大人にこそ響くと話題の「ソウルフル・ワールド」が4月12日(金)に劇場公開される

ピクサーが大人の魂(ソウル)を揺さぶる…“アカデミー賞2冠”の生きる意味を問う哲学的泣ける名作<ソウルフル・ワールド>

2024.04.12 11:10
大人にこそ響くと話題の「ソウルフル・ワールド」が4月12日(金)に劇場公開される

コロナ禍の影響で配信のみとなっていたディズニー&ピクサーの“泣ける名作”の劇場上映。いよいよ第3弾が4月12日(金)より全国劇場にて公開される。トリを飾るのは、これまで以上に大人の胸に迫る「ソウルフル・ワールド(日本語吹替版)」(2020年)だ。(以下、ネタバレを含みます)

監督は本作で3度目のアカデミー賞に輝いた名手腕

ディズニー&ピクサーの最新作「インサイド・ヘッド2」が8月1日(木)より日本公開されることを記念し、劇場未公開3作品がスクリーンに初登場。「私ときどきレッサーパンダ」「あの夏のルカ」に続き、4月12日(金)より上映スタートする「ソウルフル・ワールド」は、「インサイド・ヘッド」(2015年)を手掛けたピート・ドクター監督の作品だ。

大学を卒業後、ピクサー・アニメーション・スタジオに入社した同監督は、ピクサーの原点ともいわれる世界初のフルCG長編アニメーション「トイ・ストーリー」(1996年)でジョン・ラセター監督の下で原案と主人公の相棒バズ・ライトイヤーのキャラクターを担当した。その後「モンスターズ・インク」(2001年)で長編監督デビューをすると、3作目の「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年)では「第82回アカデミー賞」の作品賞や脚本賞にノミネートもされつつ、長編アニメーション賞を受賞。続く「インサイド・ヘッド」が第88回、そして本作が第93回と、それぞれアカデミー賞長編アニメーション賞を獲得した。現在はピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)も務めている。

人間が生まれる前の世界を描く独創的ストーリー

本作の主人公は、ニューヨークでジャズ・ピアニストを夢見ながら音楽教師をしているジョー(CV:浜野謙太)。ある日、一流ジャズクラブで演奏するチャンスを得て喜びに沸いていたところ、うっかりマンホールに落下し、死後の世界に続く道から脱線して人間が生まれる前の世界へ迷い込んでしまう。その世界には番号で呼ばれるソウル(魂)たちがいて、「どんな自分になるか」を決めて地上へと生まれていくのだった。

丸っこいキャラクターのソウルたちがキュートで子どもたちの目も楽しませてくれるのだが、どちらかといえばストーリーは大人向けの印象。「全宇宙の量子化された場の集合体」なんていう存在がいて、“ゾーン”という肉体と精神の間の概念があってそこに迷える魂がいたり、その後の展開でもせりふ含めて哲学的なものを感じるのだ。

また、かつて地上にいた時に功績をあげたり、優秀だった人々はメンター(指導者)としてソウルたちを導いているというのだが、エイブラハム・リンカーン元アメリカ大統領やマハトマ・ガンジー、マザー・テレサ、モハメド・アリ、マリー・アントワネット、心理学者のカール・グスタフ・ユングなど多彩な歴史上の人物がいるとされる。もちろん子どもたちも学ぶ偉人たちなのだが、大人のほうが理解と納得しやすいだろう。

そんな中で、人の個性は自然に備わるのではなく、この生まれる前の世界で、興奮しやすいとか、冷淡だったり、自己中だったりというのが加わって、完成していくというのは、ユニークだが、なるほど、こんなふうになっているのかもとも思える。そういったことを可視化するのは、ピクサーのストーリーテリングのうまさでもある。

アカデミー賞では作曲賞も受賞、ジャズと物語が見事に融合

ジョーは、地上で児童心理博士だった人物と間違われてメンターとして、22番(CV:川栄李奈)と呼ばれるソウルと組まされることになる。ソウルが地上に生まれるためには、一人一人の“きらめき”が必要で、それをメンターが見つけてやるのだ。だが、22番は「人間に生まれたくない」と、先に挙げた偉人たちも地上に送り出すことに失敗している、いわばこじらせ系の困ったちゃんだった。

ジョーにとって“きらめき”は音楽=ジャズ。亡き父がきっかけで出合ったジャズが夢になったのは、ジャズが「音楽を通して自分を表現するから」だ。とはいえ、その夢に向かって決してうまくいっているとはいえなかったジョーの人生。それでも1つのチャンスのため必死で戻ろうとするジョーに興味を持った22番は、協力して共に地上に降り立ち、2人の“冒険”が始まる。

本作は、アカデミー賞で作曲賞も受賞。即興性があり、魂がこもったソウルフルな感情をのせたジャズと人生が交錯していく。ジョーは「音楽と生活は一緒くたにできない」と発言するが、22番は人々との交流を「ジャズった」と表現する。生きるって何なのか。言葉にしてしまうとかたくなりがちだし、人生哲学っぽくもあるけれど、本作ではジャズのリズムと困ったちゃんな22番と、人生に迷いそうになっていたジョーの姿を通して、軽やかに、でも深みももたせて見せていく。

ピート・ドクター監督の“ソウル”を新たな監督が継いでピクサー最新作へ

「ソウルフル・ワールド」は、ピート・ドクター監督が自身の子どもが誕生した際に「個性はどうやって備わっているんだろう?」と感じたことから生まれた作品だという。

そこから人生を捉えた物語を配信で見た視聴者からは「今まで観た映画で一番泣いた」「刺さりすぎて号泣」「人生のバイブルになったかも」「きらめきを大切にしたいと思える作品」「きらめきの意味にグッとくる」「大人にこそ響く」といった声が上がっている。

ピート・ドクターの“ソウル”が込められた、人生、生きることという壮大なテーマで深い余韻と共感を生む物語に、スクリーンでぜひ浸ってほしい。

その劇場上映前にはピート・ドクターのメッセージが収められたピクサー最新作「インサイド・ヘッド2」特別映像が映し出されるのでお見逃しなく。

「インサイド・ヘッド」の主人公の少女ライリーは、ピート・ドクターが実娘にインスピレーションされたキャラクターであると明かされている。子どもの脳内で何が起きているのかということから、感情の世界を描いた。

「インサイド・ヘッド2」は、ピート・ドクターから引き継いでケルシー・マンが監督を務めるが、ピート・ドクターが監督した「モンスターズ・インク」(2001年)の続編「モンスターズ・ユニバーシティ」(2013年)でストーリースーパーバイザーをするなどしてスキルを磨いてきた人物だ。今ではピクサーのCCOとなったピート・ドクターの“ソウル”を受け継いで、少し大人になったライリーの頭の中に新たにシンパイなどの感情が登場する物語できっと楽しませてくれるはずだ。

「ソウルフル・ワールド」は、4月12日(金)より全国劇場公開。また、ディズニープラスでも配信中。

◆文=ザテレビジョンシネマ部

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