「嫁が仕切るな」と段取りを覆し続けた義母→当日のトラブルで頼ってきた一言
「任せる」と言われて始めた準備
任されたのが嬉しくて、私は1ヶ月前から動き始めました。親戚は総勢15名。料理の品数、出す順番、飲み物の数、座る席まで紙に書き出し、表にしてまとめました。仕事の合間を縫って、何度も書き直しました。
完成した表を義実家に持っていき、義母にお見せした夜のことです。義母は表を一通り眺めると、ひとこと言いました。「やっぱりこうしましょう」そう言って、私の段取りを上書きするように、義母自身のやり方を書き加えていったのです。
「嫁が仕切るな」という空気
それから10日のあいだに、義母は3回、私の段取りを変えました。料理の品数、招く時間、座る位置。そのたびに私は仕事帰りに義実家へ向かい、最初から書き直していました。
「嫁が仕切るな、なんて言いたいわけじゃないのよ。でも、こういうのは長年やってきた私のほうが、ね?」義母はそう繰り返しました。私は最後には自分の表を引っ込めて、義母の指示通りに当日を迎えることにしたのです。心の中では、もしものときのためにと、もう一冊だけ自分の段取り表を引き出しの奥に残しておきました。
揚げ物の油がはねた瞬間
当日、午前11時。予定より早く親戚が到着し始めました。義母が招待時間を伝えていた相手と、私が確認していた相手とで、時間がずれていたのです。
料理は半分しか出来上がっていません。さらに、義母が揚げ物をしていた台所で油がはね、義母の手にかかりました。軽い火傷でしたが、義母はそのまま立ち尽くしました。「どうしたらいいの」普段、芯の強い義母から聞いたことのない声でした。私はとっさに、引き出しの奥にしまっておいた自分の段取り表を取り出していました。
そして...
私は夫に追加の食材を買いに行かせ、近所の料亭から取り寄せられるオードブルに連絡を入れました。座る順序も、控えていた自分の段取りに戻しました。午後には、親戚たちは満足げに帰っていきました。
夜、二人で台所を片付けながら、義母はぽつりと言いました。「ありがとう。助かったわ」。短いひとことでしたが、義母はそう言って小さく目を伏せました。
任せる、と言いながら任せきれなかったのは、義母なりの不安だったのかもしれません。私は表を畳んで引き出しにしまいました。来年もお盆はやってきます。次は、二人で一緒に表を作ってみたい。そう思った夜でした。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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