【東京格差】高学歴ホワイトカラーはどこに住む? 職種・所得で分かれる街の「階層」
東京では、職業や学歴によって住む場所が分かれる傾向が強まっています。高学歴のホワイトカラー層はどの街に多く暮らし、どんな要因が選択に影響しているのか。データから見える“新しい東京の階層構造”とは?(サムネイル画像出典:PIXTA)
「高学歴の人が多い街」と聞くと、どこを思い浮かべますか?
『データでわかる東京格差』(にゃんこそば著・SBクリエイティブ)では、統計データをひも解き“学歴と街の関係”を分析しています。
今回は本書から一部を抜粋・編集し、東京の「大学卒・大学院卒」が多い街について取り上げます。
30代の大学・大学院卒業者はどこに住む?
まずは、働き盛りの代表として30 代男性に焦点を当てて、既卒者のうち大学・大学院を卒業した人の割合を市区町村別に見てみましょう。出典は総務省統計局『令和2年(2020年)国勢調査』で、在学者と学歴不詳者は除外しています。
東京23区で最も高いのが千代田区です。30代男性の86%(大学56%、大学院30%)が大学・大学院を卒業しています。これに中央区、文京区、港区といった都心周辺の区が続きます。
これらの区に住む高学歴男性の職業を見ると、金融業・保険業や学術研究、専門・技術サービス業(弁護士・会計士などの士業、コンサルタント、研究者など)の割合が高くなっています。まさに、日本のビジネスの中枢で働く人々が、職住近接を求めて暮らすエリアと言えるでしょう。
続く5位から10位のグループには、目黒区、新宿区、品川区、渋谷区が75%台でランクインし、これに世田谷区、台東区が72%台で続きます。これらの区では1位から4位の区と比べて金融業・保険業の割合が下がる一方で、学術研究、専門・技術サービス業に加えて情報通信業(IT、出版など)で働く人の割合が高まります。
同じ大卒・院卒という括りの中でも、職場の立地、ライフスタイル、そして所得水準によって緩やかな棲み分けが生まれている様子がうかがえます。
郊外で進む高学歴ファミリー層の増加
郊外に目を向けると、JR中央線沿線や東急線沿線、さいたま市の中心部(浦和区・中央区・大宮区)、そしてつくばエクスプレス沿線の千葉県流山市などで大卒・院卒比率が高くなっています。
かつて流山市は、東武野田線、JR武蔵野線などが走るのどかな郊外でしたが、2005年につくばエクスプレスが開業し、東京都心までの通勤時間が短縮したことや、大規模な商業施設と住宅地が整備され住み心地が向上したことから、都心勤務の会社員家庭が増加しています。
こうした都心へのアクセス向上と住環境の整備が、職住近接を重視する高学歴な共働き世帯の流入を促しているのです。
「高学歴女性」に好まれる街
今度は地図の解像度を一気に上げてみましょう。『令和2年(2020年)国勢調査』の地域メッシュ統計を使い、全国を約250m四方のエリアに区切って15歳以上・女性既卒者に占める大学・大学院卒業者の割合を可視化します。
都心周辺では文京区や千代田区(番町エリア)、そして中央区や江東区(豊洲)に大卒女性の顕著なクラスターが見られます。まさに職住近接を体現するエリアです。
興味深いのは、住民の役員比率が高い港区や渋谷区では、女性に占める大学・大学院卒の割合がやや高い程度にとどまっている点です。ここに、若い世代のキャリア志向の女性と超富裕層の住みたい街の違いが見え隠れしているのかもしれません。
にゃんこそば(@ShinagawaJP)プロフィール
東京都生まれ、神奈川県育ち。データ可視化職人。民間企業でビッグデータの利活用に従事するかたわら、個人としてオープンデータや公的統計の可視化、地図アプリ開発を手掛ける。
国土交通省「3D都市モデルの整備・活用促進に関する検討分科会」や東京都「オープンデータ・ラウンドテーブル」などへの参加経験を持ち、官公庁や企業での講演実績多数。著書に『ビジュアルでわかる日本』(SBクリエイティブ)。X(旧Twitter)フォロワー数約7.5万人。
執筆者:にゃんこそば
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