ギャル男の第一人者として知られる“ピロム”こと植竹拓氏

「ギャル男絶滅の危機」に警鐘 ギャル男の第一人者が語る「渋谷の変化」とは モデルプレスインタビュー

2013.10.15 17:47

1999年の創刊から渋谷の“ギャル男”カルチャーを牽引してきた男性ファッション雑誌「men's egg」が、12日発売の11月号で休刊となった。モデルプレスは創刊号から約10年間にわたり読者モデルをつとめ、ギャル男の第一人者として知られる“ピロム”こと植竹拓氏(35)へのインタビューを行い、渋谷の街に起こる変化について話を聞いた。

“渋谷のサムライ”ピロムとは

1997年より読者モデルとして活動を開始。渋谷系ファッション誌「egg」「men’s egg」を創刊号から支える元祖ギャル男カリスマ、スーパー高校生としてその名を馳せた。「men’s egg」引退後はDJ、アパレル社長として成り上がりを見せるが、その後会社の業績不振で不渡りを出すなど堕落と激動の人生を送る。近年は渋谷を活性化するイベントの企画や商品開発など、渋谷カルチャーを様々な形で発信。11月2日、17年の半生をつづった初の自伝本「渋谷(ピロム)と呼ばれた男~ギャル男の終焉~」を発売する。

【インタビュー】「ギャル男魂を受け継ぐ」決意を語る

― 渋谷の“ギャル男”ブームを長きにわたり盛り上げてきた「men’s egg」が休刊となりました。この出来事はひとつのカルチャーの終焉とも捉えられますが、今の率直な心境をお聞かせください。

植竹:心にポッカリ穴が空いた感じです。自分の人生と言っても過言では無い雑誌でした。渋谷発信のオリジナルカルチャーだと自負してます。

― 休刊の理由のひとつとして、渋谷に“ギャル男”が少なくなってきたことが挙げられていますが、本当にそうでしょうか?

植竹:「ギャル男」と言う括りでは、収まりきれていないと言うのが実情だと思います。オラオラ系、BITTER系(=ビタ男)等も、元々の派生はギャル男ですからね。そう言う意味では形を変えて街にはいますね。

― 植竹さんは“ギャル男”の第一人者とされていますが、植竹さんが考える“ギャル男”の定義とは?

植竹:肌を焼く。何にでも興味を示すため、各ファッションの良い所取り。夜遊び大好き。目立ちたがり屋。それが自分が考える「ギャル男」だと思います。

― 植竹さんが「men’s egg」の全盛期を支えていた頃。当時の渋谷を今一度振り返るといかがですか?

植竹:とにかくヤンチャな奴が多かった。みんなカラーパンツ履いて、真っ黒で、白髪。毎日渋谷でナンパに合コンを繰り広げてましたね(笑)。その分ガラも悪かったです。現在は「俺が歳だから」と言えばそれまでですが、ナンパしている奴も見ないし、合コンしている奴の話も聞かない。SNS等の発達でネット上のナンパに変わってしまったのかと思います。

ギャル男の第一人者として「men’s egg」の全盛期を支えてきた植竹拓氏
ギャル男の第一人者として「men’s egg」の全盛期を支えてきた植竹拓氏
肌を黒く焼いた“ギャル男”全盛時代の植竹氏
肌を黒く焼いた“ギャル男”全盛時代の植竹氏
30歳で「men’s egg」を引退した当時。スキンヘッドで異彩を放った
30歳で「men’s egg」を引退した当時。スキンヘッドで異彩を放った
― 「このままでは渋谷ギャル男カルチャーの灯りが消えてしまう」という危機感を抱かれているとのことですが、いつ頃からそのような流れを感じましたか?また、衰退するきっかけは何だったと思いますか?

植竹:カルチャーを発信する読者モデル達が、読者モデルと言う名の「プロのモデル」になってしまった事ですかね。ある程度有名になれば、今や読者モデルで飯が食える時代ですからね。モデルがどんどん高い服やアクセサリーを付けだす事で、読者との距離が出来てしまい、遠い存在に見えてしまう。それが衰退のきっかけかと。自分達の時代は普通のバイトしながら「men’s egg」モデルをしていたので、着用しているものもリアルでした。

― 現在の渋谷の街やそこにいる人間に対して、どのようなイメージを抱いていますか?植竹さんが、今の渋谷に求めているものとは?

植竹:今、渋谷にいる子達は格好良いけど、“イケて無い”と思います。中には、熱い志を持っている人間が居るのは知ってますが、絶対数が少ないですよね。自分が渋谷に来た頃の話なんですけど、土日は道玄坂~渋谷駅前が昼間歩行者天国だったんです。歩行者天国へ戻す事で、若い子が再び集まりだして活性化するかと思います。

― 植竹さんにとって渋谷とは?

植竹:多くの人を引き寄せる、魅力的な街です。渋谷を歩けば時間を問わず、必ず知り合いに会いますからね。人の移り変わりも激しい街だと思います。

― 今後、渋谷カルチャーにどのような形で関わっていき、どのようなメッセージを伝えていきますか?具体的な活動があれば教えてください。

植竹:「men’s egg」と言う絶対的ツールがお休みしてしまうので、そのツール役を担うのが自分だと思ってます。まずは自分の存在を様々なメディアを通じて渋谷以外の人に知ってもらい、伝えて行くのが自分の役割です。そして、渋谷の素晴らしさを知って頂き、この街の魅力を感じて頂けたらと思います。

― “ギャル男”カルチャーの再燃はありますか?

植竹:自分が居る限りは勿論です。前述の通り、形を変えて今もその遺伝子はしっかりと受け継がれてます。「men’s eggギャル男魂」を「渋谷の侍」として、10年、20年と受け継いで行きます。

17年の半生をつづった初の自伝本「渋谷(ピロム)と呼ばれた男~ギャル男の終焉~」(鉄人社、2013年11月2日発売)
17年の半生をつづった初の自伝本「渋谷(ピロム)と呼ばれた男~ギャル男の終焉~」(鉄人社、2013年11月2日発売)
― このタイミングで、初の自伝本「渋谷(ピロム)と呼ばれた男~ギャル男の終焉~」を出版することになったきっかけを教えてください。

植竹:実はこの企画、以前「men’s egg」のサイトの「ギャル男~社長へ」というコンテンツで書いていました。しかし、途中から自分の会社が傾き、一時更新がストップしました(笑)。本来ならタイトル通り、成り上がって終了の予定が、奈落の底へ落ちてしまいまして…。そこへ今の事務所の方が出版のお話を持ってきてくれて、実現いたしました。ちょうど原稿を書き終えた頃、「men’s egg休刊」の話を編集長から聞きまして、自分で言うのもなんですが、「神掛かっているな」と思いました。このタイミングでの出版は俺の宿命かもしれません。
 
― 書籍をどのような人に読んでほしいですか?

植竹:今現在、心が折れそうな人達に読んでほしいですね。この書籍では、何度も何度もピンチに陥った経験を記しています。「そこをどう乗り越えてきたのか?」を感じて頂けたら光栄です。心さえ折れなければ「夢は続くんだ」って感じてほしいです。当たり前で恐縮ですが、同世代の28歳前後~35歳前後の方々が読めば、確実に青春が蘇り、テンションが上がる内容です(笑)。

― 最後に、夢を持った若者へメッセージをお願いします。

植竹:「勝たなくて良い」と思います。自分自身も勝ちに行ってたらとっくのとうに居なくなっていた存在です。俺の場合は、チャンピオン候補が皆居なくなってしまい、今がある感じです(笑)。とにかく、その場に居続ける、やり続ける事が大切で最大の武器になります。「ローマは一日にして成らず」です。

― ありがとうございました。

「有吉ジャポン」で30分特集

「men’s egg」休刊のニュースが発表された際には、「植竹拓」の名前がYahoo!急上昇ワードに踊り出るなど、デビューから15年経った今でも存在感を放つ植竹氏。11月1日24時20分放送のTBS系「有吉ジャポン」では30分特集が組まれ、植竹氏自ら「渋谷の今」を語る。(モデルプレス)

植竹拓(うえたけひろむ)プロフィール

生年月日:1978年8月20日
血液型:A型
出身地:埼玉県
身長:166cm・6頭身
ステータス:無類のラーメン好き
公式ブログ:http://ameblo.jp/peace-on-mars/
公式facebook:http://www.facebook.com/uetake.hiromu
公式Twitter:@HIROMU0820
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