同僚の荷物を駅まで持ってあげていた僕が、彼女からのメッセージに咄嗟に「筋トレ」と返した本当の理由
ただの親切から始まったこと
きっかけは、ささいな会話でした。同部署の同僚が、手首を痛めて重いものを持つのが辛いと話していたのです。ちょうど僕の帰る方向と途中まで一緒だったので、「駅までなら荷物持ちますよ」と声をかけました。同僚は何度も恐縮して、「本当にいいんですか」と。
最初の一回だけのつもりでした。けれどその後、買い出しのある金曜日になると、自然と「今日も大丈夫ですか」と聞くようになっていきました。
気づけば、それが二人の間の習慣のようになっていたのです。
「筋トレ」と返した瞬間
ある日の昼休み、彼女からメッセージが届きました。「なんでいつも荷物持つの?」画面を見たとき、説明する言葉がうまく見つかりませんでした。同僚の手首のことを話せばいいだけなのに、なぜか面倒に感じたのです。
気づけば「筋トレ」と打って送信していました。返事はすぐに来ました。
「嘘つけ」その短い一言を見たとき、僕は思わず画面から目をそらしました。何かを後ろめたいと思っている自分がいることに、自分でも初めて気づいたのです。
自分でもわからない感情
その夜、家に帰ると、彼女は普段より少し沈んだ表情で待っていました。リビングで「メッセージのこと、ちゃんと教えて」と切り出され、僕は同僚の手首のことを正直に話しました。彼女は黙って聞いていました。
「なんで言わなかったの?」と尋ねられ、「言うほどのことじゃないと思って」と答えながら、自分でもその答えに違和感がありました。本当にそうだったのか。同僚に何か特別な感情があるとは思っていません。
けれど、感謝されて頼られることが、少し心地よくなっていたのは事実だったのです。
そして...
あれから一週間が経ちました。同僚の手首はまだ完全には治っていません。今週も荷物を持つかどうか、答えはまだ出ていません。彼女には全部話したつもりでしたが、僕の中の小さな揺らぎまでは話せませんでした。
話すことで、自分が大したことのない人間になってしまう気がして。彼女が荷物のことを責めなかったのは、優しさだったのか、諦めだったのか。それを聞く勇気は、まだありません。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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