あの地味なお弁当箱の中に詰まっていた愛情の重さを、私は何も知らなかった
キャラ弁という証明
毎朝4時に起きて、キャラ弁を作ります。くまの顔をかたどったおにぎり、チーズで作った星、薄焼き卵のリボン。正直しんどい朝もあります。でもやめられませんでした。
私の母は弁当を一度も作ってくれませんでした。遠足の日も、運動会の日も、コンビニのおにぎりが紙袋に入っているだけ。周りの子の色とりどりのお弁当を横目に、隅でそれを食べていた記憶が引っかかっています。だから自分の子どもには絶対に同じ思いをさせたくなかった。キャラ弁は、私が「あの頃の母とは違う」と証明するためのものだったのです。
あの人に重ねた母の影
園にいつもシンプルなお弁当を作っているママがいました。私はその人を見るたびに、自分の母を重ねていたのだと思います。
「やっぱりキャラ弁にすると子どもの食べっぷりが全然違うんだよね」。周囲に聞こえるように言いました。そしてある日、つい口をついて出たのが「キャラ弁作らないなんて愛情不足だよ」。彼女は少しだけ目を伏せて「うちはうちの事情があるので」と答えました。「そういうの関係なくない?手間をかけるかどうかでしょ」。そう返しながら、自分の声がどこか震えていたことに気づいていました。
廊下で聞こえた声
翌週、園の廊下で彼女の声が聞こえました。「先生、明日のお弁当なんですが、卵と乳製品は除去でお願いします」。
除去食。アレルギー対応。あの地味に見えたお弁当は、使える食材が厳しく限られた中で作られていたものだったのです。チーズもハムも卵も使えない中で、彼女は毎朝どれだけの時間と神経を注いでいたのか。それを想像した瞬間、視界がにじみました。
そして...
帰り道、自分のスマホに並ぶキャラ弁の写真を見返しました。「いいね」の数。手間を愛情の量だと信じ込んで、それを持たない人を見下していた自分。私が作っていたのは子どものための弁当ではなく、「ちゃんとした母親」でいるための証明だったのかもしれません。
翌朝も4時に起きました。でもその日はキャラ弁ではなく、娘の好きなおかずだけを丁寧に詰めました。蓋を閉めるとき、ほんの少しだけ手が軽くなった気がしました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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