吉澤嘉代子×でんぱ組.inc相沢梨紗×田中里奈、ドラマチックな日常と恋を語る<モデルプレスインタビュー>
2016.02.18 18:00
さまざまな物語の主人公になりきり独特の世界観を歌う“妄想系”シンガーソングライター・吉澤嘉代子が17日、2ndアルバム『東京絶景』をリリースした。今作では妄想の世界から飛び出した女の子像を表現したという吉澤。今回モデルプレスでは、作品の中で歌われる「東京」「恋愛」といったキーワードをもとに、吉澤、秋葉原発アイドルグループ・でんぱ組.incの相沢梨紗、モデルの田中里奈による座談会を開催。“東京”で輝く彼女たちのルーツ、“恋愛”についてたっぷり語ってもらった。
吉澤と交流があり、楽曲のファンでもある相沢と田中。2人は今回が初対面とあり、やや緊張気味に始まった座談会だが、ゆったりとした雰囲気がどこか似ている3人はすぐに意気投合。ガールズトークや、夢に対する深い話までトークを繰り広げた。
吉澤嘉代子×相沢梨紗×田中里奈の日常がドラマチックにひっくり返る瞬間
― まずは吉澤さん、今回の2枚目のアルバム『東京絶景』は“日常の中の絶景”をテーマにされているんですよね。どんな作品に仕上がりましたか?吉澤:美しくなくても幸せじゃなくても、その人にとって思い入れがあるから、いつもの景色がドラマチックにひっくり返る瞬間を「絶景」と表現しています。これまでは10代の少女の恋愛ドタバタ劇を歌うことが多かったんですけど、妄想の世界から飛び出した女の子像を2作目では描きたいとデビュー前から想定していて、今回それが実現しました。
― 吉澤さんの“日常の絶景”も描かれている?
吉澤:物語の主人公を設けて、その子がどんな性格か細かく設定しながらその世界を切り取っています。どこかで私自身が滲み出ているかもしれないですが、あくまでフィクションの中に現実での感情が揺れ動く瞬間を落としこむことを心がけています。
子供の頃から変身願望が強くて、妄想の中で自分とかけ離れた主人公を疑似体験することで自分のバランスが保っていたんです。自分にとっての救いだった妄想が、今仕事に結びついているのはすごくありがたいですね。
田中:なるほど。私は純粋に嘉代子ちゃんのファンとして今までの作品も全部聴いてきたんだけど、今回のアルバムを聴いて「大人になったね」って思ったの。聴いていて1曲1曲その主人公に感情移入できるのは、嘉代子ちゃんが物語を書くように作っているからなんだね。さらに曲が愛おしくなっちゃう。
相沢:大人っぽいっていうの、すごくわかる!オタク目線で言うと、今までアニメっぽかったのがちょっと実写っぽくなったなって感じ(笑)。
吉澤:本当に(照)?でも今回収録したのは16歳の頃から書き溜めていた曲だから、もともと私の中に持っている要素ではあったんだよね。ただいつこの曲を出せば一番曲が輝けるのか、出すタイミングはすごく考えていました。
東京は憧れの場所?歌手・アイドル・モデル…輝く3人の原点
― アルバムタイトルにもなっている『東京絶景』はどうやって生まれたんですが?吉澤:この曲は、友達が東京で一人暮らしを始めて、泊りで遊びに行った時に感じた東京の景色を描いています。朝ワンルームの白い壁とか下着が干してある感じを見た時に、その子の目を通して東京を感じた気がして。その子にプレゼントしようと思って書いた曲です。
― 「東京はうつくしい」という歌詞が繰り返されているのが印象的でした。
吉澤:「美しい場所だ」と断言したくはなくて「うつくしい」とひらがな表記にしたんです。星の見えない夜の空、明日には忘れてしまう会話とか、関係性の薄い希薄な感じなど、東京のどこか寂しい部分も表現しています。東京を憧れの場所とも卑下したものとも歌いたくなかった。東京にあまりキラキラした印象はないですけど、見えないモノが見える場所だなと思いますね
― 一人暮らしを始めた主人公のドラマチックな瞬間。みなさんにとってのドラマチックな瞬間はいつでしたか?
田中:私は広島から東京に出てきた瞬間ももちろんですど、小学生の頃から絶対先生になると思って生きていたんです。読者モデルは経験の一つくらいの考えで。でも大学4年生の教員採用試験の少し前に、先生と話している中で価値観のズレを感じて…。自分の気持ちが100%じゃないと子どもたちと向き合えないなと思って、「先生にならない」という決断をしました。
その時が1番の転機じゃないかな。そこから読者モデルとしてのお仕事もいい方向へ流れだしました。何年かは先生にならなかった自分を責めてしまっていたけれど、縁があったのはこっちの世界だったのかなって今では思えます。
吉澤:そうだったんだ!里奈ちゃんが先生になりたかったていうのは納得だな~。面倒見もいいし。
田中:うそ?(笑)
相沢:アイドルにも多いけど、誰かの前に立つ、誰かを幸せにしたいっていう人って、先生の資格を持っていたり、先生を目指していた人が多いよね。だから里奈ちゃんが先生になりたかったのは「なるほど!」って感じ。
田中:私は梨紗ちゃんの話に「なるほど!」って感じだよ。メモして帰りたい!(笑)
吉澤:アイドルも先生も人に何か伝えるっていうのは一緒だもんね。私は曲を書くようになったことがドラマチックな瞬間かな。子供の頃からおしゃべりで人に何か伝えるのがすごく苦手で、学校も行かずに飼ってる犬とかウサギを連れて魔女修行をやっていたの。何かになれるかもしれないと思って。
そうして言葉から逃げた先に、詩を書いたりとか物語を書いたり、小説を読み漁ったり…とまた言葉があった。ずっと言葉に執着してきた人生だったけど、曲を書き始めた時に全部が肯定されたような気がして、初めて世の中と繋がれた気がしたんだよね。
相沢:わかる!私も自分のことを話すのがすごく恥ずかしくて苦手。正直でんぱ組.incに入ってからも、レコーディングも恥ずかしかった。何より自分を否定し続けて生きてきてたのに、それを隠してアイドルになったことが一番恥ずかしくて、最初はすごく泣いてました。ステージでも泣いてたな~(笑)。
でもでんぱ組.incで昔の黒歴史を「W.W.D」って曲で歌わなきゃいけなくなった時に、全部人前で吐き出したら、やっと少し落ち着いたというか。もうみんなが知ってるから怖くない!と思えてきました。言葉や、喋ること、歌うことって大事なんだなって改めて感じました。
新しい挑戦をするために…
― 大きな決断や、難しい局面を乗り越えた瞬間がみなさんのドラマチックな瞬間なんですね。この季節は人生の分岐点に立つ人も多いと思いますが、新しいことに挑戦するとき皆さんはどう向き合っていますか?吉澤:私はメジャーでやっている以上、お茶の間に届く歌を歌わなきゃ意味がないと思っています。だから自分の子供時代と同じように生きている子供たちにまで届くように歌おうっていうのが全てのモチベーションになっていますね。
相沢:すごくわかります。私もたくさんの人に歌を届けたい。でもたくさんの人がいる中で、みんな考えが違うのは当たり前だから、なるべくいろんな人の気持を理解したいなとも思っています。本当は自分の世界が好きで内にこもってオタ活していたいんですけど(笑)、誰かを見たり聞いたりして、誰かの気持ちを考えよう、たくさん吸収しようというのは心がけています。
田中:私はすごく不器用なので、何をするにも人の100倍やって初めて人並みにできると思っているんです。だからほかの人が普通にやってることを私は人の100倍頑張る。日々の努力をちょっとずつでも積み重ねて目標にアプローチしたいなと思っています。本当に心配性で自信がないから、これだけやったから大丈夫だと自分を安心させるためでもあるのかな。
相沢:努力ってすごい才能だなって思うよ。続けられなかったり、目の前の嫌なことに文句を言って消化しちゃったりするけど、頑張れるのってすごい才能。
田中:私にとっては辞めるほうが勇気いるなって思うな。辞めたくても辞められないタイプだと思う、私(笑)。でも辞めたいってならないかな。何か続けてたらアップダウンはきっとあるし、いずれは上がるだろうって思ってる。あ!でも、ダイエットとかは全然続かない(笑)。
相沢:うん、続かない(笑)!
吉澤:里奈ちゃんが自分に自信がないっていうのが意外で、すごく魅力的だなって思っちゃった。こんなにキラキラしてるのに。私も自信がないから、ちょっとグッときちゃいましたよ。
ガールズトークも…理想の恋愛は?
― アルバムに収録されている『綺麗』『野暮』は恋愛をテーマに歌われていますよね。皆さんの恋愛についてもお話を伺いたいんですが…相沢:私は2次元の世界で満足して浄化されちゃってるからな~(笑)。ファンの子にもツンデレになっちゃって、握手会やお料理イベントなんかに来てくれる子にもすごい嬉しいのに、男の子っぽくそっけなくしちゃう事もあって、現実で恋愛しても照れ隠しでそっけなくしちゃうんだろうな(笑)。
田中:可愛い(笑)。
相沢:みんなのこと大好きだけど素直に言えないから、ぶりっ子な曲を歌うときに、投げキッスとかして思いっきり可愛いことしてます(笑)!理想の相手は、自分と全然かけ離れている人ってドキドキしちゃうから、ヴァンパイアみたいな人!
田中:(笑)。私は大学生の時に、駅の改札でお金が入らなくてあたふたしている時に、いつも見かける男の子が何も言わずに助けてくれた時が本当にドキドキした!それからちょっと彼を意識しちゃって(照)。さりげない優しさにキュンキュンしちゃった。恋愛には自然体で向き合っているけど、たまにキュンとすることがあると幸せだよね。
吉澤:素敵!私は好きな人と一緒にラジオ番組をやりたいな~。
相沢:何それ可愛い!!
吉澤:2人だけの遊びを2人で発明したいの!
田中:嘉代子ちゃんのライブに初めて行った時も思たけど、やっぱり嘉代子ちゃんはすごい内面が女の子だよね!私が男の子だったら絶対好きになっちゃう。
吉澤:本当に?でも全然女の子じゃなくて、日頃ちょっとときめくことがあってもこれはネタになる!ってフィルターかけて見ちゃう(笑)。
相沢:貪欲!
吉澤:そうなの。それがちょっと悩み。私の描く物語の主人公は妄想だけど、感情の部分は現実世界でたくさん貯めておきたいな。
シンガーソングライター、アイドル、モデルとそれぞれのフィールドでそれぞれの物語を歩んでいる彼女たち。活躍の場は違えども、コンプレックスや悩みと向き合い、誰かのために何かを伝えたい、表現したいと内に秘める思いを語る姿はどこか重なって見えた。日常のなかで抱く様々な思い、ドラマチックな瞬間を、吉澤の頭のなかの主人公を通して描いたアルバム『東京絶景』に是非耳を傾けてもらいたい。(modelpress編集部)[PR] 提供元:日本クラウン株式会社
吉澤嘉代子 2nd ALBUM『東京絶景』
2016年2月17日発売・初回限定盤(CD+DVD)
・通常盤(CD)
<CD>
01. movie
02. ひゅー
03. 胃
04. ガリ
05. ひょうひょう
06. ジャイアンみたい
07. 手品
08. 化粧落とし
09. 綺麗
10. 野暮
11. ユキカ
12. 東京絶景
<DVD>
・綺麗(MUSIC VIDEO)
・ユキカ(MUSIC VIDEO)
・東京絶景(MUSIC VIDEO)
・ジャケット撮影メイキング映像
吉澤嘉代子2016年全国ツアー『絶景ツアー “夢をみているのよ”』
4月9日(土)札幌cube garden(開場17:15/開演18:00)4月16日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM(開場17:15/開演18:00)
4月17日(日)福岡スカラエスパシオ(開場17:15/開演18:00)
4月23日(土)仙台Rensa(開場17:15/開演18:00)
4月27日(水)名古屋市芸術創造センター(開場18:15/開演19:00)
4月29日(金・祝)大阪ビジネスパーク円形ホール(開場16:45/開演17:30)
4月30日(土)東京国際フォーラム ホールC(開場17:00/開演18:00)
吉澤嘉代子(よしざわ・かよこ)プロフィール
1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街育ち。父の影響で井上陽水を聴いて育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年ヤマハ主催のコンテストに出場し、2013年ンディーズmini Album「魔女図鑑」を発売。2014年に「変身少女」でメジャーデビュー、これまでにミニアルバム「幻倶楽部」「秘密公園」フルアルバム「箒星図鑑」を発売。2016年2月に待望の2ndフルアルバム「東京絶景」を発売、4月には東名阪のホールを含む全国ツアー「絶景ツアー“夢をみているのよ”」の開催も決定している。相沢梨紗(あいざわ・りさ)プロフィール
8月2日生まれ、大阪府出身。古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音の6人組アイドルユニットでんぱ組.incのリーダー。キャッチフレーズは2.5次元伝説!声にこだわり、歌やラジオDJとして活躍。ホラーと美少女が大好きな2.5次元に憧れる厨二病女子。特技は妄想とお菓子作り。田中里奈(たなか・りな)プロフィール
1987年2月3日生まれ。広島県出身/身長:158cm/趣味・特技:書道、お料理。趣味は食べ歩き、旅行。青文字系ファッション誌を中心に活躍中のモデル。コーディネートセンス、ヘアスタイルは原宿系のトレンドに敏感な若者たちからカリスマ的な人気を誇る。近年は雑誌のモデルの枠を飛び越えファッションイベントや、企業ブランドのデザインに参加するなど、様々なステージで活動している。
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