

「めんそーれ」は「ようこそ」じゃない!? 海ぶどうは冷蔵NG!? 沖縄「勘違いあるある」4つ!
沖縄についての「よくある勘違い」を現地在住10年以上の筆者が解説。「めんそーれ」の語源、沖縄そばとソーキそばの違い、沖縄そばの種類、泡盛の飲み方、海ぶどうの保存方法など、観光客がよく勘違いする知識を紹介します。
沖縄に移住して10年以上過ごした筆者が、県外から来る方々とお話ししていると、「あれ? 何か勘違いしてる?」と思うことがあります。そこで今回は沖縄についての「よくある勘違い」を4つ紹介したいと思います。
1. 「めんそーれ」は琉球王朝時代の言葉?
那覇空港に着いて「めんそーれ -welcome-」という看板を目にしたことがある方は多いと思います。この言葉、琉球王朝時代からの沖縄の伝統的な挨拶だと思っている方が多いのではないでしょうか。

「めんそーれ」の語源については諸説あります。「参り候らへ」(まいりそうらへ)という古い日本語が変化したという説。
薩摩武士が沖縄を訪れた際に使っていた「ごめん候(そうろう)」(ごめんください)という挨拶が、沖縄の人々に取り入れられて訛ったという説。
そして、「参り召しおわれ」(まいりめしおわれ)という古い日本語の敬語表現が起源という説もあります。
どの説も琉球王朝時代からの純粋な沖縄の言葉ではなく、日本語との言語接触の中で生まれた表現である可能性を示唆していますし、「welcome」的な意味ではありません。
実は「めんそーれ」が観光客向けに「ようこそ」という意味で広く使われるようになったのは、比較的新しいことのようです。
ある資料によれば、1975年に沖縄で開催された国際海洋博覧会(海洋博)の準備段階で、地元の方言で観光客を迎えようという動きの中で、親しみやすい言葉「めんそーれ」が広まったのだとか。
元々は「welcome」という意味では使われてはいませんでしたが、沖縄の人々の温かい「おもてなしの心」を表現するのにふさわしい言葉として選ばれ、意味がアレンジされたのです。沖縄の文化的アイデンティティと観光振興の両立を図る中で生まれた、すてきな解釈だと言えるでしょう。
ちなみに、琉球王朝時代に庶民が日常的な挨拶として使っていたのは「ハイサイ」や「ハイタイ」だそうです。これらは英語の「Hello」や日本語の「こんにちは」に相当する気軽な挨拶なので、挨拶をするなら「めんそーれ」よりもこちらの方が適当かもしれません。
2. 沖縄の名物は「ソーキそば」?
「沖縄で何を食べたい?」と聞くと、「ソーキそば!」と答える旅行者の方が多いのですが、「沖縄そばじゃなくて、ソーキそば? 本当にそれでいいの?」と感じてしまいます。

実は沖縄の名物は「ソーキそば」ではなく、「沖縄そば」なのです。「沖縄そば」が大きなカテゴリーで、その中のメニューのひとつに「ソーキそば」があるというわけです。
通常の沖縄そばには、三枚肉(皮付きバラ肉)が入っていることが多いです。その三枚肉の代わりにソーキ(スペアリブの煮込み)が入っているのが「ソーキそば」というわけです。

そして、ソーキにも「本ソーキ」と「軟骨ソーキ」の2種類があります。本ソーキはあばら骨とその周りのお肉、軟骨ソーキはあばらの下の部分の軟骨とお肉になり、食感も食べた印象も異なります。
沖縄そばにはソーキそば以外にも、ゆし豆腐そば、てびちそば、アーサそばなどさまざまな種類があります。特にソーキにこだわらず、いろいろな沖縄そばを試してみてほしいなと思います。
3. 「泡盛」は度数が高くて、すぐ酔っ払っちゃう?
「泡盛は強くて飲めない」と言われることが多いのですが、沖縄の人は泡盛をさまざまな飲み方で楽しんでいます。
最も一般的なのは水割りです。グラスに氷をたっぷり入れて、泡盛を注ぎ、さらに水もたっぷり入れて飲むスタイルです。市販されている泡盛はアルコール度数が25度のものが多いですが、このようにして飲むとアルコール度数は10度以下になり、実際にはそれほど強いお酒を飲む感じではありません。
沖縄の居酒屋では、こうした水割りスタイルで気軽に楽しむ人が多く見られます。

また、3年以上熟成させた泡盛「古酒」をストレートで少しずつ味わうこともあります。熟成が進むほど香りが豊かになり、まろやかな味わいを楽しめるようになるのです。ただし、古酒はアルコール度数が30度以上と高いことも多いので、飲む際には注意してください。
季節や場面によっても飲み方は変わります。夏場は炭酸で割った「泡盛ハイボール」、冬場は「お湯割り」でホッと一息つくこともあります。また、泡盛を使った「梅酒」や「シークヮーサー酒」なども人気があります。
実は泡盛は飲み方のバリエーションが豊富で、自分の好みや場面に合わせて楽しめるお酒ですし、沖縄の食事との相性も良いのが特徴です。
「強くて危険なお酒」というイメージで避けるのではなく、沖縄の人々が日常的に楽しんでいるさまざまな飲み方を試してみてはいかがでしょうか。
4. 「海ぶどう」はクール便で送らないとダメ?
空港でもお土産として売られている「海ぶどう」。海の中にあるイメージから「冷蔵しないといけないのでは?」と思われがちですが、実は海ぶどうは冷蔵するとしわしわになってしまいます。
海ぶどうは2日程度は常温保存が可能で、特に15~20℃の温度帯が理想的です。沖縄の空港やスーパーで買って、そのまま持ち帰っても大丈夫です。ただし、保存の際に水道水などの真水につけると細胞が破裂してしまうので注意が必要です。

また、知っておくと面白いのが、海ぶどうは古くから沖縄で親しまれてきたわけではないという点です。
東南アジア、特にフィリピンやインドネシアで食用とされていたものを、1980年代後半から沖縄で本格的に養殖するようになり、広まったという経緯があります。つまり、琉球王朝時代から食べられていた沖縄の伝統食というわけではないのです。
海ぶどうの魅力は、何といってもそのプチプチとした食感。小さな粒が口の中ではじけると、軽い塩味と海の香りが広がります。ミネラル(特にカルシウム・鉄分)やビタミン類も豊富なので、ぜひお土産に買って帰って、お家でも思い出に浸りながら食べていただければと思います。
いかがでしたか? 沖縄について「あれ? ずっとそう思っていたけど違ったんだ!」ということが少しでもあればうれしいです。
沖縄で不思議に思うことがあったら、ぜひ現地の人と話してみてください。コミュニケーションを通して、より深く沖縄を楽しんでみてくださいね。
<参考>
琉球新報style「めんそーれは「造語」だった? マブイロードを歩く Vol.1」
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています
2005年より生ビールブログを開始。2013年の沖縄移住後は地元密着型のランチブログを開始し、10年以上運営中。沖縄での暮らしの中で見つけた、食の楽しみと各地のグルメ情報などを発信している。All About ビールガイド。
執筆者:タカバシ ショウヘイ(フードブロガー)
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