席がなかったあの日から、「1人のほうが気楽」と笑うことに決めた
最初の一週間
入社して最初の一週間は、先輩たちに誘われるままランチに加わっていました。職場の雰囲気は明るくて、お昼の時間が楽しみでした。ただ、私は仕事の要領が悪く、キリのいいところまで終わらせたくて、お昼に出るのが少しだけ遅れてしまう日がありました。5分、ときには10分。先にお店に入った先輩たちに追いつくと、テーブルはもう埋まっていることが何度かありました。
あの日の出来事
ある日、少し遅れてお店に着くと、先輩が「あ、ごめん、先始めてるね」と声をかけてくれました。隣の人が「席、もうないかも」と笑いながら言いました。悪気がないのはわかっています。でも、空いている椅子を探して周りを見回したとき、誰も席を詰めようとしない光景が目に入りました。「大丈夫です、コンビニで買ってきます」。笑ってそう言い、店を出ました。あの日から、一人で食べるようになりました。
歓迎会の夜
4月の歓迎会で、新しく入った後輩に「先輩って、いつもお昼一人ですよね」と聞かれました。「今度よかったら一緒にどうですか」。真っすぐな目で誘われて、胸の奥がきゅっとなりました。「一人のほうが気楽なんですよ」。いつもの返事を返すと、後輩は「最初からそうだったんですか?」と重ねて聞いてきたのです。持っていたグラスを、ぎゅっと握りしめました。口をついて出たのは、「最初の頃はみんなと行ってたんですけど、いつの間にか一人になってて」という、笑えなかった本音でした。
そして...
テーブルの空気が変わったのがわかりました。先輩たちの表情を見て、しまった、と思いました。重くしたかったわけではありません。ただ、あの後輩の素直さに、嘘がつけなかっただけでした。
「いつも一人でご飯」。そう笑い続けた一年間、自分から声をかけることもしなかった私にも意地がありました。ひと言「一緒に食べたい」と言えばよかったのかもしれません。翌日のお昼、先輩が一人で社員食堂にいるのが見えました。いつもはグループで食べている人です。目が合ったとき、「ここ、空いてるよ」と小さく笑ってくれました。椅子に座った瞬間、喉の奥が詰まりました。本当はこの一言を、ずっと待っていたのだと気づきました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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