能年玲奈「そのまま」がいい―今の胸中を語る「すごい人には、自分から関わっていきたい」
2014.12.20 07:00
views
女優の能年玲奈がモデルプレスのインタビューに応じた。東村アキコ氏の人気コミックを実写映画化した『海月姫(くらげひめ)』(12月27日公開)で主人公の“クラゲオタク”を熱演した能年は、自身について「“演技オタク”でありたい」と願望を語り、一つ一つの役柄への取り組み方、共演者たちとの関わり合い、そこから受けたたくさんの刺激を告白。今年も話題に事欠かなかった彼女が、熱き胸の内を明かしてくれた。
不安になるくらい、演技オタク
イラストレーターを志して上京した主人公・倉下月海(くらしたつきみ)は、大好きなクラゲには惜しみない情熱を捧げるものの、いわゆる“女子力”はゼロに等しい。おさげにすっぴん、メガネ、ジャージという姿で渋谷に繰り出せば、街のおしゃれ女子に指をさされて、いたたまれず逃げ出してしまうほどだ。そんな月海に「割と似てる…。休日はお化粧もしないし、家から出るのも精神的に一苦労なんです(笑)」と強いシンパシーを感じた能年。自身も兵庫県から上京し、約5年が経ったが「渋谷に1人で行くのは、今でもちょっと怖いです」といい「上京したての頃は、家にいる時はずっとクレヨンで絵を描いて、ストレスを発散していました」と内にこもりがちな月海と重ね合わせて、当時を振り返った。自宅では絵に没頭するという点でも月海と似ているが、そのモチーフは可愛らしいクラゲなどではなく、「“画面真っ暗”な絵を描いてました。その時は暗い作品が好きだったから、その世界に浸っていたんだと思います」。休日も演技のことを考えて、その熱をあらゆる方法で発散するのは今も同じ。むしろ「演技オタク」ぶりは加速する一方で「作品を見て面白い演技に触れると、その日は一日中ものまねをしたりします。最近はドラマ『最強のオンナ』の藤山直美さんや、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のベニチオ・デル・トロさん」と熱弁。演技をしていない日が続けば不安に駆られるほどで「今は『海月姫』を見てもらうために頑張っているんですけど、お休みがあって、作品を見ていると『私が出たい!』って思いますね」と知られざる野心を打ち明けた。
その役を、自分が演じる意味
作品ごとに「その役に集中して、どうやれば楽しんでいただけるものになるかを突き詰めていく」作業を繰り返す。今作においては、原作の世界観にとことんこだわるが故に「すごく時間がかかって、終盤はキャストやスタッフのみなさんもヘロヘロで、『これは乗り切れるのか?』という不安の中、撮影していました」と過酷を極めたが、そんな苦労を経験したからこそ「見ていただく人に楽しんでもらうためには、自分も楽しんで打ち込んでいかないと力のある映像にならないというのが改めてわかりました」と学んだことも大きかった。また、個性あふれる俳優陣と演技でぶつかり合う中で、能年玲奈という女優の軸も見えてきた様子。特に今作では、政治家役を演じた平泉成からの言葉が印象的だった。
「平泉さんとじっくりお話する時間があったんですけど、『そのままでいてね』と言われました。『色んな役をやるけれど、別人になることはできないんだ』とおっしゃっていたのが印象に残っています。私も、演技は自分らしい解釈をすることが重要だと考えていて。どんな役を演じたとしても、必ず“自分だった”ということを認識してもらえないと意味がない。自分らしい解釈ができなければ、誰が演じても同じだという意識があったので、その話をしていただいた時に、心にストーンって入ってきました」
そう語る眼差しは驚くほどに力強い。そして、そんな共演者たちとの関わり方にも変化が。「前までは怖くて、共演の方々に話しかけたりできなかったんですけど、最近は勇気が出るようになって、『遊んでください!』とか、言えるようになりました」。そのきっかけは「(『あまちゃん』で共演した)小泉今日子さんに“ミシンデート”に連れて行ってもらって。本当のママみたいに接していただけていると感じた時に、『甘えていいのか!』って思いました。やっぱり『すごい!』って思った人たちには、自分から関わっていきたい。それが悪いことじゃないんだって、気づいたっていうか…」。そうやって、同じ演技を愛する人々と深い関係を築けるようになったことも、女優として、ひとりの人間としての大きな成長につながっているようだ。
失敗してでも、飛び込んでみる
今作で得た、女優としての手応えを聞くと「それは、まだ映画が公開されてないので…」といい「見てくださった方に楽しんでいただけて初めて、その作品の役者が存在できるから。ドキドキしています」と瞳を輝かせる。「来年はもっと、演技をしたい。アクションに挑戦したいです」。迷うことなく語る彼女に、“夢を叶える秘訣”を聞いた。「まず、飛び込むこと。私は、仕事というより『演技をやりたい!』っていう勢いで、何も決まってないのに上京して、本当に考えなしにやってきたんですけど…頑張っていくうちに『こんなに楽しいことがあるんだ!』と気づいたし、そんな私を見て楽しんでもらえることは、すごく幸せなことなんだってわかってきて。それはやっぱり、私が何も考えずに突っ走らなければ気づけなかったことだから、失敗してでも飛び込むことだと思います。もちろん、記憶を消したいってくらい、悔しい思いをすることもある。そういう時は1人で『あーっ!』って叫んで、発散するんです」
クラゲのようにふわふわと透き通っていて、可愛らしい。けれどその奥底では、しっかりとした芯が形作られていた。来年は、私たちをどんな風に楽しませてくれるのだろうか。想像がつかないからこそドキドキして、夢中になってしまうのだろう。(modelpress編集部)
能年玲奈(のうねん れな)
1993年生まれ、兵庫県出身。2006年、第10回ニコラモデルオーディションでグランプリを獲得しデビュー、10年まで専属モデルを務める。第11代「カルピスウォーター」CMキャラクターで一躍脚光を浴びる。映画『告白』(10/中島哲也)で女優デビュー。映画は『カラスの親指』(12/伊藤匡史)、『グッモーエビアン!』(12/山本透)などに出演。テレビドラマでは「高校生レストラン」(11/NTV)、「鍵のかかった部屋」(12/CX)、「サマーレスキュー~天空の診療所~」(12/TBS)などに出演。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13)でテレビドラマ初主演、映画『ホットロード』(14/三木孝浩)で長編映画初主演を務める。第38回エランドール賞新人賞受賞。映画「海月姫」
12月27日(土)全国ロードショー出演:能年玲奈 菅田将暉/池脇千鶴 太田莉菜 馬場園梓(アジアン) 篠原ともえ/片瀬那奈 速水もこみち 平泉成/長谷川博己
監督:川村泰祐
脚本:大野敏哉
ドレスデザイン/スタイリスト:飯嶋久美子
原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」連載)
<ストーリー>
月海は、イラストレーターを志すクラゲオタク女子。小さい頃、亡き母と一緒に見たクラゲのようにひらひらのドレスが似合うお姫様になれる…こともなく、今やすっかり腐った女の子に。男子禁制のアパート “天水館”で、「男を必要としない人生」をモットーとする “尼~ず”たちとオタク道を極めたそれなりに楽しい日々を送っていた。ゆるい日常は、女装美男子と童貞エリートの兄弟の出現によって揺るがされる。さらに、彼女たちの住まいであり心のより所でもある「天水館」=「聖地」が奪われる危機がぼっ発!!彼女たちは聖地を守れるのか?尼~ずはバラバラになってしまうのか?そして、「男を必要としない人生」のゆくえは!?
【Not Sponsored 記事】
関連記事
「インタビュー」カテゴリーの最新記事
-
コロチキ西野の激変ビフォアフが話題 相方の変化にナダルが思うこと「お笑い太ろうな」【関コレ2025 S/Sインタビュー】モデルプレス
-
日向坂46佐々木久美、渡邉美穂の卒業後心境に変化 “初代キャプテン”としての思いも語る【1st写真集「めくる日々」インタビュー】モデルプレス
-
日向坂46佐々木久美“週3ピラティス”で体作り 継続の秘訣とは?理想像はaespaニンニン【1st写真集「めくる日々」インタビュー】モデルプレス
-
“堺雅人の娘役でCM初出演”14歳の藤本唯千夏って?憧れは今田美桜&出口夏希 デビューのきっかけとは【注目の人物】モデルプレス
-
谷原七音「ジュノンボーイ」出場後の変化&芽生えた思いとは ランウェイデビューまでの体作りも明かす【モデルプレスインタビュー】モデルプレス
-
松坂桃李「御上先生」続編に言及 “全幅の信頼”岡田将生と撮影裏で相談していたこととは【インタビューVol.3】モデルプレス
-
堀田真由「見透かされているよう」接見室シーンでのこだわりとは 孤独な戦いの中で嬉しかった松坂桃李からの言葉【「御上先生」インタビュー後編】モデルプレス
-
藤田ニコル「ViVi」モデル加入時から27歳での卒業を意識 新たなスタートで「もう甘えられない」【インタビュー】モデルプレス
-
松坂桃李がプロ魂絶賛した「御上先生」 生徒キャスト 尊敬語る「自分も見習わなきゃ」【インタビューVol.2】モデルプレス