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21年春夏ミラノ・コレクション 生活に溶け込む様子をデジタル配信
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21年春夏ミラノ・コレクションの動画配信では、デジタルならではの強みを生かした演出が目を引く。さまざまな都市や空間を行き来する動画では、リアルなファッションショーでは表現しづらい、生活に溶け込む様子が描かれている。トレンドは白やクリーン、ダスティーカラー。淡いパープルも浮上している。
(小笠原拓郎、青木規子、写真はブランド提供)
ヴェルサーチェは、海底に沈んだ遺跡のような空間をしつらえた。そこに登場するのはマルチカラーのストライプドレスやセットアップスタイル。水着のようなブラトップをさまざまなアイテムと組み合わせる。ショートパンツのスーツスタイルにブラトップを合わせたり、フレアのミニスカートと合わせたり。バスト部分をグラフィカルに切り替えたセーターもある。マルチカラーに続くのはプリーツで縦のラインを強調したドレス。直線的なミニドレスや膝丈ドレスのほか、プリーツに斜めラッフルを飾って動きを作る。マーメイドスカートとともに、ヘムラインにフリルを飾ったディテールも軽やかに揺れる。鮮やかなヒトデやホタテ貝のプリントをのせたドレスたちがキラキラと輝く。
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MM6メゾン・マルジェラから届いた招待状はシルバーの缶詰。それを開けると中には一本の麻ひもが入っている。ミラノ・コレクションに合わせてデジタルで見せた新作は、MM6らしいギミックの利いたアイテムが揃う。ブルージーンズはカットオフしてミニスカートを重ねたようなアイテムに、トレンチコートはウエストでカットしてショート丈のジャケットとスカートの二つのアイテムにしてしまう。四角い布を背中につけたトップは、その四角い布を広げると風景がプリントされている。背景を作って撮影できる〝インスタ映え〟する一着だ。ロックダウンで家にいる時期が多かったためか、家具からイメージしたアイテムも目立つ。白い布をかぶせた椅子からヒントを得たベアトップドレス、音響スピーカーの穴からイメージしてドットのブラウスやドレスに仕立てた。
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マルニは、「マルニフェスト」と題して、さまざまな都市に住むいろんな人々に新作を着せた。動画は各都市をZoomでつないでいるかのような画面から始まった。スーパーで買い物をする女の子はTシャツにマルチボーダーのタンクドレスを重ね、アパートではドラッグクイーンがグラフィティーを描いたコートを羽織ってピアノを弾く。チュチュをたっぷりと重ねたフィット&フレアドレスの女性は、車に乗って夜道を走る。大胆に手書きした花柄やタイポグラフィーがパンキッシュなムードをプラスする。モデルの人種や性別はいろいろ。それぞれの生活に新作が溶け込む様子を表現した。
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リビングにサンルーム、書斎など、トッズはミラノにある邸宅の部屋を行き来しながら新作を見せた。アウトドアの要素を取り入れたノンシャランな服を、生活の中に溶け込ませた。ゆったりとしたシェープのジャケットはウエストをひもで縛り、ジレはノースリーブトップとして素肌に羽織る。ボトムは膝下丈のレザースカートやオーバーサイズのパンツ。パープルとピンクや朱赤の色合わせが、ビンテージっぽいムードを醸し出す。メンズもきれいな色のフィールドジャケットがポイント。クリエイティブディレクターのヴァルター・キアッポーニが描く優雅でカジュアルなライフスタイルが映像になった。
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エンポリオ・アルマーニはモダンなビルを舞台に、ニュートラルカラーの新作を見せた。ルックは細身でいつもよりシンプル。レディスは深Vネックのトップにテーパードパンツ、落ち感のある生地のベルテッドコート、メンズはスリーブレスジャケットとパンツのセットアップなどが滑らかに揺れる。透け感や光沢など独自のテクスチャーに焦点を当て、生地を通して無重力の感じを強調した。色は白やライトグレー、ダークトーン。色もテクスチャーも無機質なビルに溶け込んで見える。モダンでスタイリッシュなイメージ。
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ディースクエアードがデジタル配信した新作は、フェティッシュな要素を取り入れたスキニーなスタイル。ぴったりタイトなドレスは、胸元のスラッシュや深いスリットから肌をのぞかせる。クロップトトップやレースのキャミソールドレスには、極太のミリタリーパンツやワークパンツ。セクシーなムードとカジュアルな定番アイテムを重ねていく。ブランドらしい要素は抑えつつ、黒×白のシンプルなスタイルに特化した。
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MSGMは、新作を身にまとったモデル一人ひとりにスポットを当てた。自己紹介の後、自身の生い立ちや人種について語り、歌い踊る。デジタルの特性を生かして、着る人それぞれの個性に着目しようという試み。服はMSGMらしく明るく若々しい。タンクトップにオフショルダーのフレアドレスを重ね、ごついサイドゴアブーツを履いて足を鳴らす。鮮やかなカラーパレットでフレッシュに彩った。
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