後輩の企画を自分の名前で出し続ける私。部長「これいいね、あなたらしい切り口だ」→その後の会議で後輩の一言により私の嘘が見事にバレた
最初の「つい」
あの子センスいい。発想が柔軟。何より、企画書を作るスピードが圧倒的に速い。
入社したばかりであのクオリティは、自分が作る企画書を軽く超えていました。最初に「これいいね、私から部長に出しておくよ」と言ったのは、後輩が入社して半年ほど経ったころのことでした。
後輩の企画を自分が推薦する形で出せば、後輩の評価も上がるし、自分の「育成力」もアピールできる。そう思っていたのです。でも部長が「この企画、素晴らしいね!君が考えたのか、見直したよ」と口にした時、訂正しませんでした。「後輩の企画です」と言えば済む話でした。でも言いませんでした。
味をしめた
自分の企画力が限界に来ていることは、誰より自分がわかっていたのです。同期はどんどん昇進していく。後から入った男性社員が先にチームリーダーになった。焦りの中で後輩の企画書を見ると、「これを自分の名前で出せば」という考えが自然に浮かんでくるようになりました。
そして、今回も後輩の企画を私の名前で出すことに。
後輩に「あの企画、私の名前が入ってなかったみたいなんですけど」と聞かれたとき、「あー、あれね。フォーマットの都合で名前の欄が一つしかなくて。でもちゃんと部長にはあなたの企画だって伝えてるよ」と答えました。
伝えていません。一度も伝えていないのです。後輩が「先輩のおかげです」と笑うたびに、胸の奥がチクリとしました。でもそのチクリは、翌朝には消えていました。
あの企画会議
あの日、会議の席で後輩が自分の名前で企画書を出したとき、背筋が凍りました。部長が「これ、すごくいいね。誰が作ったの?」と聞き、後輩が「私です」と答えたからです。
部長が「君、こういうの作れたんだ。なんか彼女(私)が以前に出してくれた企画と考え方が少し似てるね」と続けた瞬間、会議室にいた全員の視線がこちらに向いたのがわかりました。
誰も何も言いませんでした。でも全員が理解したのです。私が何をしていたか。
私は会議のあと後輩に「ちょっと話せる?」と声をかけました。何を言うつもりだったのかは自分でもわかりません。謝るつもりだったのか、言い訳をするつもりだったのか。後輩は振り向かずに「今日は忙しいので」と言いました。その背中は、もう私に企画書を見せてくれていた頃の背中ではありませんでした。
そして…
翌週、部長に呼ばれました。「あの企画、本当は誰が作ったの?」。嘘をつく気力はもう残っていませんでした。「後輩です」と答えると、部長は何も言わずにしばらくこちらを見ていました。その沈黙が、どんな叱責よりも重かったのです。
チームリーダーの候補から外されたと聞いたのは、その週の金曜日でした。社内の誰も、私に面と向かっては何も言いません。
後輩はもう私に相談には来ません。「センスあるよ」と褒めていた頃の自分が言った言葉は、全部本当でした。後輩に才能があることだけは、最初からわかっていたのです。それを一番近くで見ていたのに、称えるのではなく奪うことを選んだのは、私でした。
(20代女性・企画職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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