「育休取る男とか終わってる」と帰宅早々に笑った俺→臨月の妻に離婚届を置いて実家に帰られた
後輩の育休申請を、俺は嗤った
入社12年目、もうすぐ第一子が生まれる予定の俺は、昼休みに育休を申請した後輩に向かって言い放ちました。「育休取る男とか終わってるだろ。俺は絶対取らないね」まわりから笑いが起きると思っていました。実際には、その場がしんと静まり返ってしまいました。
その日の夜、スーツを脱ぎながら妻にその話をしました。「笑えるよな」と言う俺に、妻はソファに座ったまま「じゃあ父親になる気がないのね」と言いました。妻のいつもと違う様子が気になりましたが、疲れているのだろうと思ってそのまま寝室に入りました。
翌朝、妻はいなかった
起きたら、テーブルの上に封筒と、一枚のメモがありました。「実家に戻ります。返事は要りません、あなたの行動で示してください」。臨月の妻が、一人で荷物をまとめて出て行っていました。慌てて電話をかけましたが、出ませんでした。何度かけても同じでした。
昨夜の妻の顔が頭をよぎりました。笑いもせず、怒りもせず、ただ「じゃあ父親になる気がないのね」と言ったあの顔が。妻は育休を取れと言いたかったわけじゃない。これから始まる子育てに、俺が一緒に向き合う気があるのかどうかを、ずっと見ていたのかもしれませんでした。
俺にできることは一つだった
翌日、会社に育休の申請書を出しました。上司に事情を話すのは恥ずかしかった。それでも、恥ずかしがっている場合ではないと思いました。申請が受理されるたびに、妻に短く報告のメッセージを送りました。
「申請が通りました」「上司に話しました」。返信は来ませんでしたが、必ず既読がつきました。それを確認するたびに、まだ繋がっていると感じることができました。
そして...
出産当日の深夜、妻から一通のメッセージが来ました。「病院に来て」。それだけでした。俺はすぐに飛び起きて病院へ向かいました。
生まれてきた子どもを腕に抱いたとき、俺が笑いものにしたのはこういう時間だったのだと、ようやくわかりました。あの後輩に謝りに行ったのは、それからしばらく経った頃のことです。「気にしてませんよ」と言ってくれましたが、俺は気にし続けるべきだと思っています。軽い一言で、どれだけの人を傷つけていたか。子どもの顔を見るたびに、思い知らされています。
(30代男性・広告代理店)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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