男性は女性のどこを好きになる？【ひとみしょうの男ってじつは】

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男性は女性のどこを好きになるのか？

顔？ニットの上から確認できる胸？

いいえ、男性はその女性が持つ「永遠」を好きになります。

以下に具体的にお話しましょう。

顔立ちや胸を超えて

「自分でもなぜそう思うのかよくわからないけど、なぜか＜こう生きたい＞と思ってしまう気持ち」のことを、キルケゴール心理学は「永遠」と呼んでいます。

その永遠は、上に書いたとおり、自分でもなぜそう思うのかよくわからない気持ちですから、ましてや他人になどわかりません。

しかし、「そういった雰囲気」は全身から溢れ出ています。

たとえば、「空気が読める」優等生的な女子であれば、「仮面をかぶっている＝いい子のふりを演じている」ことが常ですから、仮面の下に、すなわち、なんらかを我慢している表の顔の下に、「本当はこう生きたい」という自分が潜んでいるはず。彼はこう直感します。

簡単に言えば、目に見えるもの、すなわち顔や胸ではなく、「本当はこう生きたい」と思っている「彼女の心の中の彼女」を、彼は好きになるのです。

これは女子も同じかもしれませんね。マジメに仕事をしている男性のなにげないひと言から「この人、じつは少年っぽさを持っている魅力的な人かも」と瞬時に（かつ無意識的に）「洞察」した結果、その男性のことを好きになる、とか。

男性に話を戻すと、男性は女性が持つ永遠を推測し、その「推測された永遠に」恋するのです。

「ギャップ萌え」とはなにか？

先に優等生女子の例を挙げましたが、ほかにも以下のような例があります。

たとえば、朝まで「オール」する「パリピ女子」と、始発電車に乗ったとき、彼女が一瞬見せた哀しそうな目に恋する男子。

彼は彼女が夜の間じゅうずっと、ものすごく楽しそうに遊んでいたのを見て知っています。その時は「まあまあかわいい子だなあ」としか思っていませんでした。しかし、たまたま同じ方向だということで一緒に乗った始発電車の中で……。

電車の中で彼は「彼女はパリピとしてアホみたいにはしゃぐだけの子ではなくて、本当はもっとマジメに生きたいと思っているのだろう」と直感したのです。すなわち、彼女の「永遠」を垣間見たのです。そして「その垣間見た彼女に」恋したのです。

以上のことを卑近な言葉で言うと「ギャップ萌え」です。

ふだんチャラいのに、ある瞬間に哲学者みたいな表情で人生を考えている「ように見える」、そのギャップを好きになる。さらに卑近な例を挙げるなら、まったくエロそうに見えないマジメ女子が、あるとき「めちゃエロい」トークに嬉々として参加しているのを見て、そのギャップに萌えた、とか。

ここで勘違いしてはならないのは、ギャップというのは、現実の「この」彼女（＝目に見える彼女）と、彼女の心の中の「永遠」（＝目に見えない彼女）との「差」だということです。現実の彼女と、彼女の心の中の「かくありたい」と願う、誰にも見せていないであろう「永遠」との「差」です。

恋がはじまるとき

実際に、恋がはじまる時って、彼があなたの心の中の永遠に素手でちょっと触れた時ではないですか？ふだんは自分に自信がなくて、みんなと同じような行動をし、みんなと同じような洋服を着ている女子に対して、ある男子がその女子の「永遠」に触れる。たとえば、お酒でも飲みながら、彼女に「本当はこう生きたい」ということをさらっと言わせてしまう。そう言った彼女は恋に落ちる3秒前、みたいな。

なんかいい例が思いつかず、すみません。でも雰囲気としてわかりますよね。ようするに、「本当はこう生きたい」という、マジメすぎてクサすぎると思っているゆえにひた隠しにしているもの、すなわち永遠、に触れた時、逆に触れられた時、私たちはその相手に恋してしまうのです。

男については「上記のとおりだ」と断言できますが、女子の場合はどお？

※参考：拙著『自分を愛する方法』玄文社（2020）

（ひとみしょう／作家・キルケゴール協会会員）