

本家本元に聞く「きびだんご」のすべて。簡単再現レシピ、岡山名物になった背景まで
お土産マイスター・嶋田コータローが、全国各地の有名なお土産の魅力に迫る本連載。第3回は、桃太郎でもおなじみの、岡山名物「きびだんご」。本家本元「廣榮堂武田(こうえいどうたけだ)」さんに、商品のこだわりや名物になった背景、おうちで再現できるレシピまでを教えていただきました!
岡山の代表銘菓「きびだんご」【いまさら聞けない国民的菓子vol.3】
岡山県のお土産と聞いて何を思い浮かべますか?多くの方は、昔話・桃太郎に登場するお菓子で有名な「きびだんご」ではないでしょうか。純白で丸い形をした、やわらかいおだんご。岡山県内のお土産売り場どこへ行っても、桃太郎がデザインされた箱に入ったきびだんごを見かけます。
今回は、そんなきびだんごの元祖「廣榮堂武田(こうえいどうたけだ)」のきびだんごをご紹介。岡山名物になった背景、桃太郎との関係性、さらにおうちで再現できるレシピについて、廣榮堂武田の専務取締役である武田宏一さんに教えていただきました。
やわらかな食感、廣榮堂武田の「きびだんご」
明治時代にはすでに岡山名物として知られていた「きびだんご」。廣榮堂武田では、160年以上にわたって、時代に合わせたきびだんご作りがおこなわれています。そんなきびだんごを、まずは3種類ご紹介。
素朴な味わいで一番人気「プレーン」
9個入410円(税込)~
「一番シンプルな昔ながらのきびだんごが、素朴で飽きがこないと言われる方が多いですね」(廣榮堂武田・武田さん)赤ちゃんのほっぺたのようにスベスベで、ぷにっとした手触りです♪ 食感はたんわり(“ちょうどいい塩梅”という意)したやわらかさで、もち生地の絶妙な練り加減を感じさせてくれます。
やさしい甘さで小ぶりサイズなので、パクパクッと一気に食べられますよ。配り用のお土産として便利な個包装タイプも販売されています。 シンプルな味わいに加えて魅力的なのが、パッケージ。桃をイメージしたピンク色に、くっきり描かれた桃太郎の顔。実はこのパッケージには、廣榮堂武田さんの強い想いが込められているんです。このお話は後ほど!
香ばしいオトナの味わい「きなこ」
9個入410円(税込)~
「関東方面からご来店・購入される方では、きな粉味を好まれる方が多いですね」と武田さん。地域によって好みが分かれるのは面白いですね。きな粉の香ばしさを感じる、オトナのきびだんごといった味わい。きびだんごのおいしさを引き立てる程度に、ほどよくきな粉がまぶされているのがポイントです。
地元ジャージー牛乳を使用「みるく」
9個入430円(税込)※みるくは9個入のみ販売
岡山県北の蒜山(ひるぜん)地方のジャージー牛乳が使用されている「みるく」。水の代わりに牛乳を使用して、もち生地を練りあげているため、上記2種類よりも弾力があります。口の中にふわっと広がるミルクの味わいが絶品。ひと味違ったきびだんごを食べてみたい人にオススメです♪
きびだんごの元祖「廣榮堂武田」が語る、誕生秘話と由来
お店やきびだんごは、どのように誕生したのでしょうか?
廣榮堂武田・武田さん(以下、武田):廣榮堂武田は、現在の地(岡山市中区中納言界隈、当時は小橋町)で創業いたしました。1856年(安政3年)のことです。当時はきびだんごのみ製造していたと、伝え聞いております。きびだんごの始まりは、池田藩の筆頭家老・伊木三猿斎忠澄(いぎさんえんさい ただすみ)が、茶道の友人であった武田半蔵(当店の初代店主)にきびだんご作りを依頼したのがきっかけです。
できあがったきびだんごは味に優れており、絶好のお国名物として、池田藩の国印である釘貫(くぎぬき)を商標とすることが許されました。
誕生当時のきびだんごは、どのようなものだったのでしょうか?
武田:基本的な原材料は、砂糖・水あめ・もち粉・きび粉です。使用している糖質(砂糖類)が昔と現在では多少異なりますが、主な原材料はほぼ一緒です。形状については、誕生当時は短冊形で、その後丸形になったという、先々代による文章が弊社に残されています。
気になる桃太郎との関係は?岡山名物への軌跡
江戸時代にお茶請けとして始まった「きびだんご」。筆者がどうしても気になるのは、岡山県と桃太郎の関係性。また、岡山県の名物になったいきさつについても伺いました。きびだんごといえば桃太郎。岡山と桃太郎は何か関係があるのでしょうか?
武田:よく聞かれるのですが、岡山と桃太郎の関係を示す確たる根拠は、実はないのです。一般的に知られているのは、鋳金家(ちゅうきんか)の難波金之助(1897~1973年)が温羅(うら)伝説と絡めて広めたことです。吉備地方(現在の岡山県)に伝わる鬼「温羅」を、吉備津彦命が退治しに行ったという伝説があります。桃太郎を前面に押し出して、きびだんごの販売を始めたのいつでしょうか?
武田:1894(明治27年)年に始まった日清戦争のときです。当店の2代目店主・武田浅次郎が広島の宇品港に帰ってきた兵士や関係者に対し、桃太郎の衣装を身に着けてきびだんごを配り、PRしたんです。また、1904年(明治37年)に始まった日露戦争でも同様のことをおこない、この奇策といえる販売方法が大成功しました。きびだんごが岡山名物になった契機は、山陽鉄道の開通に伴って全国にきびだんごが広まったことでしょうね。開通当時、岡山から西の区間が完成していなかった時期は、岡山が西の最終駅でした。乗降客が必ず寄る駅ということもあり、きびだんごが飛ぶように売れていたと聞いています。 自ら桃太郎に扮してきびだんごを売りに出た2代目店主さん。岡山名物となった始まりには、斬新なアイデアがあったのですね!
その後、廣榮堂武田以外にもきびだんごを作るお店が増え、現在では、岡山県内で約20店が作っているそうです。
鬼も仲間に!? きびだんごの新しいストーリー
記事の前半でご紹介したきびだんごのパッケージは、2018年にリニューアルされたもの。それまでも桃太郎が描かれていましたが、新しいストーリーをもった、より魅力的なものに変化したんです。新しくなったパッケージについて教えてください。
武田:デザインは人気イラストレーターNoritake(ノリタケ)氏、アートディレクションは岡山の建築デザイン事務所「株式会社Cifaka(シファカ)」です。約1年かけて、デザインとコンセプトを練り上げました。Noritake氏の、シンプルかつ特徴あるイラストが大変かわいらしいパッケージとなっています。個包装紙にも桃太郎・キジ・サル・イヌ・鬼が描かれております。
従来の“桃太郎・イヌ・サル・キジvs鬼”という構図ではなく、“融和・平和”といったストーリー性を持たせたのが特徴ですね。今の時代に合ったコンセプトと言えるのではないでしょうか。
元祖直伝!おうちで簡単に作れる「きびだんご」レシピ
「きびだんごの素朴な味わいを自宅でも再現したい!」と思い、武田さんに作り方をお聞きしたところ、快く教えてくださいました!以下は、実際のレシピ解説記事です。元祖直伝のきびだんご、ぜひおやつに作ってみてはいかがでしょうか。
おうちで再現!「廣榮堂武田」直伝きびだんごレシピ
きびだんごの商品情報
賞味期限
プレーン、きなこ、みるく:常温30日購入できる場所や通販情報
岡山市内:廣榮堂武田 岡山中納言店・さんすて岡山店(JR岡山駅内)、岡山天満屋倉敷市内:JR倉敷駅、倉敷天満屋
東京都内:とっとりおかやま新橋館、大野屋商店 武蔵小杉東急スクエア店
上記のほか、岡山空港、吉備サービスエリア(下り線)、大佐サービスエリア(下り線)などで購入できます。(現在、コロナウイルス感染の影響のため、一部販売停止になっている箇所があります)
廣榮堂武田|公式オンラインショップ
廣榮堂武田|公式サイト
後世に残したい岡山名物「きびだんご」
「きびだんごが岡山名物になった背景って何だろう?」という素朴な疑問から始まった、今回の取材。武田さんのお話を伺って、そこには先人のアイデアと近代の交通網の発達があったことを知りました。一世紀以上にわたり、岡山名物として人気を保っているのは、本当にすごいことですよね。これからも、素朴なおいしさが受け継がれていってほしいです。
きびだんごを食べるときには、その歴史もすこし思い出してみてくださいね。※掲載商品の情報は公開時点のものです。店舗によっては取り扱いがない、または販売終了している場合もありますのであらかじめご了承ください。▼いまさら聞けない国民的菓子 バックナンバー
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