読み始めたら止まらない!「ブラック・ジャック展」で紐解く手塚治虫の熱意と哲学【あべのハルカス美術館】

天才外科医・ブラック・ジャックが帰ってきた!
現在、あべのハルカス美術館で開催中の「手塚治虫 ブラック・ジャック展」は、500点を超える原稿や資料を展示する史上最大規模の展覧会。「命とは何か」「医療とは何か」、手塚治虫先生が描き続けた永遠のテーマを、4つの部屋構成で体感できる圧巻の内容です。
内覧会ではiPS心臓開発者・澤芳樹さんも登壇し、現代医療と重なる『ブラック・ジャック』の魅力を語りました。手塚先生の情熱と哲学が詰まった展覧会を、anna編集部がレポートします。
( Index )
名作マンガのすべてを余すことなく体感! 4つのテーマで解き明かす「ブラック・ジャック」の世界 iPS心臓開発者・澤芳樹さんが語る、現代医学と「ブラック・ジャック」 コミックスからキュートなピノコグッズまでズラリ!名作マンガのすべてを余すことなく体感!

本展では、500点以上の原稿のほか、連載当時の『週刊少年チャンピオン』や、200を超えるエピソードの直筆原稿を展示。その規模は、史上最大なのだそう。
ほかにも『ブラック・ジャック』が誕生した背景を知ることができる貴重な資料や、手塚プロ関係者や編集者による証言映像なども上映されています。

開幕前日に行われた内覧会では、大阪大学名誉教授で大阪けいさつ病院院長、そして万博パソナ館のプロデューサーも務めるiPS心臓開発者・澤芳樹さんによるトークショーが開催され、『ブラック・ジャック』の世界を医学の視点からひも解きました。
4つのテーマで解き明かす「ブラック・ジャック」の世界
(C)Tezuka Productions 展示は全4室構成。部屋ごとにフォトスポットやキャラクター展示を交えながら、『ブラック・ジャック』の世界を立体的に体感できます。
「ブラック・ジャック」誕生の裏側へ
(C)Tezuka Productions 第2室では、手塚先生のアトリエを再現したブースや、医学ノート、博士論文などの貴重な資料を展示。『ブラック・ジャック』第1話の原稿や、作品誕生の秘密を語る関係者の証言映像など、創作の原点に迫ります。




(C)Tezuka Productions 圧巻の原稿展示が並ぶ第3室
(C)Tezuka Productions マンガ『ブラック・ジャック』の140話分もの原稿がずらりと並ぶ第3室は、まさに圧巻。これだけのエピソードの原稿が展示されるのは史上初のこと。
ブラック・ジャックの高額請求の謎に迫る「命vs金」、全ての命に真摯に向き合う「人でないものの命」など、作品の根底にあるテーマごとに展示されており、ストーリーの多様性と奥深さに圧倒されます。
(C)Tezuka Productions 現代と昭和をつなぐ“命の物語”
(C)Tezuka Productions 第4室では、当時の読者を魅了した“人体の手術シーン”を現代アート的な手法で再構成するなど、『ブラック・ジャック』の魅力を今と当時の視点から深堀り。
また、連載当時の社会事件やニュース映像と共に、時代背景から作品を読み解く展示も。“医学”と“社会”の両面から、『ブラック・ジャック』のメッセージが浮かび上がります。
iPS心臓開発者・澤芳樹さんが語る、現代医学と「ブラック・ジャック」

手塚先生と同じ大阪大学医学部出身の澤さんにとって、手塚先生はまさに偉大な先輩。学生時代、学園祭に手塚先生を招いた際に聞いた言葉が今も忘れられないといいます。
「医者になる前にもう一度、何のために医者になるのかというのを考えてください」
このメッセージは、今でも医師としての原点になっているのだそう。そんな澤さんが、『ブラック・ジャック』で印象に残ったエピソードを教えてくださいました。
現代のロボット手術と重なる手術シーン
(C)Tezuka Productions 作中でブラック・ジャックが鏡に映る自分を見ながら自分自身を手術する場面について、澤さんはこう語ります。
「医療技術がいろんな形でもっと進化していくことを手塚先生は期待していたんだと思います。あれは、今だとロボット手術に通じると思うんです。開腹はしませんが、3Dの映像を見ながら操作して手術するんですが、外科医的なエッセンスからいうと、鏡に映っている自分自身を見ながら手術するシーンと、ロボット手術のシーンが重なって見えます」
iPS細胞からピノコが……!?
(C)Tezuka Productions 「ブラック・ジャック」に欠かせない存在、ピノコについても興味深い視点を示します。
「ピノコはもともと“奇形腫”という良性の腫瘍なんですが、その奇形腫の中には髪の毛や腸の細胞があったり、骨があったりします。それをブラック・ジャックが取り出してさまざまな臓器を組み立て直し、息を吹き返したのがピノコなんです」
(C)Tezuka Productions そんなピノコが、iPS細胞をイメージさせるといいます。
「iPS細胞はどんな身体にも、どんな細胞にもなる遺伝子を持っています。もしもiPS細胞をそのまま身体の中に移植すると、ピノコのもとになった腫瘍になるんです。僕らはiPS細胞で何をしているかと言うと、どんな細胞にもなるiPS細胞をコントロールし、心臓の細胞にしかならないように工夫して調整し、iPS心臓を作っています。だから僕の解釈ですが、手塚先生はiPS細胞の出現を想定していたのではないか、と……」とイメージを膨らませていました。
コミックスからキュートなピノコグッズまでズラリ!




展示を抜けた先のグッズショップには、『ブラック・ジャック』の世界観を堪能できるアイテムがずらり。
コミックスやポスターはもちろん、ヒロイン・ピノコの「アッチョンブリケ スクイーズボール」やTシャツなど、かわいいアイテムが目白押しです。
お気に入りのグッズを見つけて、自宅でも“手塚ワールド”を楽しんでみて。
\from Writer/
『ブラック・ジャック』は全巻所持していて、何度でも読み返すほど大好きな作品です。それだけに、どの展示室でもエピソードを読みふけってしまいました。コミックスで思わず涙したエピソードを見つけ、そのストーリーに再び触れてうっかり涙がこぼれてしまいそうになりました。作品のおもしろさはもとより、エピソードに隠された手塚治虫先生の熱意や訴えたいこと、そして未来を予見させる技術など、さまざまな視点に気付かされる、まさにブラック・ジャック愛にあふれる展覧会でした。

手塚治虫 ブラック・ジャック展
会期:2025年12月14日(日)まで
開館時間:火~金 午前10時~午後8時、月・土・日・祝 午前10時~午後6時
※入館は閉館の30分前まで
休館日 会期中無休
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43あべのハルカス16階)
観覧料:【一般】2,000円(1,800円)【大高生】1,600円(1,400円)【中小生】500円(300円)
※( )内は15名以上の団体料金。
※障がい者手帳をお持ちの方は、美術館チケットカウンターで購入されたご本人と付き添いの方1名まで当日料金の半額。
※最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
撮影/筒井麻由 文/中野純子
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