

映画デビュー作にして挑んだ難役で深めた自信 期待の若手俳優・川口真奈「誰かの心を揺さぶる演技ができたら」<金子差入店>

刑務所や拘置所に収容された人に差し入れを届ける商店「差入屋」を舞台に、さまざまな事情を抱える人々の人間模様、家族の絆を描くヒューマン・サスペンスで、丸山隆平が映画「泥棒役者」以来約8年ぶりに主演を務める映画「金子差入店」。
本作で、毎日のように拘置所を訪れる謎めいた女子高校生・二ノ宮佐知を演じるのは、「第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で準グランプリに輝いた川口真奈。オーディションで抜てきされ、映画初出演となる彼女に、撮影現場でのエピソードや作品から感じた思いなどを聞いた。
登場人物それぞれの“家族の絆”が伝わってくるストーリー
――「差入屋」というあまり耳にしたことない職業をテーマにした作品ですが、まずは率直にこの物語を読んで、どのような感想を持ちましたか?
私は「差入屋」というお仕事を初めてこの作品を通して知りました。そして、拘置所に収容されている人に差し入れを届けるというお仕事がとても格好良く見えて、私にとっては何だかヒーローみたいな存在に思えました。
――「差入屋」とは、収容された人への差し入れに関する厳しい審査や検閲のルールを熟知し、面会に行くことができない人たちに代わって面会室に出向くこともある仕事だそうですね。
はい。託された差し入れだけでなく、その人の思いも一緒に届けるお仕事なんだと、作品を通して感じました。
――そんな「差入屋」を舞台に、さまざまな人間模様が描かれていきますが、とても考えさせられ、心を揺さぶられる物語でした。
はい。登場人物たちそれぞれの“家族の絆”がしみじみと伝わってくるんです。どんな形であれ、人と人とのつながり、そして家族のつながりというのは切っても切れないものだと思うんです。それが今作ではとても美しく表現されていて、私自身完成した映画を見て、すごく感動しました。
――川口さんが演じた二ノ宮佐知は、自分の母親を殺した男との面会を求めて、毎日のように拘置所を訪れる女子高校生。非常に難しいキャラクターに挑戦されたのではないかと思うのですが。
重い過去を背負った不憫な少女で、作品の中では重要なキーになる存在と監督がおっしゃっていて。古川(豪)監督とはたくさん話をしました。それから、佐知は言葉を発することも困難な状態にあるので、最初は筆談で会話をするシーンが多いんです。そこで紙に文字を書くときに、殴り書きというか強めに書いたり、ノートをドンッ!ってたたいたりして、佐知の怒りやいら立ちを表現するようにしました。
――主演の丸山隆平さんとの共演シーンが多かったと思いますが、丸山さんはどんな方でしたか?
すごくおちゃめで、フレンドリー。寒い日はカイロを渡してくれて、とても気遣いが丁寧で優しい方だなって思いました。現場ではこちらの緊張がほぐれて、逆に楽しくなってしまうくらい場を盛り上げてくださって。
――金子家に招かれた佐知が、みんなで食事をするシーンでは、今作でもあまりないコミカルなやりとりで、とても印象的な場面でした。
実は台本では食事シーンとしか書かれていなかったんです。でも、監督が丸山さんに「アドリブでとにかく盛り上げてください」って言ってからは、丸山さんがカラスの鳴きまねを始めたり、勢いが止まらなくなっちゃって(笑)。そうしたら(金子の妻・美和役の)真木よう子さんや(金子の息子・和真役の)三浦綺羅くんも、みんなで楽しみだして一度撮影が中断しました(笑)。でも、とても楽しいシーンでした。
――物語の重苦しさとは異なる、いい雰囲気の撮影現場だったんですね。
はい、私自身初めてテレビや映画の裏側の世界を見て、すごく興奮してワクワクしました。たくさんのカメラや業界用語が飛び交っていて、とても新鮮でしたし、これからはいろいろな現場でもっと勉強していきたいなって思いました。
誰かの心を揺さぶるような演技がしたい
――それでは川口さんご自身のことについてもうかがっていきたいのですが、小説を読むのがお好きとのことで。こうして話を聞いていると、物語から何かをくみ取ることがとても上手だなぁという印象を抱きました。
昔から小説を読むことが大好きなのですが、まるで誰かの人生を見ているような感じになれるんですよね。最近は図書館に行ったときに目が合った本を1冊持って帰ることが多いんですが、星の数ほどある本の中から、いい作品に出合えたと思える時は、自分の中で“運命”だなって思いますね。
――たくさんの小説が映像化されていますが、俳優として演技をするようになってから、小説の読み方が変わったことはありますか?
今までは単に楽しい!と思って読んでいただけなのですが、例えば主人公の心情の変化や出会う人との関係性だとか、そうした点に着目して読むことで、さらに物語を奥深く楽しんで読めるようになりました。俳優のお仕事ってそうやって自分が本で読んで知った人物を、自分が思うように表現できるのもすごく面白いところだなと思うので、だからこそたくさん練習して、実力が伴う演技ができるように頑張りたいなって思います。
――今回の映画のご自身の演技については、どう思いますか?
実は完成した作品を見て、自分の場面で泣いてしまったんです。いつもの自分にはない表情をしていたり、佐知が置かれている環境はあまりにも自分と違うので。そう考えると、自分で言うのも何ですが我がながら頑張ったなと思いますし、初めての映画で佐知のような難しいキャラクターを演じられたことはすごく自信になりました。
――この作品のさまざまな場面で、きっと多くの方が衝撃を受けたり、心を動かされるのではないかと思います。それでは最後に、今後の活動に向けてどのような目標や俳優像を描いていますか?
できる限り幅広い役柄に挑戦していきたいなって思います。大人な役や年相応の役だったり、時代劇にも出てみたいです。そして何より私の演技で誰かが泣いたり、感動したりしてくれている人がいることがすごくうれしいんです。誰かの心を揺さぶるような演技ができる俳優になりたいと思います。
川口真奈プロフィル
かわぐち・まな=2007年7月12日生まれ、広島県出身。2023年、「第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で準グランプリを受賞。5月16日(金)公開の映画「金子差入店」で映画デビュー。また今夏公開予定の映画「やがて海になる」にも出演が決まっている。
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