「子供の声がうるさい」と毎日苦情を入れる隣人→夏祭りで知った本当の理由
毎日鳴るインターホン
インターホンを開けると、いつも同じ言葉が返ってきました。「お子さんの声、何とかしてもらえませんか」。隣の奥さんは、眉間にしわを寄せた表情で立っていらっしゃいました。息子は3歳。家の中を走り回り、笑い声を上げるのが当たり前の年齢です。それでも私は深く頭を下げ、「すみません、気をつけます」と謝るしかありませんでした。最初は週に1回だった苦情が、いつしか週に3回、4回と増えていきました。息子に「シーッ、声を小さくね」と言い聞かせる日々。
子どもらしい無邪気な笑い声を抑え込ませている自分が、嫌で嫌でたまりませんでした。
謝り続けた毎日
夫に相談しても「こっちが悪いわけじゃない」と言うばかりで、対応するのはいつも私でした。インターホンが鳴るたびに、息子に「大丈夫よ」と作り笑顔を向けることが日課になっていました。
ある日、息子が「ママ、わらっちゃダメ?」と聞いてきました。3歳の子どもにそんなことを言わせている。私はいつまでこの状況に耐えなければいけないのだろう。引っ越しを考えた夜もありました。
お隣との関係を修復したくても、苦情を伝えにくる時の表情があまりにも険しく、こちらから話しかける勇気が出ませんでした。マンションでばったり会っても、目を逸らして足早に過ぎ去る相手に、私もまた同じ態度を返すようになっていました。
夏祭りの夜に見えた光景
8月初旬の土曜日、マンションの広場で小さな夏祭りが開かれることになりました。息子は青い金魚柄の浴衣を着て、目を輝かせていました。
金魚すくいのコーナーに並んでいると、少し離れた場所に紺色の浴衣を着たお隣の奥さんが立っているのが見えました。一人で、ただ屋台の方を眺めていらっしゃいます。顔を合わせたくない、と思った瞬間、息子がトコトコと駆け出していきました。止める間もありませんでした。息子は奥さんの前まで行くと、笑顔でこう言ったのです。「おばちゃん、一緒に金魚すくいやろう?」。
そして...
私が慌てて駆け寄った時、奥さんはしゃがんで私の息子の手を握っていらっしゃいました。「ありがとう、嬉しい」と返すお声は、いつもの強い口調とはまったく別の人のようでした。ベンチに腰を下ろした奥さんは、ぽつぽつと話してくださいました。「うちの主人、長距離トラックの運転手なんです。昼間に寝なくちゃいけなくて」。私は何も言えませんでした。「本当は子どもの声が嫌いなわけじゃないの。むしろ、大好き」「ごめんなさい、強く言いすぎていたわね」。深々と頭を下げる奥さんに、私も「知らなくて、こちらこそすみませんでした」と返しました。
あの日から、私は息子が活発になる時間帯をメモにしてお伝えするようにしました。奥さんはお祭りで息子と一緒にすくった金魚を、今も大切に飼ってくださっています。
(30代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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