薪火で丸ごと焼いた大皿料理は圧巻! 調布の深大寺ガーデンに突如現れた一軒家レストラン『MARUTA』

薪火で丸ごと焼いた大皿料理は圧巻! 皆とワイワイ言いながら分かち合うシェアスタイルの一軒家レストラン

2018.07.10 12:03

ハーブや果樹が育つエディブルガーデンも!新しい食提案をする『Maruta』

JR中央線・三鷹駅、または京王線・調布駅からバスで約15分。バス停「深大寺北町」真ん前の、どっしりとした平屋建ての建物が、こちらの『Maruta』だ。

すぐ近くに、東京都立神代植物公園、古刹(こさつ)・深大寺があり、農地も多く残る、水と緑が豊かなエリア。バス停に降り立つと空の広さに驚き、薪を焚く香りに嗅覚をくすぐられ、きれいに並ぶ薪に見惚れ、店名『Maruta』に誰もが「なるほど」と思うだろう。

中庭にはハーブや果樹が育つ深大寺ガーデンが広がる。ゆくゆくは、お客が収穫した野菜を調理する構想もあり、夏に向けてぐんぐん育っている。緑濃いローズマリーも、調理する直前に摘むだなんて、なんと贅沢なこと!

『Maruta』がある深大寺ガーデンの敷地内には、店の前に広がるエディブルガーデンの他、住宅が建ち真新しいにも関わらず周囲に違和感なくしっとりと調和しているのは、天然素材を使っているからだろうか。

「ここは、会社が使っていた植木畑があった場所です」と、プロデューサーの田丸雄一さん。田丸さんは、東京都多摩市に拠点がある『株式会社グリーン・ワイズ』の代表取締役で、庭づくりや屋上・壁面の特殊緑化を進める事業を展開する中、本社に畑を作るなど、食を通して持続可能な共生社会を考えてきた。その延長に生まれたのが、『Maruta』。

さあ、扉を開けてみよう。

広々と空間でゆっくり時間が過ぎていく、落ち着いた空間

扉を開くと、高い天井の空間、料理人がテキパキ働くキッチンに目を奪われる。が、足元にも注目を。あたたかい土の土間から、素朴なタイル、そして木の床へと進む。足裏から伝わる自然素材の感触を楽しめる。

客席は、最大10名が囲むテーブル2卓、暖炉前にカウンター14席からなる。テーブル(写真上)は、アフリカ産のブビンガ材、5.5mのカウンター(写真下)はパチロバ材で、いずれも計画栽培された存在感が半端ない一枚板だ。

予約は、もちろん1人でも可能。暖炉前のカウンターで、火を眺めながら1人の世界に浸るのもよしだ。

薪は、福島県産。福島は今、日本で最も検査が厳しい。その検査をパスしないと流通できない薪だからこそ安心して使えるのだ。主に、サクラとナラを使用する。

素材は近隣の農園などから仕入れた食材を中心に使用し、鴨節などの調味料まで手作り。薪焼き料理にもうトリコ!

取材時の前菜(写真上)は、約10種類。ラッキョウクリームを使った「鯖のなれ寿司」、ブリオッシュの上に旬のトウモロコシを乗せた「鹿のサラミ」、「ブリのカラスミ」、「自家製真イワシのアンチョビ」、「ベリーとヤマモモのガスパッチョ」など、ひと口サイズながら創意工夫を凝らした料理がずらりと並ぶ。

前菜には、保存食をよく使う。ビーツ、ラディッシュ、赤大根、小タマネギ、メロンなど、旬の一番おいしいタイミングで仕込むピクルスは、自然そのままの色が、カラフル!

前菜に舌鼓を打っていると、パチパチと火の音が弾んでくる。薪をくべるのはシェフの石松一樹さん。石松さんは、オーストラリア・メルボルン市街から車で1時間、自然に囲まれた環境で大規模な有機栽培農園を持つ注目店『Brae』(ブラエ)で働いた経験を生かし、腕を振るう。

すぐ近くの農家で、朝収穫したばかりのアスパラは、炭火と薪火を行ったり来たりしながら、目を離さずに焼き上げる。焼き上げたアスパラは、直径60cmの丸皿に盛られるのだが、石松さんと、スーシェフが2人掛かりで仕上げていく。

「実は、手作りしているフレッシュチーズを食べていただくためのサラダなんです」と、石松さん。生乳とヨーグルト、レンネット(凝乳酵素)を使いキッチンで作るチーズ、ホウレン草のピュレ、1カ月熟成の塩レモン、クルミ+メープルシロップ、ランドクレソンなど、素材を自在に使って皿に描いているようだ。

双方向からシェアできるよう、全方向が正面になるよう仕上げている。「アスパラをはじめ、すべての野菜がすぐ近くの農園から届くもの。お客様がいつも食べ慣れている野菜ほど、違いが際立っておいしさが伝わります」と、石松さんが手ごたえを語る。

チーズを作る際に生まれるホエーは、発酵保存食に使用し、例えばベトナムの麺「フォー」のスープの隠し味としてコクを出す。

メインの「MAKIBI Grill」は、3種から選ぶ。「豚の薪火焼き」「牛肉の薪火焼き」「合鴨の薪火焼き」(写真上)の3種類だ。

主役の合鴨は、合鴨農法の田んぼで、雑草をとるために放たれていた働きものだ。田んぼでの役目を終えた後、健康的に飼育して、石松さんの元へやって来た。弾力のある表面に、ワインとシェリービネガー、ハチミツを繰り返し塗り馴染ませること約1週間。いよいよ、薪火の舞台へと上がり、じっくり焼き上げていく。

ほどよく焼き上がった合鴨は、シェアしやすいように切り分けて、盛り付けられる。

前菜同様、60cmの大皿に、敷地内で採れたスモモのコンフィ、75℃で2週間以上熟成させた黒タマネギ、黒ニンニクのピュレ、ゴボウのフリットを盛り、黒タマネギを作る際に出たエキスを煮詰めたソースをあしらっている。

厳選ワインのマグナムボトルもシェアしてみよう!

土間にある大きな保存庫は、自然派ワインが揃う。ワインをセレクトするのはソムリエの外山博之さんだ。以前に勤めていたペアリングを売りにした代々木上原の『Gris』(グリ)とはまた違うグラスの中での変化をゆっくりと楽しめるワインを、『Maruta』では中心に揃えている。

ん? よく見ると、大きなボトルが数多く並んでいる。マグナムボトルだ!

外山さんにマグナムからおすすめをセレクトしてもらった。左から「オーディンスタール /リースリング ゼクト ブリュット ナチュール」(ドイツ)、「ドメーヌナカジマ / ぺティアンナチュールロゼ '17」(長野県)、フランス・ベルジュラックの「シャトー・レスティニャック / ヴァン・ド・フランス・ブラン'16」。

「マグナムを扱っているレストランは稀で、オープン前から意識してコツコツ集めており、徐々に増やしています」(外山さん)

「食」を通して自然と暮らしがつながるプラットホームに!

食材はできるだけ近い産地から。薪の灰や生ゴミはすべて堆肥(たいひ)にという、キッチンから持続可能な共生社会を考えるスタイルに共感し、シェフに就任した石松さん(写真上)。

「ベースは、フランス料理ですが、ジャンルには縛られていません。この食材はどうしたらおいしく食べていただけるかを考えています」と、静かに語る。

『Maruta』の仕掛け人の田丸さん(写真上)。「『つながる暮らし』をコンセプトに土地の再活用を目指しました。壁で囲わない庭園内に、住宅に加えて飲食店を併設することで遠方からも人々が訪れる。すると、人同士や人と自然がつながる暮らしを実現するプラットホームが生まれます」と語り、この新しい着眼点をカタチにしたのだ。

何も難しいことはない。「何かおいしいものを食べに行こう!」と、『Maruta』に集うのが大切なこと。

火があると、人の気持ちは和むもの。コミュニケーション、出逢い、発見が生まれ、今日も『Maruta』で何かが巻き起こる予感がする。

【メニュー】
▼ランチ
お任せコース(前菜、メインを含む3~4皿) 4,000円
デザート 800円
▼ディナー
お任せコース(メインを含まない約7品) 5,500円
メイン 2,500円
グラスワイン 1,000円〜
クラフトジン 800円〜
ボトルワイン 6,000円〜
マグナムボトル 12,000円〜
※価格は税込
※サービス料込
※子どもは、1名様分のコース料理を召しあがれる方のみOK
※ベビーカーでの入店、ベビーチェアの用意はない
※ディナーの予算は13,000円

Maruta

東京都調布市深大寺北町1-20-1
050-5487-3954(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
水~日
12:00~17:00
<営業時間>昼頃〜日没(ラストオーダーは、閉店の1時間前です)
      時期によって異なりますので、お問い合わせください。
月曜日・火曜日
https://r.gnavi.co.jp/c4nr1de00000/

この記事の筆者:松井一恵(文筆家)

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