「SHOGUN 将軍」の真田広之が悪役を熱演、時代劇の魅力が詰まった「必殺」シリーズ劇場版6作品を一挙放送

2025.02.14 07:00

藤田まことさん演じる中村主水ら、人々の恨みを晴らす“仕事人”の活躍を描いた「必殺」シリーズ。「必殺仕事人」をはじめ、「必殺仕掛人」「必殺仕置人」などさまざまなタイトルが制作される人気作だが、ＢＳ松竹東急(全番組無料放送・260ch)では「必殺スペシャル＆劇場版 23作怒涛の大特集!!」と題して、2カ月にわたり同シリーズのTVスペシャルと劇場版あわせて23作を放送中。本記事では、2月17日(月)～2月22日(土)に放送される6作品のあらすじや見どころを紹介していく。

仕事人VS旗本愚連隊、真田広之らが出演する「必殺４恨みはらします」

まず紹介するのは、2月20日(木)夜8時から放送の「必殺４恨みはらします」(1987年)。ある日、南町奉行所内で奉行と与力が揉み合いになり、一人が刺されてしまうという事件が起きる。被害者を見殺しにしたという因縁を付けられ、なぜか主水(藤田さん)だけがその責任を背負うことに。そんな中、南町奉行所に奥田右京亮(真田広之)という新しい奉行が着任。主水は初対面早々、奥田に「私の時には見殺しにするなよ」と嫌味を言われてしまい、居酒屋のおふく(倍賞美津子)を口説きながらやけ酒をあおる…。

そんな中、まるで京劇のように顔を縁取った“旗本愚連隊”が貧乏長屋で騒ぎを起こす。さらに狼人の弥兵衛(室田日出男)が子供を守ろうとして争いに巻き込まれ、その命を落としてしまった。その後、愚連隊が連れてきた馬の脚を見た主水は、そこに手裏剣が刺さっているのを発見し、奥田右京亮に事件として報告するが、圧力をかけられ調書を差し戻されてしまう。

その夜、仕事人の元締めである弁天より、弥兵衛の娘・お弓(斉藤絵里)から“愚連隊の3人への恨みを晴らしたい”という依頼が舞い込んだと伝えられる。安い請負金で気乗りしない仕事人たちを尻目に、主水は自らその仕事を引き受ける決断をするのだが――。

「必殺」シリーズの記念すべき第1作目「必殺仕掛人」第1話を手掛けた深作欣二監督が、再びメガホンを取った本作。千葉真一さんがゲストとして仕事人を演じ、物語を引き締めているのも見どころだ。加えて、若き日の真田広之が悪役を熱演し、ひと際存在感を放っている。真田といえば、自身が主演とプロデューサーを務めたドラマ「SHOGUN 将軍」が記憶に新しい。“アメリカテレビ界最高の栄誉”と言われる第76回エミー賞において、史上最多の18部門を制覇し話題を呼んだ。そんな真田は、本作で若く美しい奉行・奥田右京亮を軽快に演じている。

裏で時折怪しい動きを見せる奥田だが、“裏の顔”が見え隠れする中で、ついに本性を現した際の豹変ぶりは圧巻だ。また本作では、真田が華麗な殺陣も披露。深作監督による見事な演出も相まって、“必殺シリーズの最高傑作”とも評されている。

仕事人をターゲットにした殺人事件が続発…劇場版第1作「必殺！ THE HISSATSU」

2月17日(月)夜8時からは、主水ら仕事人と殺し屋の集団が激闘を繰り広げる劇場版第1作「必殺！ THE HISSATSU」(1984年)を放送。江戸では仕事人をターゲットとした殺人事件が続発しており、その遺体には三途の川の渡し賃である“六文銭”が添えられていた。その後、“仕事人殲滅計画”を狙う恐ろしい殺し屋集団と、主水ら仕事人による激しい戦いの幕が開き…。

「必殺」シリーズ放送の600回を記念し製作された本作。鋭利な瓦を投げたり、耳かきで脳を突いたり…と、ドラマ版の花形である仕事人による“暗殺術”も多種多様で、見応え抜群の一作に仕上がっている。

2月18日(火)夜8時からは、京都の公卿ら“倒幕派”と、“死の商人”であるブラウンらの争いに巻き込まれる仕事人を描いたシリーズ2作目「必殺！ブラウン館の怪物たち」(1985年)を放送。舞台は幕末の京都・岡崎。かつて徳川家康が建てたという不気味な屋敷があり、倒幕派やその屋敷の主人・ブラウン一派の策謀が渦巻いていた。そんな中、窮地に追い込まれた主水ら仕事人は、秘策を尽くして戦うのだが…。

前作の劇場版よりスケールアップした本作。京都と神戸の異人館を舞台に、外国人殺し屋や忍者、サーカス団など、これまでにないアイデアの大仕掛けで物語が展開していく。中でも、軽快なテンポで繰り広げられるスーパーアクションは見どころの一つとなっている。

三田村邦彦、中条きよしらお馴染みのメンバーが集結、シリーズ完結を描く「必殺！主水死す」

2月19日(水)夜8時からは、“地下金脈”に触れてしまった主水が絶体絶命のピンチを迎える劇場版「必殺！III 裏か表か」(1986年)を放送。ある日、主水の同僚である同心が突然殺されてしまう。その同心は両替商の舛屋をゆすっていたほか、同心の妻であるおこうは舛屋の代理人と深い関わりを持っていることが分かった。この事件の背景に気付いた主水は、闇の金融集団に狙われてしまい――。本作では笑福亭鶴瓶や松坂慶子がゲスト出演しており、松坂演じるおこうは物語のキーパーソンとして妖艶さを存分に発揮している。

2月21日(金)夜8時からは、「必殺！５黄金の血」(1991年)を放送。江戸中に“佐渡沖で御用船が沈没した”という噂が広まり、その影響で金を買い集める人々でごった返す。その後、金座後藤家の妻・千勢から“乗組員の仇を取ってほしい”と頼まれた主水。しかし事件の背景を探るうちに、その陰謀に巻き込まれ――。「錆びたナイフ」や「赤い波止場」など数々のアクション映画を生み出した舛田利雄が監督を務めた本作。悪徳奉公に操られる謎の殺戮軍団と仕事人たちの壮絶な死闘を華麗に、そしてファッショナブルに表現している。

そして2月22日(土)夜9時からは、シリーズ完結編で、本特集の大トリとなる「必殺！主水死す」(1996年)を放送。役所や家族から肩たたきされた主水が愛人との新しい生活を始めようとしたところ、“殺された町人らの恨みを晴らしてほしい”と依頼を受ける。その後、記憶を失った昔の女やかつての宿敵が現れ、生死を賭けた死闘が幕を開ける――。本作は、日本の時代劇に新しい風を吹かせた仕事人・主水の完結作となっており、三田村邦彦、中条きよしらお馴染みのメンバーが集結。またテレビ版の初期シリーズより「必殺」シリーズを手掛けてきた貞永方久が監督を務めている点にも注目したい。

今回紹介した6作品は、京都の美しい景色や迫力満点の殺陣など、日本の美しい伝統や文化、そして時代劇らしさを堪能できる内容となっている。また、コメディシーンや歴史上の人物の登場といった斬新な設定を取り入れている点も、この6作品をはじめとする「必殺」シリーズを通した大きな魅力と言えるだろう。