登坂広臣、5年ぶりとなる恋愛映画『雪の華』への出演を決めた理由を語る(C)モデルプレス

<三代目JSB登坂広臣インタビュー>5年ぶり恋愛映画出演を決めた理由明かす 亡きプロデューサーへの思いとは

2019.01.10 06:00

映画『雪の華』(2019年2月1日公開)で、『ホットロード』以来5年ぶりに恋愛映画への出演を果たす登坂広臣(31)が、モデルプレスのインタビューに応じた。今作は、冬ラブソングの名曲、中島美嘉の「雪の華」を、東京とフィンランドを舞台に橋本光二郎監督(『orange-オレンジ-』『羊と鋼の森』など)と脚本家・岡田惠和氏(『8年越しの花嫁 奇跡の実話』「ひよっこ」など)のタッグにより映画化したオリジナルストーリー。登坂は女優でモデルの中条あやみとともに主演を務める。俳優デビュー作となった『ホットロード』では、第38回日本アカデミー賞・新人俳優賞をはじめ多くの新人賞を受賞するなど評価を受けた登坂だが、その後の俳優活動といえばEXILE TRIBEのメンバーらLDH所属の面々が多数出演した「HiGH&LOW」シリーズのみ。そんな彼が今回、『雪の華』の出演を決意した理由とは――?

登坂広臣が5年ぶり恋愛映画出演を決めた理由 亡きプロデューサーへの思いとは…

登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
遡ること3年前、映画『雪の華』の企画が始動した。名曲「雪の華」をラブストーリーに…そう決まった段階から、登坂の起用は制作陣の中で“絶対”だったという。しかし、その思いに反して登坂は俳優業に積極的ではなかった。

「『ホットロード』のときも自分がお芝居の世界にいくなんて1mmも想像していなかったですし、正直なところ、今回のお話をいただいてからも長きに渡ってお断りさせていただいていたんです。ありがたい気持ちはもちろんいっぱいだったんですけど、やっぱり大変な世界ですし厳しい世界でもあるなと肌で感じて。『ホットロード』は僕でやりたいと言ってくださった方々の気持ちに応えるためにお引き受けしたんですが、1回演技の現場を経験したからこそ安易に飛び込めるものではないなと、今回はより一層そういう気持ちが強かったです」。

俳優業への思いは、自身初のソロアリーナツアーでライブビューイングも含めて27万人を動員した「HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 “FULL MOON”」(2018年)のMCでも語っていた。『ホットロード』への出演を何度も断ったこと、新たな分野にチャレンジするよりも三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカルとしてグループをもっと大きくすることが最優先であると考えたこと…主戦場、そしてソロのステージという最も“自分をさらけ出す場所”でそう改めて言葉にした。

登坂広臣(C)モデルプレス
登坂広臣(C)モデルプレス
その気持ちは、「今も変わってない」。それでも今回、出演を決めたのは、あるプロデューサーの存在。2018年5月に他界した芸能事務所「エー・チーム」創業者の小笠原明男さんだ。

「その方に長年、『自分が生きているうちにこの作品を映画化したい』とオファーをいただいていました。自分にこの役をやってもらうことが最後の願いだとおっしゃっていただいたので、その気持ちに応えたいと思ってお引き受けすることにしました。ほかにもこの作品に対して色々な気持ちはありましたけど、その方が命を削ってでもこの作品に携わり、自分に声をかけてくださったことが、“このお話を受けよう”という思いにさせてくれました」。

登坂広臣、中条あやみ(C)2019映画「雪の華」製作委員会
登坂広臣、中条あやみ(C)2019映画「雪の華」製作委員会
小笠原さんの思いを受け、5年ぶりの恋愛映画に臨んだ登坂だったが、残念ながら小笠原さんはその姿をスクリーンで観ることは叶わなかった。

「フィンランドでの撮影が終わって日本に帰ってきて、国内ロケ撮影の合間にお会いしたのが最後になりました。日本編のクランクアップの少し後に亡くなられました。最後にお会いしたときもこの作品のことをすごく気にかけてくださって、改めて自分がこの作品に参加したことを感謝してくださっていました。その思いのために引き受けたのがすべてです」。

「“かっこいい自分”はどうでもいい」変化した俳優観

中条あやみ、登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
中条あやみ、登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
登坂にとって様々な思いが詰まった作品となった映画『雪の華』は、ガラス工芸家を目指すぶっきらぼうだがまっすぐな青年・綿引悠輔(登坂)と、幼い頃から病弱で余命宣告を受けながらも憧れの地・フィンランドに行くことを夢見る平井美雪(中条)の一生に一度の最後の恋を描く物語。

今作では「“かっこいい自分”はどうでもいいと思った」と“役者”としての心構えに変化があったそうで、「普段のアーティスト活動だと自分が作った世界観とか音楽を“こう見せたい”“こうパフォーマンスしたい”という思いがあるんですけど、今回はお芝居をする上で一個人としての“かっこいい自分”を意識することはなかったです。演じるキャラクターがあってその上で物語が進んでいくので、そのことを考えるとそんな余裕もなかったです」と振り返る。

登坂広臣(C)モデルプレス
登坂広臣(C)モデルプレス
それは、キャスト・スタッフへの信頼から。「監督がOK、カメラマンさんがOK、チームがOKと言ってくれているのであれば、僕はモニターチェックもしない。あえて自分がどう映っているか気にしないでやらせてもらいました」。完成した映画で“悠輔としての自分”を初めて観る――「僕は自分を役者だとは思っていないので、完成した作品を観ることにはまだ慣れないです…」と少し照れくさそうだった。

登坂広臣、すべてを注ぎ込み燃え尽きた“集大成”

登坂広臣、中条あやみ(C)2019映画「雪の華」製作委員会
登坂広臣、中条あやみ(C)2019映画「雪の華」製作委員会
登坂の映画出演は、中条との新鮮な組み合せとともに発表時から大きな話題を集めた。俳優としての新たな一歩を感じさせる今作。この作品を経て登坂は一俳優として何を得たのか――。

少し考えた後「ないです(笑)」と答え、「ただ一生懸命やっただけ。自分にはそれしかないです」と常に全力投球の彼らしい言葉で続けた。「役者としての僕の魅力が自分では分かっていないんです。きっと観に来てくださる皆さんには僕の役者としてのイメージはないと思いますし、観に来てくださった皆さんがどう受け取ってくださるかだと思います。グループの看板も、歌手として培ってきたものも置いて臨んでいるので、その姿を純粋に観ていただきたいです」。

登坂広臣(C)モデルプレス
登坂広臣(C)モデルプレス
一見すると洗練された印象を受ける登坂だが、未知なる世界に真っ直ぐに向かっていく姿には、妥協できないがゆえの不器用さも感じさせた。その裏腹さが彼の魅力のひとつとなり、今作で演じた悠輔にも投影されている。今後の俳優活動に期待せずにはいられない作品となったが、本人は「俳優業はこれが最後になりました」と冗談交じりに語る。「言い切って大丈夫ですか?」と尋ねると、「今の気持ち的に。もう燃え尽きました」と引かない。ダメ押しで最後に…「そのくらいすべてを注ぎ込んだということですか?」とさらに質問を投げかけたところ「そういうことが言いたかったんです(笑)」といたずらに笑っていた。

今はまだ走り抜けた充実感の中にいるのかもしれない。燃え尽きるほどにすべてを注ぎ込んだ今作は、“俳優・登坂広臣”の集大成になったのだろう。(modelpress編集部)

映画『雪の華』

公開日:2019年2月1日
キャスト:登坂広臣 中条あやみ 高岡早紀 浜野謙太 箭内夢菜/田辺誠一
主題歌:中島美嘉「雪の華」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監督:橋本光二郎
脚本:岡田惠和
音楽:葉加瀬太郎

登坂広臣、中条あやみ(C)2019映画「雪の華」製作委員会
登坂広臣、中条あやみ(C)2019映画「雪の華」製作委員会
<ストーリー>
余命を宣告された美雪の夢は2つ――1つは両親が出会った<約束の地>フィンランドでオーロラをみること。そしてもう1つは、人生で初めての恋をすること。

中条あやみ、登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
中条あやみ、登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
ある日、ひったくりにあった美雪はガラス工芸家をめざす青年・悠輔に助けられる。悠輔が男手ひとつで兄弟を育てていること、そして働く店が危機になっていると知った美雪は、「私が出します、100万円。その代わり1ヶ月、私の恋人になってください」と、期間限定の恋を持ちかけて――。

中条あやみ、登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
中条あやみ、登坂広臣(C)2019映画「雪の華」製作委員会
かけがえのない出会いが、美雪に一生分の勇気をあたえて、悠輔の人生を鮮やかに彩っていく。東京と<約束の地>フィンランドを舞台に描かれる、一生に一度、運命の恋。

登坂広臣(C)モデルプレス
登坂広臣(C)モデルプレス

登坂広臣(とさか・ひろおみ)プロフィール

三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのヴォーカル。2014年には映画初出演となった「ホットロード」で、第38回日本アカデミー賞、第69回毎日映画コンクール、第39回報知映画賞、第24回日本映画批評家大賞などの各新人俳優賞を受賞し、華々しい俳優デビューを飾った。2019年公開予定の映画「雪の華」では、中条あやみと共に主演を務める。

また、2017年7月からはHIROOMI TOSAKAとしてソロプロジェクトも始動。2018年は、自身初のコンプリート・アルバム『FULL MOON』(ヨミ:フルムーン)(2018年8月8日リリース)を引っさげ、初の全国ソロアリーナツアー「HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 “FULL MOON”」を開催。ライブビューイングも含めて27万人を動員した。
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