中2の私が父に「どうせつまらない仕事でしょ」と笑った1ヶ月後、職場見学で見た父の本当の顔
「お父さんの仕事、何してるか知らない」
あれは中2の春の夕食でした。母が「今度の土曜、お父さん休みだって」と言ったとき、私は「ふーん」と返事をしながら携帯をいじっていました。父は黙ってご飯を食べていて、母が「お父さんもたまには出かけたら」と話を振ると、「うん、考えとくよ」と笑いながら答えました。 私はそのとき、特に何も考えずに言ったのです。「お父さんの仕事、何してるか知らない。どうせつまらない仕事でしょ」。母が「ちょっと、そんな言い方」と止めましたが、父は変わらず笑ったまま「そうか」と返事をして、それ以上何も言いませんでした。
想像していた父と、違う父
学校の課外授業で職場見学があり、私は他のクラスメイトと一緒に父のオフィスを訪ねました。受付の方が「お待ちしておりました」と笑顔で迎えてくれて、ちょっと驚きました。 父はいつもの疲れた顔ではなく、背筋を伸ばして仕事をしていました。隣の席には若い男性社員がいて、父は資料を指差しながら「ここの数字、もう一度確認してみよう。焦らなくていいから」と穏やかに教えていました。後輩は頷きながらメモを取り、父を頼りにしているのが伝わってきました。
午前中の社内ミーティングでは、父はホワイトボードの前に立って、若手社員たちにプロジェクトの方針を説明していました。質問が出ると、「疑問は持ち帰らずに、この場で全部出してほしい」とはっきりした声で言って、一つひとつ丁寧に応えていました。リビングのソファに座っているときとは別人のようでした。
車の中でこぼれた一言
帰り道、父の運転する車の助手席で、私はずっと窓の外を見ていました。何を話していいか分からず、今日見たことが頭の中で繰り返されていました。 信号で停まったとき、父が「疲れたか?」と短く聞きました。私は「ううん」とだけ答えて、また窓の外を見ました。 家まであと少しというところで、私はふと、「お父さん、かっこよかった」と口にしていました。本当に小さな声だったと思います。父はハンドルを握り直して、前を見たまま少しだけ間を置きました。聞こえたのかどうか、当時の私には分かりませんでした。
そして...
家に帰って自分の部屋に入ると、机の上に開いたままの日記がありました。今日のことを書きながら、私は「つまらない」と決めつけていた1ヶ月前の自分が恥ずかしくなりました。 日記の最後に、私は今までで一番真剣な気持ちで書きました。「将来はお父さんみたいに働きたい」。次の朝、その日記を机の上にそのまま置いて、私はいつもより少し早く家を出ました。あのとき本当は、父に読んでもらいたくて置いたのだと思います。あれから15年、仕事で行き詰まる日があるたび、あの日のオフィスで見た父の背中を思い出します。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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