「あの子可愛いよね」と彼からメッセージ→「犬の話」と補足が届くまでの2分間
軽い気持ちで開いたメッセージ
「あの子可愛いよね」
土曜日の昼下がり、冷凍パスタを温めている最中に、彼から届いたメッセージでした。最初は意味を取り違えました。スタンプの誤送信か、何かのリンクと一緒に送るつもりだったのかと、画面をスクロールしてみたのです。けれど他には何もありませんでした。
「あの子」とは誰のことなのか。私は料理を止めたまま、画面を見つめ続けました。
2分間で世界が変わった
頭の中で、思い当たる女性が次々に浮かびました。会社の同僚、共通の友人、SNSで彼がフォローしている女性たち。誰のことなのか、見当がつかないこと自体が不安でした。
私たちは付き合って1年半になります。これまで彼を疑ったことはありませんでした。穏やかで誠実な人だと、ずっと信じてきたのです。それなのに、たった一行のメッセージで、私の中の何かがじわじわと揺らいでいきました。
「誰のこと?」と聞き返すべきか、何度も入力しては消しました。問い詰めるようで嫌だ。でも放っておけば、自分の中の不安はもっと膨らむ。
「犬の話なんだけど」
返信を打てないまま、2分が経ちました。いつもならあっという間に過ぎる時間が何時間にも感じられました。
そのとき、続きのメッセージが届きました。
「犬の話なんだけど。実家の近くのペットショップで柴犬見てきたから、写真送るね」
添付されていたのは、ガラスケースの中で寝ている柴犬の子犬の写真でした。ふわふわの体に、ちょこんとした耳。彼が「可愛い」と言うのも当然の、本当に愛らしい姿でした。
私は思わず笑ってしまいました。「びっくりした、誰のこと言ってるかと思った」と笑顔のスタンプを添えて返信しながら、さっきまでの自分の動揺が嘘みたいに、穏やかな気持ちが戻ってきたのです。
そして...
その夜、彼に会ったとき、私は思い切ってあの2分間のことを話しました。「実はね、今日のあのメッセージのとき、本気で動揺してたんだ」と切り出すと、彼は「ごめん、説明不足だった」と素直に謝ってくれました。私は「責めてるわけじゃないよ」と笑い返しましたが、心の奥で考えていたのです。
あのとき私が一番怖かったのは、彼を疑ってしまった自分のほうだったのかもしれない、と。1年半の信頼があるはずなのに、たった一行のメッセージで揺らいでしまう自分の弱さ。それを認められたことが、少しだけ前向きな気がしました。
不安は、彼の中にあったのではなく、私の中にあった。それを知れただけでも、あの2分間は無駄ではなかったと思っています。
(20代女性・事務)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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