ガールズバンドPIGGY BANKS(ピギーバンクス)、ヴォーカルyokoに訪れた大きな変化とは?「これまでの私だったらありえない」
2017.06.26 19:30
ガールズバンド・PIGGY BANKS(ピギーバンクス/略称“ピギバン”)は2014年に結成。yoko(ヴォーカル)、keme(ギター)、akko(ベース)の3人で2015年から本格的にライブ活動を開始し、多数のロック・フェスに出演している。評価が高まる中、今年6月28日に2ndアルバム「ドゥ シュビドゥバイン」をリリース。今、注目を集めるピギバンの誕生秘話から、歌詞に込めた想いまでをyokoに語ってもらった。
目次
3人の出会いから「PIGGY BANKS」結成まで
― 元は別々で音楽活動をされていましたが、どのようにして出会ったのですか?yoko:最初に出会ったのはベースのakkoちゃんです。確か2009年頃に。バンド仲間の飲み会で、たまたまakkoちゃんが私の右隣に座って、その時から仲良くさせて頂いています。akkoちゃんは当時、ロックバンド「GO!GO!7188」をやっている頃で、私にとっては憧れの先輩という感じでした。akkoちゃんは既に結婚されていて、妊娠のタイミングで地元の鹿児島に行くなど、頻繁に会う機会はありませんでした。それでもメールで連絡し合ったりakkoちゃんが東京に来るときはみんなで会ったりしていました。
― ギターのkemeさんとは?
yoko:kemeちゃんもバンド関係の場所で会いました。kemeちゃんとはすごくウマが合って、「週に何回、会っているんだろう」というくらいに。お互いのライブに遊びに行ったりしていましたね。
― そこからどのようにしてピギバンは結成されたのですか?
yoko:ピギバンを始める前はずっとソロで音楽をやっていたんですが、周りの先輩たちから「バンドをやったほうがいい」とアドバイスを受けていました。それから自分としてもバンドへの思いがどんどん大きくなっていって。ただ、年齢も20代後半でしたし、デビュー前を振り返っても、バンドというものをやったことがなかったんです。そこで「どうやって1歩踏み出せばいいか分からないんだよね」とkemeちゃんに相談したら、彼女が「私でよかったらぜんぜん弾くから、一回遊びでライブをやってみようよ」と言ってくれたんです。そこから、ピギバンは始まりました。
― それからakkoさんも参加されガールズバンドとして活動を開始しましたが、何かこだわりがありましたか?
yoko:今までライブは男性メンバーと一緒にやってきたので、女性で固めるのは新しい試みとしてアリかなと思って。kemeちゃんのライブにakkoちゃんが参加していて、その時akkoちゃんに声を掛けたんです。
― kemeさんとakkoさんの繋がりもあったんですね!どのように誘ったんですか?
yoko:ライブ会場で「akkoちゃん、久しぶりです!」と声をかけました。akkoちゃんは大先輩なんですが、「akkoちゃん、実は私こういうことをやりたくて」と相談したんです。当時、メンバー探しをしっかりやらなきゃという思いが強くて、自分からグイグイ言えてしまっていた時期だったので。
― akkoさんの反応はどうでしたか?
yoko:「1夜限りのパーティバンドになるかもしれないけど、一緒にやってくれない」と頼んだら、「やりたい、面白そう!」と言ってくれたんです。当初はドラムも女性でテスト的にやっていたんですが、テスト4回目くらいの時に「せっかくだから曲を自分たちで作って、リリースという形に持っていきたいよね」という声が出始めました。オリジナルの楽曲もない状態でしたので時間は掛かると思いましたが、楽曲の製作もしつつ、コンスタントにライブを始めるようになりました。
「PIGGY BANKS」メンバー爆笑の初ライブ
― ピギバンがスタートして、周りからの反応はいかがですか?yoko:ピギバンの活動が始まってから「実はこういうことを始めたんです」と、メンバー3人で色々な方に話すようにしました。ちょうどakkoちゃんが「GO!GO!7188」を解散した時期でもあって、「akko、おかえり!」という声をたくさんもらいました。akkoちゃんはとんでもないベーシストとして有名だったので。そこから素敵なイベントに声を掛けて頂いたり、楽曲を提供して頂いたり。色々な人が助けて下さり、ピギバンは動き始めたんです。
― 人の繋がりをすごく感じますね!1夜限りのパーティバンドになる可能性もあったとのことですが、ライブはどんな様子だったのでしょう。
yoko:まだ「PIGGY BANKS」という名前もなかったんですが、私たちの第1回目のライブは、2014年4月の「ROXYPARTY vol.2@渋谷 CLUB QUATTRO」でした。怒髪天、ギターウルフ、ニューロティカ、Large House Satisfactionなど豪華なメンツの中でやらせてもらったのですが、正直そのときの私たちは、各々がぐしゃぐしゃで誰ひとりちゃんと出来てなくて(笑)。でも、とにかくライブが楽しくて、みんな爆笑しながら演奏していました。
― 第1回目ライブ、ぜひ観てみたかったです!
yoko:こんな経験はなかなかなくて、ライブが終わった瞬間にみんなが「楽しかった。次もやろう!」という感じになりました。活動を重ねていくと、どうしても慣れだったり、他の問題も出てくるんですが、そういう時は1回目のライブを思い出すようにしています。
バンドを始めることでyokoに起こった大きな変化
― 「バンドをやった方がいい」とのアドバイスは、yokoさんのどのような点から出て来たと思いますか?yoko:ソロの時はずっとスタジオミュージシャンのメンバーとやっていました。ものすごい技術を持つ本当に上手な人たちと一緒にやらせて頂き、私としては最高に嬉しかったんです。でも、周りの先輩たちから見たときに、私は“優等生のライブ”と映っていたのではないかと思います。「性格的にyokoはもっと違う形のほうが、キラキラするんだろうな」と思ってくれてのアドバイスだと感じます。自分自身も自由にやりたいと思っていたところはありましたし。
― yokoさんのやりたいことが周りの方にも伝わっていたのかもしれませんね。
yoko:先輩たちもいきなりストレートに言うというよりは、フランクに突っ込める打ち上げだったり、お酒が入った席で「yokoは絶対、バンドでしょ」みたいな感じで言われ続けました。
― バンドを始めてみて、変化はありましたか?
yoko:“歌い方”が変わったということがあります。自分ではまったく意識していないのですが、最近すごく言われることのひとつです。ヴォーカルだからというのもあって、「歌というものはリズムだったりピッチをしっかり意識しないといけない」というのが根本にありました。でも、ピギバンではそこまで厳密に考えなくなったといいますか。自分が表現をするときにどこに重点を置くのかという点では大切な要素はたくさんあると思いますが、重点を置くバランスのようなものが自分の中で変わってきました。それが、「歌い方が変わった」と周りの人から言われる要因なのかなと思います。
― とても大きな変化ですね!他にも変わったことはありますか?
yoko:もともと歌しか歌いたくないというタイプでした。小さい頃に習い事としてピアノなどをやってはいたんですが、ライブをするようになってからは楽器を持ってステージに立つということに興味がなくて。「私は歌うから」みたいなスタンスでした。それが突然ギターをやってみようと思って。なぜか30歳になってから練習を始めたんです(笑)。
― それも大きな変化ですね。
yoko:はい。ちゃんと練習を始めたのは2016年1月から。2016年4月には1stアルバムのリリースがあって、夏くらいにakkoちゃんの妊娠が分かって秋冬はお休みしていました。そんな中、ピギバンでライブをやることになって、お客さんからしてもakkoちゃんがいない寂しさがあると思ったんです。そこで私も「何か違うことをやらなきゃ」と思いました。リードギターはkemeちゃんがいるから、私は“ジャガジャーン”だけでもいいからやってみようと思って、ステージにギターを持って立ちました。今までだったら絶対になかったことなので、ピギバンを始めたから起きた変化だと思います(笑)。
新しいピギバンを表現した2ndアルバム
― 前作から1年2ヶ月を経て、いよいよ6月28日に2ndアルバム「ドゥ シュビドゥバイン」がリリースされますね。yoko:製作期間で考えるとピギバンが始まったころからスタートしているので、1年半から2年近くかけて作りました。自分たちの考える「ガールズバンドってこうだったらいいな」というものを集めた1枚になりました。
― どのような作品に仕上がりましたか?
yoko:akkoちゃんがお休みで将来的には戻ってくるという状態だからこそ、ピギバンを長いスパンで考えた場合に「こういう作品があってもいいのではないかな」と思います。経歴を細かくいうと、3人とも違う畑から来ていて、3人とも好きなバンドもいますし、知らないから教え合うこともあります。それぞれがジャンルにこだわらずに、だけど、私たちがステージに立ってライブをやったら「ピギバンだね」と言われるような作品に仕上がっています。
― 前作と比べて変わったところはありますか?
yoko:4曲目の「アナボリック リアクション!?」という曲は、打ち込みも入っているので、前作から聞いてくれているお客さんからすると、「前と変わっちゃったけど、どうしちゃったの?」と思うかもしれません。でも、これはこれでピギバンだと私は思っています。ライブでは打ち込みの音は使わずいきたいので、この曲をライブでどう進化させられるのか、今からリハーサルが楽しみです。
今までは決して書かなかった歌詞
― 今作はすべてyokoさんが作詞を担当していますが、テーマのようなものはあったのでしょうか。yoko:作詞をするときは、曲ごとに物語のようなテーマを決めてから、その物語に色を付けていく感じで作ります。今回もそこは一緒ですね。こういう世界観の歌詞がいいなという感じで作っています。
― 世界観は実際の体験から?
yoko:今まではフィクションの世界で、実際にはありえないような出来事を自分の中で作ってそれを歌詞に入れることが多かったです。歌詞に実体験を反映させることは、ほぼありませんでした。実体験を書くのが照れくさくて、嫌だなと思っていたところもあって。自分では意識していなかったんですが、今作は自分の思いや記憶、高校の時の思い出などを反映して書いていました。
― 高校の時の思い出はどの曲に反映されていますか?
yoko:2曲目の「PVPHS」です。タイトルからして、私が卒業した高校の頭文字になっています(Palos Vades peninsula High School/米ロサンジェルス)。歌詞には、私が当時住んでいた家の前の通りの名前だったり、山の名前だったりをガッツリ入れました。歌詞を書いたというよりは、記憶をたどってイメージを形にしていった感じですね。これまでの私だったらありえない歌詞でした。
― 特に意識せずに、その時の感情を歌詞にしている感じですか?
yoko:そうですね。理由はまったくなくて、いつもその時のモードから作詞をスタートするんです。たまたま今回がそういう感じだったんだと思います。
様々な表現への挑戦
― どれも思い入れがあると思いますが、特にお気に入りの曲はありますか?yoko:やっぱり全部お気に入りなのですが、4曲目の「アナボリック リアクション!?」は今までのピギバンにはない新しいチャレンジでした。私自身もこういったファンクなものは今まで歌ったことがなくて、楽しんで取り組めました。
― 打ち込みの音が入っていると語っていただいた曲ですね。
yoko:はい。あと1曲目の「シュビドゥバイン」はスタンダードなロックンロールですが、歌詞で遊んでみたり“がなり声”をあえて入れてみた部分もあります。1stアルバムから聞いてくれている人からすると、5曲目の「DASH」は「すごくピギバンっぽい」と思ってもらえると思います。
― 今回のアルバムはどんな時に聞いて欲しいですか?
yoko:“このシチュエーションがいい”というのはありません。全体を通してハッピーになれる曲が多いので、すでにハッピーならさらにハッピーになることができるし、ちょっと気分が乗らないときは気持ちを落ち着かせてくれると思います。自由なタイミングで楽しんで頂きたいなと思います。
― そして7月9日から全国9ヶ所(仙台、名古屋、大阪、福岡、熊本、鹿児島、札幌、小樽、東京)を巡る10公演のツアーも始まりますね。
yoko:初めて見る方も足を運んでくださると思いますので、来てくれるお客さんがいかに楽しめるかを工夫して、ピギバンをガッツリ浸透させていきたいと思っています。鹿児島にも行くので、akkoちゃんとお茶もしようと思っています。
― それも楽しみの一つですね!初めて来る方には、どんなふうに楽しんでほしいですか?
yoko:ライブハウス自体にあまり行かないという世代も増えていて、私も最初はそうでした。「怖い場所なんじゃないか」とライブハウスに抵抗がある人も多いと思います。ですが、最初の一歩を踏み出してしまえば、すごく素敵なところなので、あまり気にせず足を運んでもらえればと思います。
ガールズバンドとしてのあり方と周りへの感謝
― 今後はどのような活動をしていきたいですか?yoko:女性メンバーがいるバンドはそうだと思うんですが、赤ちゃんができると、どうしても休まなくてはいけなくなります。赤ちゃんができることはとてもハッピーなことですし、akkoちゃんはお子さんがすでにいるので、もう1人欲しいという話も聞いていました。私もkemeちゃんも、いつどうなるか分かりません。なので、ピギバンが始まったころから3人で、「活動したい、また音楽をやりたいという時に戻ってくるという形で出来たらいいね」と話していました。戻ってきたいと思ったときに戻れるように、ピギバンが動いていけばいいなと思っています。
― 今後の目標はありますか?
yoko:3人とも“いい大人”なので、“絶対的にこれだ!”というよりは、今できることを100%頑張るのみです!
― yokoさんご自身の中で、10年20年と続けていきたいという思いはありますか?
yoko:そうですね。もちろん音楽は好きでやっているので。音楽ができる環境も、有難いことに周りの方々のおかげであると思っています。ずっと続けられたら嬉しいですね。
― それでは最後に、yokoさんが考える“夢を叶える秘訣”を教えて下さい。
yoko:当たり前のことかもしれないですが、自分に正直になることが大切だと思います。また、どんな職業でもがむしゃらに頑張らないと無理だと思います。ただ、1人では何もできないので、周りの方への感謝の気持ちは絶対に持っているべきです。
― ありがとうございました。
PIGGY BANKS(ピギーバンクス)プロフィール
yoko(ヴォーカル)、keme(ギター)、akko(ベース)の3人によるスペシャルガールズバンド。2014年に結成し、様々なライヴやイベントへ出演。2015年に本格的なライヴ活動を開始し、「FUJI ROCK FESTIVAL 2015」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015」「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015」などのフェスへも参加し、注目を集めた。高いライヴパフォーマンスは、他のバンドや関係者からも高い評価を得ている。(modelpress編集部)[PR]提供元:GARURU RECORDS2nd EP 「ドゥ シュビドゥバイン」
<収録曲>1.シュビドゥバイン
2.PVPHS
3.Sweet Dreams
4.アナボリック リアクション!?
5.DASH
発売日:6月28日(水)
¥1,852+税
関連記事
「インタビュー」カテゴリーの最新記事
-
佐野勇斗、朝ドラ高校球児役で「こっそり5、6キロ増量」約120キロまで球速アップ モデルにしたジブリキャラも明かす【「おむすび」インタビューvol.1】モデルプレス
-
GENIC小池竜暉、=LOVE「絶対アイドル辞めないで」作曲担当 制作時から手応え「とんでもない曲になった」【インタビュー】モデルプレス
-
ME:I、AYANEのイメチェンにメンバー絶賛の嵐 結成日のエピソードも明かす【モデルプレスインタビュー】モデルプレス
-
新井順子P「海に眠るダイヤモンド」最終回で注目すべきポイント・次回作の構想に言及【インタビューVol.4】モデルプレス
-
「海に眠るダイヤモンド」土屋太鳳、母になって変化した芝居 監督&プロデューサーが表現力絶賛「すごくハマった」【新井順子PインタビューVol.3】モデルプレス
-
「海に眠るダイヤモンド」杉咲花、役作りはいづみ(宮本信子)を意識している?プロデューサーが回答【新井順子PインタビューVol.2】モデルプレス
-
「海に眠るダイヤモンド」鉄平&朝子の告白シーンは神木隆之介自ら提案 “誰も知らなかった”5分間長回し撮影の裏側【新井順子PインタビューVol.1】モデルプレス
-
ブーム再燃「ラブ and ベリー」20周年で押し出した理由・今後の展開 セガ担当者に直撃【モデルプレスインタビュー】モデルプレス
-
【「あいの里 シーズン2」プロデューサーインタビュー】史上初の出来事・藤田ニコル母の起用理由…制作陣も想定外の連続だった撮影の裏側モデルプレス