一週間はなぜ7日? 脳の限界「マジカルナンバー7」から考える、心地よい1週間の長さ【脳科学者が解説】
【脳科学者が解説】なぜ一週間は7日なのか? その理由は天体の動きだけでなく、人間の脳の仕組み「マジカルナンバー7」にあるかもしれません。1年や1カ月の由来から、短期記憶の限界が社会構造に与えた影響までを考察します。
私たちが過ごす時間には、「年」「月」「週」「日」といった区切りがあります。1年は12カ月、1カ月は28~31日、そして一週間は7日です。しかし改めて考えると、どうしてこのように区切られているのでしょうか。
私たちが生きる「時間」の区切りと天体の深い関係
私は中学生の頃、こうした時間の区切りの起源について不思議に思い、自分なりに思考を巡らせていました。答えにたどり着いたのは、学校の理科で天体について学んだときです。「昔の人は、空を見上げたときに見える太陽や月の動きを基準に決めたのではないか」と直感したのです。後に文献で調べてみると、その推測は正解でした。
・1年:春夏秋冬が一周する周期。地球が太陽の周りを一周する「公転」にかかる時間です。
・1カ月:漢字に「月」とある通り、月の満ち欠けを反映しています。月が地球の衛星として、地球の周りを一周する周期がベースです。地球が太陽を一周する間に月は約12回公転するため、1年は12カ月となりました。
・1日:漢字の「日」が示す通り、太陽(日の光)の動きに基づいています。天動説が信じられていた時代の人は、「太陽が動いている」と考えたわけですが、実際には地球が自転することで太陽の位置が変わるわけです(=地動説)。この自転1回分の周期が1日です。
地球はコマのように自転しながら、太陽の周りを公転しています。公転する間に約365回自転するため、「1年=365日」という関係が成り立っているのです。
なぜ「一週間」だけは天体の動きで説明できないのか?
このように「年・月・日」は、太陽と月と地球という天体の動きから説明がつきます。しかし、ここで1つの疑問が浮かびます。「週」とは一体何なのでしょうか。なぜ、中途半端にも思える「7日」という単位が採用されているのでしょうか。こればかりは、単純な天体の知識だけでは説明しきれません。
私は大学院に進学したとき、脳の研究、特に「記憶のメカニズム」に興味を持ち、研究テーマに選びました。現在は「記憶障害を中心とした認知症の治療に役立つ薬をつくる」という研究を続けています。その研究の過程で、「一週間=7日」という定義は、実は私たちの脳の働きと密接に関係しているのではないかという仮説に至りました。
私たちは日中、仕事や勉強に励み、夜は眠って休息を取ります。このサイクルを休みなく、毎日ひたすら繰り返し続けるのは、つらくないでしょうか。心身ともに負担が大きく、数日働けば、日中も休める「完全休息日」が欲しくなるのが自然な欲求です。その一区切りとして、「7日」という数字は非常に理にかなっているのです。
脳の限界「マジカルナンバー7」が社会のリズムをつくった?
月が地球の周りを一周する1カ月は約28~30日ですが、この期間を無休で活動し続けるのは長過ぎます。半分の14~15日ではどうでしょうか? まだ長くてつらいと感じるかもしれません。それではさらにその半分に分けて「約7日」にすると、どうでしょうか? 何となくしっくり感じる人が多いのではと思います。実は「何となくよい」と感じるこの「7」という数字は、脳科学において非常に重要な意味を持っているのです。
人間の脳が瞬時に把握し、短期的に記憶できる情報の容量(キャパシティー)は「7前後」と言われています。「7」という数は、それなりに多く、かつ私たちの脳が一度に把握できる、ちょうどよい数で、「マジカルナンバー7」という言葉もあります。
・登場人物におけるマジカルナンバー7の法則:物語の登場人物は、2~3人では単純過ぎて退屈ですが、10人を超えると把握しきれず混乱を招きます。「7人」前後は、多様性がありつつも脳が一度に把握できる絶妙な数と考えられています
・曜日の割り当てにおけるマジカルナンバー7の法則:曜日には、日・月・火・水・木・金・土と7つの天体が割り当てられています。これも、人間の脳にとって認識しやすいボリュームだったからこそ定着したのかもしれません
1カ月を分割して「一週間」という単位をつくる際、14日でも8日でも3日でもなく「7日」が選ばれたのは、私たちの脳がストレスなく一度に把握できる限界値だったからではないでしょうか? これは脳科学者としての私の仮説です。
もちろん、これは1つの考察に過ぎません。しかし、社会のリズムが私たちの脳の構造に根ざしていると考えると、時間の捉え方も少し変わってくるのではないでしょうか。皆さんはどう考えますか?
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
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