<福田雄一監督インタビュー>賀来賢人に橋本環奈…福田組に“常連入り”する役者の共通項は
2018.10.10 07:00
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累計4000万部を超える西森博之氏のヤンキーギャグ漫画を実写化する、日本テレビ系 新日曜ドラマ『今日から俺は!!』(10月14日よる10時30分スタート)。同作の脚本・演出を手がける福田雄一監督(50)がモデルプレスのインタビューに応じた。“福田組”常連のキャストといえばムロツヨシ(42)や佐藤二朗(49)がおなじみだが、今作の主演・三橋貴志役に抜擢された賀来賢人(29)や、早川京子役の橋本環奈(19)をはじめとする若手も“常連入り”し、コメディーの名手のもとで新たな魅力を開花させている。彼らに監督が求めるスキルとは?福田組のキャスティングにスポットを当てて話を聞いた。
賀来賢人に“主演のオーラ”を感じた瞬間
― 今回、賀来賢人さんが主演ということで…満を持して、ですね。
― お2人のタッグはドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』(11)に始まりますが、昨年のドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(17)で賀来さんの“コメディー力”が世間に一気に広まったという印象です。今回の主演抜擢について思い入れをお聞かせいただけますか。
賢人とは本当に長い付き合いになります。彼の初舞台(11年『スマートモテリーマン講座』)を演出したこともあり、思い入れの強い役者さんの1人なんですが、僕は役者さんとなあなあの関係にはならないので、「主役をやってケガするようだったら、やらせないほうがいい」という考えがあって。主役をやらせてあげたいけど、「ちょっと早かったんじゃない?」と思われるくらいだったら、今まで通り脇で楽しくやってもらったほうが濃いものができるはずだと。そんな中で、僕が賢人に“主役をやる人のオーラ”っていうものを確実に感じた瞬間があって。それがちょうどドラマのスタートラインの時に上演していたミュージカル『ヤングフランケンシュタイン』(17年8月~9月、福田監督が演出・上演台本を担当)だったんですけど。
― 小栗旬さん演じる主人公の助手、アイゴール役の賀来さんによる強烈な顔芸は今も脳裏に焼き付いています!
主役は小栗くんですけど、コメディーを担うという点で言うと(ケンプ警部役の)ムロくんが一番バッターでお客さんをグイグイ引っ張って、賢人にパスするっていう構造だったんですよね。要はあのミュージカルで賢人は“笑いの四番バッター”だったわけですけど、それをまぁ見事にやってくれて。観客の皆さんの感想で、ムロくんが面白いのはわかってるし、小栗くんがかっこいいのもわかってるけど、「賀来賢人があんなに面白くて、踊れて、歌えるってことがすごく意外だった」って声がすごく多かったんですね。
初日のカーテンコールで2人ずつ出てくるんですけど、あえてムロくんと賢人を一緒に出したんです(笑)。当然ムロくんは人気なんですけど、僕の感覚としては賢人も負けず劣らずの歓声をもらっていて。その時、賀来賢人にすごくオーラを感じたわけです。だからその日の夜、家に帰ってプロデューサーに「賢人と(組んで)勝負してもいいと思います」というLINEを送りました。
― 主演をやるなら今だという確信があった。
はい。厳しい目線で「いけるんじゃないか」っていう判断をしたっていうことですね。
― 実際に撮影が始まってからの手応えはいかがでしたか?
座長としての責任感や、「自分が主役なんだ」という自覚を持って演じていることがすごく伝わります。今回は『左江内氏』の時みたいなオモシロ一辺倒ではダメなので、面白いところは面白く、しめるところはしめる。そこを彼自身も楽しみながらやっているし、頼りになる主役だと今回すごく感じました。
― “福田組の竜神”に?(※風神雷神=ムロツヨシ&佐藤二朗)
ははは!それはね、ムロくんが言い出したことなんですよ。「3人目の神が…」っていう紹介を『ヤングフランケンシュタイン』の時にしきりにしていたんですけど、その時は僕、正直「認めねぇぞ」と思ってた(笑)。やっぱりムロくんや二朗さんに比べたら全然まだまだだと思ったからそこは乗っかんなかったんだけど、今回主役をすごくしっかり務めているので「いいぞ!」と思ってます(笑)。
今日は何の日?😏
— 「今日から俺は‼️劇場版」絶賛配信&豪華版BOX発売中✨ (@kyoukaraoreha_n) 2018年7月3日
もちろん
賀来賢人29歳の誕生日だ‼️
焦らしてなんていられないぞ💨
福田さんからの竜神認定おめでとう🎊
20代ラスト、暑い夏にしようぜぃ👍
三ちゃん、カッコいい‼️#賀来賢人生誕祭 #賀来賢人#今日から俺は‼︎ #今日俺 pic.twitter.com/t6nyOCTZWT
初の福田組・伊藤健太郎 人間的魅力が役に活きた
― 三橋の相棒、伊藤真司役を演じる伊藤健太郎さんは初の福田組ですね。割と僕はエッジのきいた個性的な役者さんが好きなんですけど、伊藤という役はそういう面白さを出しづらい立ち位置なんですよね。
― 三橋がボケるのに対して、ツッコミ役というか。
ツッコミと言ってもお笑いのテンションじゃないし。それで最初はどう接していこうかなと思ったんですけど、彼自身がいい意味でフランクでしたね。最初から僕にバッチバチに当たってきたから。あいつは最初から「飯連れてってくださいよ!今日、何食わしてくれるんですか」みたいなテンションだった(笑)。
― 壁をブチ壊してきたと(笑)。
僕自身、役に個人の性格やテンションをのせていくタイプなので、普段の接し方が割と大事で。健太郎がカッコつけず、自然体で接してくれたのはありがたかったなと。それで今回、曲がったことが大嫌いで正義感にあふれてて…っていう伊藤の人物像に、(橋本環奈演じる)京ちゃんっていう恋人がいて、彼女の前だけではデレデレになるっていう原作にはない設定を加えたんですけど、カンカン(=橋本)が撮影に入ってくるまでが長かったから、そこで彼的には結構なフラストレーションが溜まっていたみたいで。賢人も太賀もすごいふざけてんのに「なんで俺だけこんなに真面目にやらなきゃいけないんだ!」って(笑)。
― もはや“福田組あるある”ですね(笑)。『銀魂』でシリアスパートを担う役者さんからも同じような声がありました。
「カンカンが来たら伊藤の幅がガッと広がるから」っていうのをずっと言い続けて。実際、来てからの彼はご機嫌でニッコニコでしたね(笑)。彼がよかったのが、そこで正直に言ってくれたっていうことですよね。「こんな真面目にやってていいんすかね?!」って。「いいんだよ!」って(笑)。言わずに溜められるのが一番嫌だから。そこは健太郎が持つ人間的な魅力で、伊藤という役に活かせていると思います。
賀来賢人に橋本環奈…福田組に“常連入り”する役者の共通項は
― フレッシュな顔ぶれが揃う中で、例えば橋本環奈さんは『銀魂』や『斉木楠雄のΨ難』など立て続けに出演され、既に“福田組常連”と言えるかと思います。そのように連続で起用したくなる役者さんに共通する点はありますか?第一の条件として…僕は脚本を書く時に絶対にイメージするものがあるんです。「この台詞はこんな風に言ってくれるんじゃないかな」という風に。それで二朗さんやムロくんをはじめ皆さんが言ってくれるんですが、僕は単純に役者を凌駕するくらい面白いことをできる自信がある(笑)。
― キャストの皆さん口を揃えて「監督が一番面白いことをやるから、それを超えるのが大変だ」と(笑)。
だから「あっ、この役者さんいいな」って思うのは、僕が脚本を書く時にしたイメージを超えてくれた時ですね。超えるっていうのは色んな意味があるんですけど、僕のイメージと全然違うアプローチで来る役者さんがいるんですよ。その時に「あ、そっちのほうがいいかもな」って思わせてくれる役者さんが一番ですね。新井浩文と仕事した時が結構センセーショナルで。『明烏』(15)っていう菅田将暉くん主演の映画で、新井くんがやったのがチンピラの役なんですけど、チンピラと言ったら「オラオラオラァ」ってイキるイメージじゃないですか。セリフもそんな感じだったんですけど、新井くんの撮影初日に何も言わず「とりあえず動きの確認だけ見せてください」みたいな感じでやってもらったら、新井くんはチンピラをめっちゃ“普通に”やるっていう(笑)。
― 普通に。
すごい普通なんですよ。「あ、いただきます」「ごちそうさまです」みたいな(笑)。新井くんも色々考えたんですって。あれこれ考えた挙句、「普通でいこう」って。それこそPKみたいに、上行こうか下行こうか右行こうか…いや真ん中だ!みたいな(笑)。そういう感じでカンカンも、『銀魂』の神楽と『斉木楠雄』の照橋で、僕が思っている以上のことをやってくれた。「カンカンがいると何か面白いことが起きるんじゃないかな」って期待して、またお願いしちゃうっていうのがあるかなと。
― なるほど。
やっぱり「この人が来てくれたら面白くなるかも」っていうのは、自分の想像を超えなかった役者さんには思えないわけです、悲しいことに。でも超える幅はどのくらいでもいいんです。僕が思ってたのより1ミリでも超えてくれたら面白いし、僕の中では「うわ、いい役者さんだな」となる。それは別に、笑いの要素に限らずですよ。
例えば今回、磯村勇斗くんが相良という役を演じてくれたんですけど、僕は悪役が好きだから相良は思い入れのある役で。相良って原作だと顔の表情に結構特徴があって、智司(鈴木伸之)みたいに正々堂々としたワルじゃなくてすごく卑劣な男だから、「ちょっと顔に工夫してもらえますか」って一言だけ言ったんですけど、そこで磯村くんは僕の想像を超える面白さを見せてくれて。そうなると夢中になっちゃうんです。「この役者さんが大好き!」って(笑)。『銀魂』なんてそういう役者さんたちの集まりでしかない。今までに僕の想像を超えてくれた人大集合みたいな(笑)。
だから今回の作品も本当に面白いものになると思うのは、全てのキャストに対してそれを感じているから。1人たりとも「ちょっと難しいかな」っていう人がいない。こんなに幸せなドラマないなと。みんなが持ってくるパワーが違うんですよ。本当にみんな若いし、第一線で活躍している。そうなるといい意味で「我が我が」なんですよ。「俺が一番目立ってやる!」のオンパレード。「俺が一番かっこいい、一番面白い!」って。僕も50になりますけど、そういう意味で若い子のパワーをぶつけられて、いいテンションもらえてるなってすごく思いながら撮影できました。
― 間違いなく将来有望な若手の皆さんの新しい一面を楽しんでいただけると。
磯村くんとか、朝ドラではすごくいい子を演じてたんでしょ?言ってたもん、実家の姉が。「あぁ、私の可愛いヒデくんが(ヤンキー姿で)頑張っちゃって…」って(笑)。でもそれは役者にとってはすごくいいことですよね。そういうのを軒並み楽しんでもらえればと思います。
福田雄一監督、ドラマ作りのポリシー「家族全員で楽しめる作品に」
ドラマを手がける時は一貫して「子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、家族で見てもらえる作品にしたい」という思いがあるという福田監督。そこでかねてより注目していた題材が“ヤンキーもの”だったと語る。時代設定は“ツッパリ”という言葉が全盛期の80年代初頭。原作を忠実に再現したビジュアルが実にキャッチーだ。「“ツッパリ”っていう言葉がガチでヒットしてくるのは、僕とちょっと上か下くらいの世代なので、確実にお父さんお母さん世代になりますよね。一方で今の子供たちからすると、この世界観はもはやファンタジーに近い。『アナ雪』みたいなもんで(笑)。見たこともない格好したお兄ちゃんたちが出てくるわけですよ。短ランや長ランも今は見なくなったから『なんでこのお兄ちゃんの制服は短いの?なんでこっちは長いの?』って。そうやって好奇心旺盛な子どもが、お父さんお母さんに『今の言葉どういう意味?』と聞くことで会話が生まれる。そういうドラマこそ、僕がひたすら目指しているものなんです。聖子ちゃんカットや明菜ヘアも、今の若い子からすれば新鮮。ヤンキーものっていうと(ターゲットが)狭く感じますけど、実は題材としては家族で楽しめる要素があるんじゃないかと思っています」
『左江内氏』ではムロ演じる小池刑事がジャケットをバッサバッサする珍妙な動きを子どもが真似している…と視聴者からの報告が多数。今回もそんなブームが生まれるのか。お茶の間や学校の話題を独占するドラマになることを期待したい。(modelpress編集部)
【Not Sponsored 記事】
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