ブロックされていると知りながら「番号変えた」と送った俺が、本当に届けたかったもの
新しい番号
転職に伴って、1ヶ月前に番号が変わりました。ただ、新しい番号を手にしたとき、ふと気づいたのです。この番号なら、ブロックされていてもメッセージが届く。決して、彼女に連絡するためではありません。
メッセージを送るために使うつもりはなかった。少なくとも、引っ越しの荷物からあの写真が出てくるまでは。
一枚の写真
引っ越し準備で本棚を片づけていたとき、一冊の本の間から写真が滑り落ちました。彼女とおばあちゃんが並んで笑っている一枚。去年の夏、彼女の実家を訪ねたときに撮ったものです。
おばあちゃんが亡くなったことは聞いていました。つまりこの写真は、生前最後の頃のもの。捨てることなんてできませんでした。でも俺が持っていていい写真でもない。
3日間、その写真をテーブルの上に置いたまま迷っていました。郵送するにも住所がわからない。共通の友人に預ければ余計な説明が必要になる。結局、あの番号を使うしかないと思ったのです。
ブロックの向こう側に
土曜の昼、「番号変えた」と送りました。名前は書かなかった。書かなくてもわかるだろうと思ったし、名乗ることが怖かったのが本音です。返信は来ません。当たり前でした。
15分迷って、2通目を打ちました。「おばあちゃんとの写真、出てきた。捨てていいかわからなくて」。写真のことだけ伝えたかった。余計な言葉は足さないように気をつけました。
そして...
返ってきたのは「捨てないで」でした。半年間、俺からの連絡を一切拒んでいた彼女が返事をくれた。「送り先教えて。郵送する」。それ以上のことは書かないと決めていました。住所が届いて、やりとりはそれで終わりです。
写真を届けたかったのは本当です。でもそれだけが理由じゃなかったことも、自分ではわかっています。あの写真がなければ、この番号で彼女に連絡することはなかった。おばあちゃんの写真に背中を押されて、ブロックの壁を越えた。その行為に対して「正しいことをした」と胸を張れるほど、俺は潔くありません。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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