

『連続ドラマW 怪物』水上恒司さんにインタビュー!「安田顕さんはまさに“怪物”レベルのすごい俳優」
『連続ドラマW 怪物』(WOWOW)に出演している水上恒司さんにインタビュー。韓国で大ヒットした同名ドラマの日本版リメイクである本作で、水上さんはキャリア警察官僚を演じています。先の読めないサスペンスの撮影の裏側、俳優としての生き方などについてお話を聞きました。※写真:Kaori Saito(All About)
『連続ドラマW 怪物』は、ある町で起こった猟奇的殺人事件を軸に、25年前に同じような事件で双子の妹が失踪してしまった警察官の富樫浩之(安田顕)とキャリア警察官僚の八代真人(水上恒司)が、互いに探り合いながら、共に事件を追いかけていくサスペンスドラマです。
キャリア警察官僚の八代真人を演じる水上恒司さんに、撮影の裏側、俳優としての生き方などについてお話を聞きました。
これまでの経験では太刀打ちできない難役に出会った
――『連続ドラマW 怪物』は謎が二転三転し、先が読めず、ずっとハラハラしながら見ていました。まず出演依頼があったときの気持ちと水上さんが脚本を読んだときに感じたことを教えてください。
水上恒司さん(以下、水上):僕は以前もキャリアの警察官僚を演じたことが何度かあります。自分の経歴の中では多い方ではないかと思いますが、『怪物』のストーリーはとてもダーティーで、これまで出演したことのないタイプのドラマだと思いましたし、出演できることがうれしかったです。
脚本を読んで、この役はこれまでの経験で太刀打ちできるレベルではないと感じました。僕にオファーをしてくださったスタッフの方々の期待に応えたいと思うと同時に「たくさん失敗できそうだ」という期待もありました。
――失敗することで学ぶという意味ですか?
水上:うまく演じたい、この役を成功に導きたいという気持ちはあるのですが、何もかもうまくいったり成功したりするより、失敗をして自分の何が悪かったのか学ぶことも大切だと思うので。難役に挑戦する気持ちで撮影に臨みました。
声のトーンと衣装など作り込んだ芝居に挑戦

――公式のインタビューで「作り込むことを意識した」とコメントされていますが、具体的にはどのように作り込んだのでしょうか?
水上:声ですね。声色の初期設定を行いました。その設定を基本に八代真人の声に幅を持たせようと思ったんです。最初に声の位置を決めたのは初めての経験でした。
それから衣装。真人の衣装はオーダーメイドのスーツなんです。自身はキャリア警察官僚で父親は警察庁次長というエリート一家出身なので、家柄のよさが衣装に反映されています。衣装や着こなしにも役の背景が表現されることはとても大事だと思うので、ビジュアルも含めて隅々まで役作りにこだわれたことはよかったです。
――それも1つのチャレンジだったんですね。
水上:衣装の着こなしでキャラクターの几帳面な性格が表現できると思うので、そういうところも意識して演じられたのが僕は楽しかったです。
――真人のキャラクターはどのように解釈して演じましたか?
水上:「自分にはこれしかない!」と、思い込んで突き進むタイプの人です。真人にとって「これしかない」と感じられたのが、今回の事件。彼はこの事件を解決することで、警察庁のトップの座を狙う父親から自立しようと強く思っています。この事件は真人にとっては、絶好のチャンスなんです。
僕の家族は健全で普通なので、真人の家族に対する歪んだ感情を理解するのは難しかったのですが、犯人を捕えることに躍起になっていくその熱い気持ちの背景には、家族に認められたいという願望も隠されているのではないかと。その気持ちは大切に演じたいと思いました。
安田顕さんの怪演に圧倒される!

――安田顕さんとは初共演ですが、お芝居を一緒にされた感想は?
水上:まさに“怪物”でした。適した言葉が見つからないというか、言葉にするほど真実から離れていくような気がするので難しいのですが、すごい俳優です。なぜなら、富樫のような複雑な役ができる人は、そんなに多くはないと思うからです。
僕は共演して、安田さんから勇気をいただきました。芝居、役作りは「自分がどうしたいのか」という考えと、それを実行できる強い気持ちが必要です。安田さんの演技から、そういう気持ちをしっかり持って芝居に臨まないと「この先、この世界で生きていけないぞ」と言われているような気持ちになりましたし、芝居の濃厚さに圧倒されました。
野球経験が俳優業に影響を与えている

――水上さんのプロフィールを見ると、小学生の時に野球を始めて、高校は強豪校に進学して、キャッチャーとして甲子園を目指していたとのことですが、野球経験が役者の仕事に生かされていると思うことはありますか?
水上:その影響はあると思います。
――それはキャッチャーとしての視野の広さなどでしょうか?
水上:俳優として、カメラの前で「その役を生きる」ことに没頭できたら、それが一番いいことだと思うんです。でもそれは自然にできることではなく、まず演じることに集中できるメンタルと環境を作っていかなくてはならない。脚本をいただいたら、十分に準備をして本番を迎えますが、自分の力を100%発揮できるようになるには視野を広く持つことも重要だと思うんです。
共演者の方やスタッフさんの動き、カメラの位置など、芝居だけでなく周囲の環境も意識して捉えておかないといけない。そういう意味でも視野の広さは必要だと思いますし、野球をやっていた経験が生きているのではないかと思います。

――とても真摯(しんし)に俳優の仕事に取り組んでいらっしゃいますが、お芝居に触れたきっかけは野球部を引退して演劇の舞台に立ったときですよね。ここでお芝居の面白さに目覚めたのでしょうか?
水上:そうですね。今思えば、あのとき芝居に惹かれたのは必然だったのかなと思います。どんな仕事をしても成長はできると思いますが、僕はこの仕事で得たものが大きく、成長できたと感じるので。高校を卒業してから、26歳の今まで俳優として生きてきて、今、ほかの仕事は考えられないですね。
――お芝居に魅了されているのですね。演じることは楽しいですか?
水上:楽しいという感じではないです。お仕事の依頼をいただいて、脚本を読んで「面白い、やってみたい」と思うのですが、主演作の場合は、座長として周囲のことも考えながら芝居に臨まなければなりません。やりたいことをやればいいというわけにもいきませんし、演技以外のことにも気を配るなど、大変なことは多いです。
永遠に仕事の依頼があるとは限らないので、僕は「今しかない!」という気持ちで仕事に臨んでいます。ずっとこの仕事ができたらいいと思っていますが、人生何が起こるか分からないので、今は一つひとつの作品に懸命に取り組むことしか頭にありません。芝居が楽しめるようになるにはまだ時間がかかると思います。

――最後に完成した『怪物』を見た感想について教えてください。
水上:安田さんをはじめ共演者の皆さんが、それぞれの役が持つ世界をきっちり演技で見せていて、ドロドロした関係性が交わっていくさまがすごい熱量で伝わってきました。推理する楽しみもあり、僕が見た感想と同じような感想を視聴者の皆さんも抱くのではないでしょうか。
ただ、自分の演技に関しては、全力で取り組みましたが、まだまだです。撮影のときのイメージと完成した作品における自分の演技にギャップを感じてしまい、満足する芝居には到達できておらず、経験が足りないのかもしれません。
僕のデビュー作『中学聖日記』(TBS系)で共演した夏木マリさん、夏川結衣さんが「正直、うまくいったなんて思ったことは一度もない」とおっしゃっていたんです。大先輩のおふたりでさえ、そのように思うのですから、僕が「納得できる芝居」と胸を張って言えるのは何年も先になると思います。
とはいえ、今まで出演したことのないダークな世界観のドラマで、演じていてとてもやりがいを感じることができました。全10話、緊張感あふれるスリリングな作品なので、ぜひ楽しんでください。
水上恒司さんのプロフィール
1999年5月12日生まれ。福岡県出身。
2018年オーディションを経て『中学聖日記』(TBS系)で俳優デビュー。2020年『弥生、三月-君を愛した30年-』で映画初出演。以降、ドラマ、映画など多数出演。主な出演作は『死刑にいたる病』(2022)『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)『劇場版 アナウンサーたちの戦争』(2024)『八犬伝』(2024)。最新作は『九龍ジェネリックロマンス』(2025年8月29日公開予定)『火喰鳥を、喰う』(2025年10月3日公開予定)『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』(2025年12月公開予定)。
『連続ドラマW 怪物』(WOWOW)
放送・配信日:WOWOWにて2025年7月6日(日)午後10時スタート(全10話)【第1、2話無料放送】
出演:安田顕、水上恒司、剛力彩芽、藤森慎吾、真飛聖、早乙女太一、久保史緒里(乃木坂46)、小手伸也、橋本じゅん、光石研、高畑淳子、渡部篤郎
原作:『怪物』(制作・著作:SLL JOONGANG Co.,Ltd 脚本:キム・スジン作家)
監督:鈴木浩介、池澤也
脚本:前川洋一
撮影・取材・文:斎藤香
ヘアメイク:Rina Kajiwara
スタイリスト:カワサキ タカフミ
執筆者:斎藤 香(映画ガイド)
関連記事
-
京町家リノベーションの匠による、箱根の新境地。期待の新旅館「Nazuna 箱根 宮ノ下」の全貌All About
-
専門家が解説!ジャパネットの特別な船旅~バイキング・エデンのチャータークルーズ、驚きの中身とは?All About
-
北欧スタイルの客船「バイキング・エデン」の日本発着クルーズ。大人限定の特別な船旅をレポートAll About
-
名古屋は「エスカレーター立ち止まり利用」先進国? 市民の意識を変えた取り組みの“ヒミツ”All About
-
「東横インも激おこじゃん」「これは困る」Agodaの“予約トラブル”が話題に…原因は? 対策法はある?All About
-
快進撃が止まらない話題作! 歌舞伎をまったく知らない人でも思わず見たくなる映画『国宝』の魅力4つAll About
「その他」カテゴリーの最新記事
-
豊昇龍が3日連続で金星配給、4日連続なら94年ぶりの不名誉記録に 八角理事長「気持ちしかない」デイリースポーツ
-
広島が17戦ぶり4得点 モンテロが172打席ぶり一発で球団ワースト記録到達を阻止デイリースポーツ
-
阪神 才木は6回3安打2失点で降板 五回2死まで完全投球も六回につかまる 中7日で登板も代打を送られて90球で降板デイリースポーツ
-
後輩のミスを笑う先輩...さらに変なランキングまで作っていて!?幼稚すぎてドン引き!Ray
-
真夏のダメージ肌をケア!「ハイスペックコスメ」で攻めのスキンケアを♡Ray
-
【バイト】仕事できる順にランキングづけする先輩...一緒に作っていたのはまさかの人物で!?Ray
-
【鼠賊】はなんて読む?わからなかったら答えを確認して!Ray
-
菅野美穂「ツチノコは信じています」 都市伝説好きな一面 赤楚衛二も「チュパカブラはいて欲しい」デイリースポーツ芸能
-
「イカゲーム2」エミー賞候補ならず 韓国メディア「異例だ」シーズン1は6冠を達成デイリースポーツ芸能