《海外で売れる日本ブランドへの転換①》「新たなクールジャパン戦略」とは何か

先日、高野山を訪れた際、ロシア人観光客の女性と出会いました。私が着ていたダウンを気に入った彼女に「それ、ネットで買えるの?」と聞かれました。その日本ブランドは、越境EC対応をしておらず、海外からは買えません。日本から海外ブランドはネットで手軽に手に入るのに、海外から買える日本ブランドはまだ少ない。もちろん海外からでも購入できる日本のECサイトもありますが、知名度が低く、利用率は限定的です。
訪日外客数は25年11月末までで4000万人に迫っています。日本人口の約3分の1。私たちは、広く、深く日本を体験した世界の人たちへ、継続的に〝日本〟を売れているのだろうか?――そんな疑問が広がります。
33年には50兆円へ
25年、内閣府の知的財産戦略本部による「新たなクールジャパン」計画で、今後クールジャパン関連産業を基幹産業と位置付け、33年までに海外展開の収益を全ジャンル合計で50兆円の規模にしていくとの指針が出されました。23年の19.1兆円から倍以上の規模です。
もちろんこの強気な数字を示す理由は、コンテンツビジネスの急激な伸びが影響しています。昨年は『鬼滅の刃』の海外収益が680億円(25年11月現在)を超え、藤井風やXGがワールドツアーを成功させるなど、海外で稼ぐ日本IP(知的財産)の勢いが止まりません。
現状、クールジャパン関連産業の海外売り上げの中でファッション・ビューティー部門は4.2兆円。ファッション単体では0.9兆円となっております。ご存知のように日本のファッション部門の輸出は素材輸出が製品輸出を上回っており、ファーストリテイリングなどのグローバル企業を除けば、海外進出を目指していても、多くのアパレル企業の海外比率が10%にも満たないのも事実。海外進出ができている企業はまだまだ少ないと言わざるを得ません。
先行く韓国
一方、韓国ファッションはK-POPなどの勢いに乗じ輸出率を高めています。その背景には、ブランド横断化のムシンサなどのグローバルECサイトを基盤に、小中規模のブランドが一丸となって輸出を伸ばしている現状があります。BTSやブラックピンクなどのエンターテインメント業界と上手に組み合わせる手法は見事です。
日本には素晴らしいコンテンツはあっても、海外で買えない、売れないのはなぜか? 世界的に販売チャネルが百貨店やセレクトショップから、誰でもスマホから購入できるグローバルECに進む現状において、〝売れる〟日本ブランドへ変換していくためには何が必要なのか?この短期連載で急務である「新たなクールジャパン戦略」についてつづっていきます。
(編集者・軍地彩弓)
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