

【冬の絶景】山形・蔵王の樹氷と神秘的なアイスモンスターを巡る旅、完全ガイド
温泉とスキーとスノーボードが楽しめる場所として知られる蔵王の冬の名物、樹氷。その独特の形から、アイスモンスターとも呼ばれる樹氷が作り出す美しい風景は日中だけでなく夜のライトアップでも楽しめます。訪れた人を魅了する蔵王の樹氷をご紹介します。
雪と氷が作り出す風景は、冬しか味わえない特別なモノ。日本国内を見渡すと、各地に特別な冬の風景がたくさんあります。ここでは、美しい冬の風景の中から、山形県の「蔵王」(ざおう)をご紹介しましょう。
蔵王は、濃い硫黄の温泉と広大なゲレンデが広がるスキー場でよく知られています。でも冬の蔵王の魅力はそれだけではありません。山全体に現れる、多くの人を魅了する美しい樹氷も迫力満点!
スキー・スノーボードをする方はもちろんのこと、されない方でもその迫力を間近で目にすることができるんですよ。

蔵王の冬の贈り物、アイスモンスター

蔵王連峰は奥羽山脈の一部で、山形県と宮城県の境にある山々のことを指します。火山の恵みにより、蔵王温泉など良質の温泉が多数湧き出ており、四季を通して温泉と自然を楽しむ人々がたくさん訪れる名所です。

また冬は良質の雪が多く積もることから、蔵王連峰を取り巻くように多くのスキー場があり、大自然に抱かれてスキー・スノーボードを楽しむ人たちでにぎわいます。
そんな蔵王連峰の山形県側で冬に見られるのが「樹氷」です。
遠くシベリアからの季節風が日本海を越えて朝日連峰で雪を降らせた後、さらに蔵王連峰でもう一度雪を降らせます。この時、蔵王の山々に生えているアオモリトドマツの木に雪雲の中の水滴が張り付いていくことで樹氷が誕生します。

例年12月頃から樹氷が成長し始め、2月が成長のピークに。大きく成長した樹氷の姿は、まさにモンスターのように見えることから「アイスモンスター」と呼ばれます。アイスモンスターが山の斜面を覆い尽くす風景は、冬の蔵王ならではの絶景ですね。
樹氷を目指してロープウェイ山麓線で樹氷高原駅へ。スキーとスノーボードはリフト乗り継ぎでもOK!

蔵王の樹氷を見るためには、ロープウェイを2本乗り継いで蔵王温泉スキー場の上まで行く必要があります。
スキー場の中で樹氷を楽しむ形になりますが、スキー・スノーボードをされない方でも「樹氷観光」という形でロープウェイの往復チケットを買って上まで行くことが可能です。

蔵王温泉の温泉街の中にある蔵王山麓駅(標高855メートル)が樹氷観光の出発点。ここから1本目の蔵王ロープウェイ山麓線に乗って、樹氷高原駅(標高1331メートル)まで登ります。ロープウェイ山麓線の乗車時間は約7分。横倉ゲレンデやアストリアゲレンデを見下ろしながらの空中散歩を楽しみましょう。
ちなみに樹氷が見頃の好天の日だと、ロープウェイ山麓線に乗車するまで1時間以上の待ち時間が発生することもあります。スキー・スノーボードを楽しむ人たちもスキー場のリフト1日券でロープウェイ山麓線に乗ることはできますが、樹氷観光の人たちと同じ列に並ばないといけません。

こんな時は、リフトを4本(横倉第1ペアリフト、アストリア第1ペアリフトまたは横倉第2ペアリフト、アストリア第2ペアリフト、アストリア第3ペアリフト)を乗り継げば、樹氷高原駅まで行くことが可能です。
筆者は50分ほどで樹氷高原駅に着きましたので、ロープウェイの待ち時間と同等か、より短い時間で上がれますし、ゲレンデもたくさん滑れますのでおすすめですよ。

樹氷高原駅の近くでも、駅名が示すとおり樹氷を目の当たりにすることができます。天候に恵まれた日は、アイスモンスターの雄姿をしっかりと目に焼き付けてください。
ロープウェイ山頂線に乗り換えて地蔵山頂駅へ。樹氷に囲まれた稀有な世界のど真ん中へ飛び込む!

樹氷高原駅(標高1331メートル)からは、2本目のロープウェイ・蔵王ロープウェイ山頂線に乗り換えて、地蔵山頂駅(標高1661メートル)へ向かいます。
ロープウェイ山麓線で上がってきた樹氷観光の方たちとスキー・スノーボードを楽しむ人たちが一緒に並びますが、山頂線ではゴンドラが次々と出発するため、待ち時間はそう長く感じません。

山頂線の乗車時間は約10分。樹氷が立ち並ぶ山肌とゲレンデの上を一直線に突っ切って地蔵山頂駅まで登っていきます。

天候によりロープウェイの窓が結露していたり、凍ったりしているので、一部見えにくいことも多いですが、樹氷を高い位置から見下ろすなどロープウェイならではの空中散歩を楽しみましょう。

空中散歩を終えて地蔵山頂駅に降りると、そこには樹氷が連なる美しい世界が待ち構えています。

天候に恵まれると、地蔵山頂駅の屋上にある展望台からは、樹氷を見下ろす風景とともに山形盆地や朝日連峰を遠望する素晴らしい風景を同時に眺められますよ。

「樹氷観光」で蔵王山麓駅から登ってきた観光客たちは、安全を考慮してゲレンデに入ることはできないものの、地蔵山頂駅周辺の広い範囲を散策できます。思い思いのお気に入りのアングルを探すといいでしょう。
雪に埋もれたお地蔵さまにもごあいさつを

ロープウェイの地蔵山頂駅から歩いてすぐのところに、蔵王地蔵尊があります。
雪のないシーズンに見ると、とても大きなお地蔵さまなのですが、とんでもない量の雪が降る蔵王の冬では雪に埋もれてしまっていることが多いです。

ある時は肩から上だけ出ていたり、またある時は雪の壁に囲まれていたりと、行く都度にシーンが変わりますので、お地蔵さまとの一期一会を楽しんでみてください。
訪れた人を魅了する樹氷のライトアップ!

日中訪れた人に美しい風景を見せてくれる蔵王の樹氷ですが、夜も楽しめるのをご存じでしょうか。夜を迎えると樹氷がライトアップされます。
樹氷のライトアップは1989年から毎年行われていて、漆黒の闇の中に樹氷が浮かび上がる夜景を楽しめます。日にちと時間は蔵王ロープウェイの公式Webサイトで確認してください。

樹氷のライトアップ観光も、日中と同じく、蔵王ロープウェイの山麓線と山頂線を乗り継いでのアクセスとなります。
なお蔵王温泉スキー場の一部のゲレンデではナイタースキーも可能ですが、蔵王ロープウェイは樹氷ライトアップ観光の専用ルートとなり、スキー・スノーボードの方は乗れませんので注意してください。

ロープウェイ山麓線に乗ると、暗闇に包まれ、ゲレンデを横切る風以外は聞こえなくなり、「いったいどこへ行くのだろう」と少し不安が募ります。そんな中、山の上で光っている樹氷高原駅が見えてくるとホッとしますね。

ロープウェイ山麓線を降りた樹氷高原駅付近からライトアップがスタート。駅周辺の樹氷がカラフルな色に彩られているのを見ると、この先どんな風景が待ち構えているのか期待が高まりますね。

樹氷高原駅でロープウェイ山頂線に乗り換えると、再び周囲が闇と静寂の中に。ロープウェイ山頂線は樹氷の真上を通りますので、ライトに照らされた樹氷を上から望むことも可能ですが、窓が凍り付いていると残念ながら何も見えません。

地蔵山頂駅では、駅から出てすぐ近くの場所でライトアップされた樹氷を間近で見られます。1つとして同じ姿をしていないアイスモンスターの迫力を目の当たりにできます。

地蔵山頂駅に併設されているレストランでは、外にある樹氷のライトアップの様子を窓越しに眺められます。暖房のよく効いた室内から外の絶景が見られるのはうれしいですね。

荒天でなければ、地蔵山頂駅の屋上に出て樹氷のライトアップを見渡すのもいいでしょう。奇跡的に視界に恵まれた日には、温泉街の明かりだけでなく、山形盆地の明かりまで見通せるとのことです。
また樹氷高原駅から暖房付の雪上車「ナイトクルーザー号」で樹氷へ間近に迫る樹氷幻想回廊ツアー(予約制)も行われていますので、どちらか好きなほうを選んでみてください。
樹氷観光は防寒の備えをしっかりと

日中も夜のライトアップもすてきな蔵王の樹氷ですが、雪と氷の世界に足を踏み入れますので、訪れる際は防寒の備えが必須です。
特に地蔵山頂駅付近は標高が高いこともあって、日中でも氷点下になることは当たり前。樹氷ライトアップの際はマイナス10度以下になることも珍しくありません。

山の上だけに強風が吹き続けることも多く、風を受けての体感温度低下で“痛い”と感じるほどの寒さです。必ずスキーウェア+手袋+帽子、耳当て+フェイスガードなどの完全防備で訪れるようにしてください。
樹氷の絶景を記録に残そうとデジタルカメラやスマートフォンで撮影したくなりますが、これらの機器は気温が低いところで使うと電池の消耗が激しく、すぐに電池切れを起こすため、モバイルバッテリーの替えは必須です。
また、山を下りた後で暖かい部屋に戻ると、機器の内部に結露ができてレンズの曇りがしばらくの間取れなくなることも。結露が原因で機器が一時的に動かなくなる可能性もありますので、注意が必要です。

なお、気象状況によっては、ロープウェイの運休などで樹氷観光ができないこともありますし、暖かい日が続くとせっかく成長した樹氷が解けてしまうこともあり得ます。
自然現象ですのでやむを得ませんが、出かける前に蔵王温泉の公式Webサイトなどで状況を確認しておくことをおすすめします。
美しい風景が広がる蔵王の樹氷をご紹介してきました。湯量豊富で効能豊かな蔵王温泉にのんびり浸かって、絶景を楽しめる蔵王の樹氷にこの冬ぜひ出かけてみてください。
蔵王へのアクセス
<鉄道>

山形新幹線「つばさ」で山形駅下車。山交バス 蔵王温泉行きで終点下車。
<飛行機>
山形空港から「おいしい山形空港観光ライナー」(前々日までに要予約)が蔵王温泉まで運行。
<高速バス>
東京駅から山形を結ぶ夜行高速バス「レインボー」号(東北急行バス)で、山形(山交ビル)下車。山交ビルから山形駅前まで歩き、蔵王温泉行きのバスを利用します。
<車>
東北道 村田ジャンクションから山形道 山形蔵王インターチェンジへ。県道から西蔵王高原ライン(有料道路)を通り、蔵王温泉へ
執筆者:村田 博之(名所・旧跡ガイド)
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