢れていました。お2人は、新井さんのコメントの意図をどう解釈しますか?
池松:新井さんはすごく優しい人なんです。自分のまわりにある「声なき声」にとことん耳を傾ける。劇中、靖子は心から傷つく事件に巻き込まれるのですが、彼が言いたかったのは、現実にも靖子のように叫んでいる女性がいるということ。声を上げたい女性たちはたくさんいるはずですし、作品を通じて、それをピックアップしようとしたんだと思います。
蒼井:そうね。私は、女性として「靖子自身が選択していっていること」に共感したかな。
――なるほど。私自身、『宮本から君へ』を見終えた瞬間、スカッとするものがありました。靖子には常に選択権があって、嫌なものは嫌だし、宮本に直してほしいことはとことん直してほしい。これまでの女性像とは違って「あ、そういうの言っていいんだな」って。
蒼井:靖子ってものすごい優しいけど、一方でめちゃくちゃワガママだし、軽いところは軽い。それでいて、重すぎるところは重いっていう、感情の出し方やタイミングを全部自分で決めている女性なんです。
今、さまざまな人の価値観を知りすぎてしまう世の中で、ここまで身勝手に自分のモノサシを作っているのは逆に生きづらいんじゃないかって思うほど。でも「それって悪くなくない?」「ちょっと楽になるんじゃないかなぁ?」って。そんな靖子の生き方が、映画を通じて届けばいいですね。
映画『宮本から君へ』
文具メーカーで働く営業マン宮本浩(池松壮亮)は、笑顔がうまくつくれない、気の利いたお世辞も言えない、なのに、人一倍正義感が強い超不器用な人間。会社の先輩の知り合い、靖子(蒼井優)と恋に落ち、ひとときの幸福が訪れていた。
ある日、営業先の部長、真淵(ピエール瀧)と大野(佐藤二朗)との飲み会に靖子を連れて参加した宮本は、その空回りした情熱から日本酒の一升瓶を飲み干して泥酔。見かねた大野が車で送らせようと呼びつけたのは、ラグビーで鍛えあげられた巨漢の怪物、真淵の息子・拓馬(一ノ瀬ワタル)だった。泥酔する宮本と、宴会を楽しむ靖子。幸せな時間もつかの間、人生最大の試練が2人に立ちはだかろうとしていた……。
金なし、コネなし、勝ち目なし! 究極の愛の試練に立ち向かうべく、愛する人のため、宮本がいま“絶対勝たなきゃいけないケンカ”に挑む!
(取材・文:井田愛莉寿/マイナビウーマン編集部、撮影:須田卓馬)
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