妻に任された家事を完璧にこなした1ヶ月。なのに妻が笑わなくなった理由
言えなかった「手伝おうか」
「このたたみ方だとシワになるよ」。俺がそう言ったのは、本当は手伝いたかったからです。でも「手伝おうか」の一言が、なぜか出てこなかった。妻は毎日テキパキと家事をこなしていて、そこに入る隙がないように見えたのです。だから、せめて気づいたことを伝えようとしました。それが結果的に、ただの口出しになっていたことは、ずっとあとから知りました。
「味付け、もう少し薄くてもいいかも」。これも同じです。会話のきっかけが欲しかっただけ。でも妻にとっては、何もしない人間がソファから飛ばす批評でしかなかったのだと思います。
ようやくもらえた許可
あの土曜日、妻が「家事に口出すならやってみなよ」と言ったとき、怒っていることはわかりました。でも同時に、ずっと待っていた言葉でもあったのです。
「わかった、やってみる」。そう返したとき、ようやく入り口に立てた気がしました。翌日からアラームを朝5時にセットし、洗濯の手順はスマホで調べ、料理は動画を見ながら覚えました。全部ちゃんとやれば、妻を楽にしてあげられる。あの疲れた顔を見なくて済む。その一心でした。
完璧のはずだった
2週間が経った頃、妻が台所に入ろうとしたので「いや、俺がやるから」と声をかけました。洗濯物に手を伸ばす妻にも同じことを言いました。俺がやれば妻は休める。それが正解だと信じていました。
でも、ふと気づくと妻がリビングでぼんやりしていることが増えていました。テレビを見ているようで見ていない。話しかけても返事が短い。やり方がまずいのかと思い、さらに丁寧に家事をこなしました。それでも妻の表情は晴れないまま、1ヶ月が過ぎていきました。
そして...
ある夜、妻がぽつりと「私がやるよ」と言いました。俺はいつものように「いや、俺がやるから」と返しかけて、妻の目を見て止まりました。その目が、あの土曜日の朝と同じだったからです。
俺は「全部引き受けたい」と思っていた。でも妻は「一緒にやりたかった」のかもしれない。完璧にやることばかり考えて、隣に立つことを忘れていました。妻が「口出すならやってみなよ」と言ったとき、本当に求めていたのは、俺が全部やることじゃなく、俺が横に並ぶことだった。それに気づくのに1ヶ月もかかったことが、ただ悔しくて仕方ありませんでした。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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