

命に関わる感染症リスクも……マコモ湯の健康効果と注意点
【医師が解説】発酵させたマコモを使った浴槽に入れる「マコモ湯」。科学的に、体によい効果は期待できるのでしょうか? 知っておくべき感染症リスクと注意点について、分かりやすく解説します。
「マコモ(真菰)」は、イネ科の植物で、日本や中国では古くから食用や薬草として親しまれてきました。特にマコモの葉や茎には、ミネラルやポリフェノールが含まれており、「健康によい」と注目されることもあります。
発酵させたマコモを使う「マコモ湯」が、体を温める健康法の1つとして、一部で愛用されているようです。自然由来の入浴法として関心を持つ人も多いですが、実際の効果や衛生面については慎重に考える必要があります。科学的な健康効果とリスクについて、分かりやすく解説します。
マコモ湯の健康効果は? 期待できるのは「一般的な温浴効果」
マコモ湯の効果として言えることは、「体を温めることで得られる一般的な温浴効果」です。マコモ湯に限らず、入浴によって体を温めることで、血行促進やリラックス効果が期待できます。
一般的な入浴と同様、マコモ湯に浸かることで体が温まり、血流が良くなります。温浴効果によって、冷え性の改善や疲労回復の助けとなることも期待できます。
こちらも一般的な入浴と同様、温かいお湯に浸かることで、副交感神経が優位になります。ストレスを和らげ、心身をリラックスさせる効果が期待されます。入浴後のリラックス感や、睡眠の質の向上を求めて、一日の終わりのリラックスタイムや、就寝前の習慣として取り入れている人もいるようです。
一方で、マコモ湯の効果・効能として一部で言われている「皮膚の健康によい」「デトックス効果がある」といった情報には、科学的な根拠がありません。医学的にも効果が証明されていない点には、注意が必要です。
例えば、「マコモ湯は、湿疹やアトピーなどの皮膚トラブルによい」と言う説があるようです。確かに、マコモにはポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれているので、肌を健やかに保つ作用がある可能性はあります。しかし、これはあくまで伝承や経験則に基づくもので、医学的な証明は不十分です。逆に肌のトラブルの原因になることもあるため、特に敏感肌の方は、慎重になる必要があるでしょう。
また、「マコモ湯にはデトックス効果がある」という意見もあるようですが、体内の老廃物を排出する効果が医学的に証明されているわけではありません。発汗によって気分がすっきりすることはありますが、科学的に「毒素を排出する」と言えるものではない点には、注意が必要です。
マコモ湯に危険性はないのか? 細菌感染による健康リスクも
医学的に見れば危険な情報も見られます。「マコモ湯には殺菌作用があるので、お湯を長期間替えなくても安全」といった話もあるようですが、これは医学的な根拠がなく、むしろ大変危険な考え方です。
お湯を長期間放置すると、見た目は変わらなくても細菌がどんどん繁殖し、感染症のリスクが高まります。特に以下のような病原菌は、お風呂の管理が不適切な場合に増殖しやすく、健康被害を引き起こす恐れがあります。
25~45℃ほどのぬるめのお湯で増殖しやすく、レジオネラ肺炎を引き起こす危険性があります。湯気を吸い込むだけで感染するため、糖尿病患者さんや高齢者は特に注意が必要です。
湿った環境を好む菌で、皮膚感染症や外耳炎の原因になります。傷口や免疫が低下している人が感染すると、敗血症を引き起こすこともあります。敗血症は命に関わるリスクもあるため、十分な注意が必要です。
皮膚の炎症や化膿の原因となる細菌です。こちらも特に糖尿病患者さんが感染すると、傷が治りにくくなったり、壊疽を引き起こしたりする危険性があります。
免疫低下時は特に注意! 高齢者や持病がある人がマコモ湯を利用するリスク
筆者は生活習慣病、特に糖尿病患者さんを多く診ていますが、高齢者を含め、免疫力が低下する持病がある方は、特に注意が必要です。
糖尿病患者さんの場合は、血糖コントロールが悪いと免疫力が低下しやすくなり、感染症にかかりやすい状態になっています。つまり、一般の方よりも細菌感染のリスクが高く、感染時には傷が治りにくい・化膿しやすい、肺炎を起こしやすいといった問題が発生しやすくなるためです。
安全にマコモ湯を楽しむために守るべきポイント
それでもマコモ湯を試してみたいという方は、以下の点を守るようにしてください。
・お湯は毎日交換すること。決して長期間使い回さないこと
・浴槽や風呂釜は定期的に清掃・消毒すること
・低温の湯は細菌が繁殖しやすいため、湯温は40℃以上を維持すること
・皮膚に傷がある場合は入浴を避けること
・風邪や、糖尿病の悪化時など、免疫が低下しているときはできれば控えること
まとめ
マコモ湯は、血行促進やリラックス効果などのメリットがあると考えられます。しかし、これらは、一般的な入浴効果と同等のものです。その他の効果については、医学的に確立されたエビデンスは少なく、特に衛生管理を怠ると雑菌繁殖による感染症リスクが高まり危険なため、注意が必要です。
糖尿病患者さんの場合は、特に足の傷ややけどに注意し、適切な温度管理と衛生管理を徹底する必要があります。また、持病がある方や皮膚が敏感な方は、医師に相談してから使用することをおすすめします。
マコモ湯を安全に楽しむためには、清潔な環境を保ち、異常を感じたらすぐに使用を中止することが重要です。
日本内科学会総合内科専門医。「やさしい言葉とわかりやすい説明」をモットーに、クリニック院長として外来診療に従事。糖尿病・生活習慣病に関するセミナー・講演会も多数。ひとりでも多くの人が健康的な生活を送れるよう、役立つ医療情報を発信中。
執筆者:荒牧 昌信(医師)
関連記事
「コラム」カテゴリーの最新記事
-
【39度の熱を出す妻】に昼食を要求するモラ夫!?しかし「耐えられない」妻が“3日間”実家に帰ってみると…【夫婦円満のコツ】愛カツ
-
突然様子がおかしくなった“高1”の息子!?悩みを聞くと「見ちゃったんだ」暴露内容に、母「まさか…」【周囲の問題言動への対応策】愛カツ
-
息子の見舞いより別の女性を優先する非常識な夫!?しかし「今じゃなくない?」妻がブチぎれると夫は…【夫婦間の溝を埋めるコツ】愛カツ
-
娘が好きなアイドルを全否定する陰湿夫。しかし「自業自得ね」妻が〔ある作戦〕を実行すると…汗ダラァ【いい夫になるための方法】愛カツ
-
「男性の本音」付き合っているのに、彼女から触れてこないことに関して…ハウコレ
-
【MBTI診断別】「キスの頻度=愛の深さ?」キスが多い女性ランキング<第1位~第3位>ハウコレ
-
男性の血液型でわかる!気になる人が出来た時のアプローチ方法<O型・B型>ハウコレ
-
結婚記念日に予約した店で”嫁を追い出す”義母!?しかし「お客様…」店員の”驚きの一言”で「なっ…」【義母の問題行動への対処法】愛カツ
-
「盛り上がりが全然違う」男性が共通して言う。キスの最中にされて嬉しいことハウコレ