「ライオン・キング:ムファサ」よりムファサとタカ(のちのスカー)

Travis Japan松田元太、“傷ついた心”を繊細に表現 ディズニー作品で抜てき受けた実力を振り返る<ライオン・キング:ムファサ>

2025.04.16 07:10
「ライオン・キング:ムファサ」よりムファサとタカ(のちのスカー)

2024年12月20日に劇場公開され、日本国内では動員159万人、興行収入22.4億円を突破し、“2024年に国内で公開された洋画実写作品で興行収入No.1”の快挙を達成した超実写版「ライオン・キング:ムファサ」。多くの観客の感動を呼んだ同作が、4月9日からディズニープラスで配信された。「ライオン・キング」(2019年)で息子シンバを命懸けで守った父ムファサ王と、彼の命を奪った“ヴィラン”スカーことタカの若き日の絆と決別を描いた「―ムファサ」。その最大の見どころの一つが、吹替声優を松田元太(Travis Japan)が務めたタカの“闇落ち”にあるのは間違いない。(以下、ネタバレを含みます)

ムファサとタカの“尊い”出会い

“ディズニー史上、最も温かく切ない兄弟の絆の物語”と謳われる「ライオン・キング:ムファサ」は、幼い頃に孤児となってしまったムファサ、そして彼とかけがえのない絆で結ばれたタカ、その2頭の間に起こった運命的な出来事を描いたストーリーだ。

優れた五感と観察力を持ちながらも穏やかで控えめなムファサに対し、タカは明るく積極的で、壁を作らないキャラクター。兄弟が欲しいと思っていたタカが川に流されていたムファサを見つけて助け上げたことから、2人の交流が始まる。

2人が仲良く成長していく様子を歌ったナンバー「ブラザー/君みたいな兄弟」も、そんな2頭が無邪気にじゃれ合って過ごす楽しい日々が想像できるアップテンポな楽曲だ。超実写プレミアム吹替版では、尾上右近演じるムファサの少し低めで安定感ある歌声に松田が演じるタカの伸びやかで明るい響きが乗り、生命力あふれるハーモニーを作り出している。

2人の相性の良さは、共演の渡辺謙(キロス役)もイベントで同曲を聴き、「この2人、涙を誘うくらい気持ちよく仲良しなんですよ」と絶賛したほどだ。

タカの闇落ち…傷ついた心を歌で表現

偶然出会い、血のつながりを超えて兄弟の絆で結ばれた2頭は、冷酷な敵ライオン・キロスから群れを守るため、新天地を目指して旅に出る。無邪気なタカは旅の中で恋もするが、同時にムファサに対して劣等感や妬みを抱くようになり、やがて、ネガティブな感情をキロスにつけ入られて“闇落ち”する。

ムファサへの屈折した感情を自覚したタカは、激しく攻撃的な感情をぶつけるように「裏切りの兄弟」を歌う。明るくかわいらしかった「ブラザー」とはガラリと変わり、伸びやかながらも鋭く尖ったハイトーンボイスがタカの傷ついた心を表現。そしてこの曲以降、カラッと明るい響きだったタカの声の響きに、薄暗い闇が加わる。

このタカの“闇落ち”のギャップこそが「ライオン・キング:ムファサ」の大きなターニングポイントだ。タカ役・松田いわく「ムファサの存在が大きくて、発言、行動、一つ一つに動かされたり、環境でもガラッと変わったり…。タカはいろんなタイミングですごく繊細な部分を抱えるライオンです。僕は世界中の誰よりそんなタカを、スカーを愛しています」。Travis Japanのメンバーとしても活動する彼が、声のトーンを繊細に変えて無邪気だったタカに芽生えた卑屈な感情を表現する様子は、見事の一言だ。

圧倒的歌唱力と“天然おバカキャラ”のギャップ

そんな「ライオン・キング:ムファサ」。前情報なく吹替版を視聴して真っ先に気になるのはやはり、世界的ヒットを飛ばすディズニーアニメーションでこれほどまでに重要なキャラクターを任された松田とはどんな人物だろうか、ということだろう。

「ライオン・キング:ムファサ」での歌唱を聴くまでもなく、松田はTravis Japanでグループ最年少ながら歌唱力の高いメンバーとして実力を発揮してきた。グループの楽曲「Together Now」で大サビのパートを担当し、「千鳥の鬼レンチャン」(フジテレビ系)や「ハマダ歌謡祭★オオカミ少年」(TBS系)といったバラエティー番組でもたびたび美声を披露し、「歌がうまい」と話題に。「千鳥の鬼レンチャン」では“6連チャン(6曲クリア)”の好成績を残した。

一方で、バラエティー番組では“天然おバカキャラ”としても引っ張りだこ。「アイドルは多少ウソつきます」とぶっちゃけたり、「日本一高い山は?」の問題に「エベレスト」と答えるなど珍解答を量産し、「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」(フジテレビ系)で九九が言えないことが明らかになると、ファンから愛情を込めて“九九ニキ”と呼ばれるように。グループの自己紹介曲「Unique Tigers」では“甘え上手”な“愛されキャラのお馬鹿ちゃん”と歌われ、迷言を連発した「千鳥の鬼レンチャン」で放った謎のワード“ニクサキ”も大ウケ。番組公式SNSでも「#ニクサキ」が使われるなど、天然キャラで愛されている。

“令和の無責任男”を好演、主演ドラマ「人事の人見」

さらに最近では、ドラマでの活躍ぶりも目覚ましい。恋愛ドラマ「東京タワー」(2024年、テレビ朝日系)では、MEGUMI演じる主婦との禁断の恋に燃える青年・耕二を演じ、「色気ダダもれ」「バラエティーとのギャップがえぐすぎる」と話題を呼んだ。一方、4月8日にスタートした主演ドラマ「人事の人見」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)では、松田自身のバラエティーでのイメージを投影したような“令和の無責任男”を好演している。

「人事の人見」で演じているのは、おバカでピュアな会社員・人見廉。真っすぐで純粋な人見が、古い熱血体質の残る大企業の人事部でさまざまな“現代人の悩み”を痛快に斬っていくストーリーにハマるファンが続出。1話のTVerでの見逃し配信再生数が200万回を突破するなど好評だ。

アーティストとして、バラエティータレントとして、ドラマ主演俳優として多方面で活躍する松田。「ライオン・キング:ムファサ」では、キロス役を務める渡辺もオーディションで役を勝ち取ったというほど狭き門のディズニー声優に抜てきされ、伸びやかな歌声に加えて声だけの演技で繊細な表現力までも見せてくれた。

まだ25歳、新たな魅力を開花させた今回を経て、表現者としてこれからどんな姿を見せてくれるのか楽しみでならない。

◆文=WEBザテレビジョンシネマ部

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