結婚後も複数人との恋愛が「リスク回避」につながる？ “都会の恋愛”慣れした女性がハマった婚活沼

複数の異性と恋愛関係を持っていると、世間的によくないとされるのはなぜでしょうか。例えば芸能界では「数年に一度」とは言えないレベルで、不倫報道が炎上しています。だけどこれが不倫ではなく「未婚者同士」であればどうでしょう。未婚者は基本的に自由恋愛が許されていますから、法的に罰されることはありません。

色々な人とお付き合いをしてみるのは、決して悪いことではない……はず。だけど、その複数人との恋愛関係は「結婚後も」続けることは可能なのでしょうか？

■彼氏はいるけど……“結婚できる相手”を求めてマッチングアプリも婚活パーティーも同時進行

今回お話をお伺いしたのは、都内で働く28歳の会社員・優奈さん。彼女と出会ったのは、都内で行われた会員制の婚活パーティーでした。

「年齢も年齢なので、結婚できる相手を探したいと考えています。……といっても、実は一応、付き合っている彼氏がいます。だけど、私自身が自信を持ってその人と結婚していいと思えていないんです。今はマッチングアプリにも登録しながら、こうして婚活パーティーにも参加しています」

いわゆる「結婚適齢期」を迎えつつある優奈さん。結婚に求める条件は「自分より少しだけお金を稼いでいること、一緒にいて楽しいこと」の2つだけだそう。

「今付き合っている人は、マッチングアプリで出会って5日で交際がスタートしました。お金は稼いでいるしいい人なんだけど……。今ひとつ、一緒にいて楽しいと思えないのと、趣味などのライフスタイル観もそこまで一致していません」

彼氏がいるにも関わらず、さまざまな選択肢を利用して出会いを求めているのには、とある“恋愛経験”も関係しているそう。

「今の彼氏と出会う前に、4年間一緒にいた人がいます。その人とは直接的に告白し合ってはいないのですが、ずっと週に2回以上会っていたので、実質は恋人同士だったと思っています。ミュージックバーで知り合った彼は、物腰が柔らかく、趣味やライフスタイルが合う上に、イケメン。人生で一番大好きだった人だけど、私がこの年齢になっても同棲や結婚といった話題を向こうから振ってくれることはありませんでした。本当に大好きだったけれど、この人と結婚はできないのかもと、自分から離れたのが約半年前のことです」

■「浮気行為に気づかない彼氏が悪い」……初対面疲れで失った“愛の価値観”

その後、マッチングアプリですぐに彼氏を作った優奈さんですが、4年を共に過ごした彼ほどの居心地の良さを感じることができていないのだそう。そこで、マッチングアプリを継続しながらパーティーにも参加し、あわよくば“乗り換え”を狙っている最中です。

「最近は、マッチングアプリにしろ婚活パーティーにしろ、自分にはあまり向いていないのかなと思っています。というより、アプリやパーティーみたいな初対面同士の出会いに、向いている人なんているのかな。周囲にもゆるく婚活を行っている友人はたくさんいるけれど、女子会では初対面の男子の愚痴ばかり耳にします。

それに今の彼氏も、私がアプリと婚活パーティーを同時並行していても、全く気が付かないんですよ。それだけ、私のことを何も知らない、分かっていないということ。初対面同士、最初から恋愛目線で相手をジャッジしようとしても、表面的にしか判断し切れないのではないかと思います」

パーティーやアプリで「自分を理解してくれる人」には出会えていないという優奈さんですが、時々ワンナイトラブに発展することはあるのだそう。彼氏がいるのにも関わらず、なぜ性的な関係を求めてしまうのでしょうか。

「正直、それほどまでに今の彼氏のことが好きじゃないだけなのかもしれません。ワンナイトラブの相手にも、そこまで大きな興味関心があるわけじゃないんです。ただなんとなく、その場を楽しもうとした結果そうなるだけ。しかもお相手も、行為後にアプローチしてくるわけでもない。都会って、カジュアルな関係が溢れ返っていて、本当の愛がどういうものなのか、分からなくなりそうになっています」

自分にとっての「結婚に値すべき愛」の定義がなんなのか分からなくなってしまった優奈さん。最近はまた、4年間付き合った元カレ（？）とも会うようになってしまったそう。

「彼氏とは月2回会っていますが、月に1回は元カレとも会っています。元カレに会うと、やっぱり彼以上に居心地のいい人はいないのかもと思えます。だけど相変わらず、彼は私との関係を追求しては来ないので、傷つきたくなくて他の男性との関係も続けています」

■複数人との恋愛に感じるメリット、見失いつつある「相手の気持ち」

「複数人との関係を続けることは、誰か1人に依存しないでいいのがラク」と話す優奈さん。世間で話題になる不倫騒動に関しても「そこまで責めることなのか」と苦言を呈します。

「そもそも、たった1人の相手に恋愛関係を依存するのって、リスクが高すぎると思うんです。自分が望む全てを持っている人に全期待を注ぐより、何人かに分散した方が自分のメンタルのバランスも保ちやすいです。例えば、今カレには安定した結婚、元カレに居心地の良さ、時々知り合う人に刺激を求めれば、どの人に対しても、期待しすぎてがっかりすることがなくなるのではないでしょうか」

優奈さんはすでに、全ての条件を持つ心から結婚したい人は現れないのだろう、と諦めているのです。今の彼氏とは「このまま元カレとの関係を続けながらであれば、とりあえず結婚することはできそう」と話します。だけどそんな中途半端な愛では、いつか離婚の危機が来る可能性があるのではないか、と聞いてみると……。

「そもそも、結婚に愛って必要なんですかね。結婚相談所で初対面の人と知り合って、すぐに結婚する人は、本当に相手に対して愛を持っているのでしょうか。お互い条件でマッチングしただけで結婚する人もいるのだから、愛する気持ちがなくても結婚はできると思っていますし、生活のパートナーだと割り切れば、関係を継続することもできると思います」

今の優奈さんは、彼氏が持っているはずの優奈さんへの気持ちや、既婚者と関係を続けることになるかもしれない元カレへの配慮は、すっぽりと抜け落ちてしまっているようです。

あなたは優奈さんの「愛のカタチ」を、どう考えますか？

（取材・文　久留米あぽろ）