上田慎一郎監督の最新作公開、内野聖陽「良い映画を作りたいという情熱から生まれた作品」<アングリースクワッド>
映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」初日舞台あいさつが11月22日に行われ、主演の内野聖陽をはじめ、川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、鈴木聖奈、真矢ミキ、小澤征悦、上田慎一郎監督が登壇した。
上田慎一郎監督による痛快クライムエンターテインメント
本作は、上田監督が「カメラを止めるな!」(2017年)の公開前から動いていた渾身(こんしん)のプロジェクト。日本でも話題を呼んだ韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師~38師機動隊~」を原作に、上田監督がオリジナリティーを加え、監督の下、内野らキャストと精鋭スタッフたちが集結して実現した。
主演の内野は、税務署に務める真面目で気弱な中間管理職の公務員でありながら、詐欺師と組んで脱税をひた隠す大企業から未納の10億円を徴収することになった男・熊沢二郎役。その熊沢と異色のタッグを組む天才詐欺師役は岡田将生。頭脳明晰(めいせき)で、素早い判断力に大胆な話術と行動力を持ち合わせる天才詐欺師で、熊沢とともに壮大な詐欺を企てる男・氷室マコトを演じる。
さらに、観客を操るプロたちの鮮やかな手口で、ラストまで怒涛(どとう)に“だまされ”“嵌められ”“欺かれる”痛快なクライムエンターテインメントに仕上がっている。
また、11月14日から映像配信サービス「Lemino」で映画の前日譚を描くLeminoオリジナルドラマ「アングリースクワッド EPISODE ZERO」が独占配信されている。
内野聖陽らキャスト陣が撮影を振り返っていく
登壇した上田監督は、「この企画は6年前から動き出したなんですけど、6年間、大事に育ててきて、ずっとこの日のこの場所を目指して作ってきたので、まずはこの光景が見られて感無量です」と万感の思いを口に。
撮影前から幾度となく、打ち合わせやリハーサルを重ねてきたという内野と上田監督。改稿は14稿まで重ねられたそうで、内野は「そんなことは僕も初めてでした」と明かし「途中で投げ出したくなるようなこと何度もありましたが(笑)、監督の熱意がすごいのでここまで来られたんだなと思います」と感慨深げ。
上田監督が撮影期間中に新型コロナウイルスに罹患してしまい、リモートで演出したこともあったそうで、上田監督は「スケジュール的にちょっと止められないっていうことで、熱は下がった状態で、iPadを自宅で見ながら、現場には“天の声”みたいなスピーカーがセットされて…」と状況を説明したが、小澤はそんな状況を「カメラを止めるな!(笑)」と上田監督の大ヒット作になぞらえて表現し、内野も「まさにそれを地で行くような現場でした」とうなずく。
熊沢の部下・望月役の川栄は、ほとんどのシーンが内野とのシーンだったそうだが、共演しての感想を尋ねると本読みでの思い出を挙げ「(台本の)全ページに付箋が貼ってあるんですよ!分厚すぎて、(中を)チラ見すると余白にものすごく書き込んであって…。横にいて、(自身の)薄いペラペラの台本が恥ずかしくなりました。本当に勉強になるなと思いました」と振り返る。
森川が岡田の印象について明かす
一方、詐欺師チームの一員の森川はチームの“ボス”を演じた岡田が欠席ということで少々寂しそうだったが、岡田と共演しての印象を「ボスなんですけれど、現場ではボス感がないボスというか(笑)、まとめているようで、まとめてないように見えて…うまく誘導されているという感じで、不思議な方という印象でした」と語る。
同じく詐欺師チームの一員を演じた後藤は、錚々(そうそう)たる俳優陣との共演について「皆さん、くせ者ぞろいでしたけど、内野さんには一緒のシーンで『ここはこうしようよ』という感じで積極的に指導していただきました。また、現場が押しているときに僕がテンパっちゃったときがあったのですが、そのときに小澤さんが『裏に行って稽古するぞ』と言ってくださって、意外とこういう一面があるんです(笑)」と感謝。
詐欺のターゲットとなる“脱税王”を演じた小澤は「そんなことあった?覚えてない(笑)」ととぼけつつ、「皆さん、知的な詐欺師なんですけど唯一、後藤は体力派で、僕とぶつかりそうになるというシーンのリハーサルで、軽トラックにぶつかったくらいの衝撃で(笑)、僕は身体が大事なので『稽古やろうか』って言ったんです」と照れくさそうに語る。
真矢「私はずっとADさんだと思ってました(笑)」
上川は、印象的だったこととして撮影前の詐欺師チーム全員での本読みに言及。役になり切って、即興で脚本の“先”のことを演じるエチュードをやったそうで「キャラクターの頭で考えたせりふを出すというのが印象的で、それがそのまま作品に生かされる形で準備ができてありがたかったです」と述懐。
詐欺師チームの一員で、闇金のボスを演じた真矢は「ボスなので、どこでドスを利かせようかと思っていたら、監督に『そのままで静かにいていただければ十分なので』と言われたのが1番のアドバイスでした(笑)」と明かし、さらに「1番現場で動いてらっしゃるのが監督で、私はずっとADさんだと思ってました(笑)」とまさかの告白。
そんな真矢の娘を演じた鈴木は「ミキさんはすてきな気配りの神様みたいな人で、初めてお会いしたとき、『あのね、私たちはニコイチみたいな役なので、お互いに支え合っていきましょうね」ってほれてしまうような言葉をいただきました」と明かす。ちなみに、2人は仲を深めるべく初日から飲みに行ったそうで、真矢は「2人でずっと酔っぱらってました」と楽しそうに振り返っていた。
内野に起こった予測不能な出来事「ドキドキしています」
この日の舞台あいさつでは“予測不能”な展開の本作にちなんで、“最近あった予測不能な出来事”について話を聞くことに。内野は「この映画が皆さまの心に届くのか?ヒットするのか?そうでもないのか? コケるのか?予測不能でドキドキしています」と語ったが、この日の昼に都内の映画館に様子を見にいったという上田監督から盛況だったと聞かされて、ホッと安堵(あんど)の表情を浮かべる。
真矢は「最近の天気です。一昨日、寒かったので今日はすっごいダウンを着てきたら汗だくですよ(苦笑)。皆さんもお気をつけて!」と呼び掛ける。
森川は「この映画、すごいキャストが豪華じゃないですか?大先輩方がすごく多いし、申し訳ないけど仲良くなることないだろうと思っていたんです。先輩と現場でお話をするのは緊張するし、時間もないだろうと…。そうしたら、現場で予測不能なことに、まさか仲良くなって、小澤さんがみんなに連絡して、スケジュールを合わせてくださって、みんなでごはんに行くこともありました」と、うれしい予測不能な展開を明かす。
内野の言葉に上田監督が感極まる
最後に、内野が「これでもかってくらい打ち合わせ重ねて、とにかく面白い映画を作るって一心で、現場でもけんけんがくがく…真矢さんが『ワークショップみたいだね』っておっしゃっていたくらい、本当に新鮮な現場で、みんなでアイディアをし合った手作り感覚のある現場でした」と明かす。
続けて、完成した映画について「面白い映画になったのかな?と思っていたんですが、自分で見ても『さすがだな、上田監督!』というところもあったので、期待して見てください!」と、これから映画を見る観客に力強く語る。
最後にマイクを握った上田監督は内野の言葉に感極まったのか、目に涙を浮かべ、声を詰まらせながら「内野さんとは、3年ぐらい前から何回も何回も脚本の打ち合わせやリハーサルを重ねて、クランクインの前日に電話をいただいて、最初は(内野さんが演じた熊沢は)メガネを掛ける設定はなかったんですけど『今、メガネ屋にいるんだけど、このメガネとならやれそうだ』と。本当にカチンコが鳴る瞬間ギリギリまで、もっと面白くできないかと全員に思っていただきました。ずっと長い間一緒にやってきてくださった内野さんに、あらためてありがとうと言いたいです」と感謝の思いを口にする。
小澤は、その横で涙を拭うしぐさを見せて笑いを誘うが、内野は上田監督について「非常に情熱的で、すぐに涙を流すんです(笑)。不撓不屈の精神、是が非でも良い映画を作りたいという情熱から生まれた映画なので楽しんでください!」と語った。
上田監督も「とにかく、お客さんを徹底的に楽しませてやろうと思って作った作品です。このフィクションが、皆さんの現実を生きるエネルギーになればうれしいです。120分、思い切り楽しんでください!」と話し、温かい拍手の中で舞台あいさつは幕を閉じた。
「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」ストーリー
税務署に務めるマジメな公務員・熊沢二郎(内野聖陽)。ある日、熊沢は天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)が企てた巧妙な詐欺に引っ掛かり、大金をだまし取られてしまう。
親友の刑事の助けで氷室を突きとめた熊沢だったが、観念した氷室から「おじさんが追ってる権力者を詐欺に掛け、脱税した10億円を徴収してあげる。だから見逃して」と持ち掛けられる。犯罪の片棒は担げないと葛藤する熊沢だったが、自らが抱える“ある復讐”のためにも氷室と手を組むことを決意。
タッグを組んだ二人はクセ者ぞろいのアウトローたち“どんな役にもなれる元俳優”“強靭(きょうじん)な肉体の当たり屋”“特殊な偽造のプロ”“母と娘の闇金親子”を集め、詐欺師集団「アングリースクワッド」を結成。
脱税王から大金をだまし取る方法を、所有者に成りすまして土地を売る地面師詐欺に設定し、綿密&大胆な計画を練り上げ、チームは壮大な税金徴収ミッションに挑むが、その先には「裏」を読み合う壮絶なだまし合いバトルが待ち受けていた。
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