

“楽”で“きれい”へのあくなき挑戦 技術革新で快適性の表現は多彩に

新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)は私たちの生活や思考に大きな影響を与えた。当時の生活は過去の記憶となりつつあるが、あの時に向き合った「心身の健やかさ」や「心地いい暮らし」への渇望は今の生活につながっている人は多いのではないだろうか。体に直接身に着ける下着もその一つ。快適性の追求は多様化し貪欲(どんよく)になっている。
(ランジェリーライター 川原好恵)
ノンワイヤブラ逆転
外出が制限されて在宅勤務が浸透し、これまで経験のない長い〝おうち時間〟を過ごしたコロナ禍。下着業界では自宅で過ごすのに楽なノンワイヤブラやハーフトップなどのリラックスブラの需要が一気に伸びた。当時の取材メモを見ると、20年3月に東京都知事が外出自粛を要請した翌日は、ある下着メーカーのリラックスブラの売り上げが4~6倍を記録したとある。もちろん、ノンワイヤブラはすでに広がりを見せていたが、コロナ禍はより幅広く浸透し定着するきっかけとなった。現在の市場を見ればわかる通り、ノンワイヤブラの人気はアフターコロナも継続。一度スニーカーを履いて出勤する楽さを知ってしまったら、我慢してハイヒールを履く気になれないのと同じだろう。
それを裏付けるような下着市場のデータが、4月に開催されたトリンプ・インターナショナル・ジャパンの新製品記者会見で発表された。16年は枚数ベースでワイヤブラが56%でノンワイヤブラが44%だったのに対し、24年はワイヤブラが35%でノンワイヤブラが65%と大きく逆転した(データ元=インテージSLI)。今後、この流れはさらに加速し、ワイヤブラは衰退するのか。そう簡単ではないのが女性心理であり、下着という商材の面白さ。美に対する女性の探究心は果てしない。今や楽で快適であることは大前提であると同時に、きれいであることも実現できる。それが現代の女性がブラジャーに求める条件だ。実際、ブラジャー購入時に重視する点に関するアンケートでは、53%が「着け心地がいい」と回答する一方で、35%が「着け心地の良さとデザインの良さを兼ね備えている」、32%が「着け心地の良さと美しいバストシルエットを兼ね備えている」と回答し、〝楽〟プラス〝デザイン性〟、〝楽〟プラス〝バストメイク力〟を求める傾向が強いことを示した(トリンプ調べ)。
ワイヤブラで差別化
個性派ランジェリーブランドが増えている現在、「楽でおしゃれ」なブラジャーはたくさんある。それとは差別化し、「楽できれい」という欲張りな要望にワイヤブラで応えようと持ち前の技術開発力で挑んでいるのが大手下着専業メーカーだ。
まず、トリンプはノンワイヤレベルの快適さを実現する「コンフォートワイヤー」をグローバルで開発した。柔らかい素材で軽くしなやかなコンフォートワイヤーを採用したブラジャーを、ワイヤブラとノンワイヤブラのいいとこどりした新カテゴリー〝ハイブリッドブラ〟と名付けて強化している。その主力商品が3月発売の「秘めわざ」で、ブランドアンバサダーに菜々緒を起用したテレビCMも展開した。
23年、24年と2年連続でワコールウェブストアのブラジャー部門において売り上げトップを誇るのは「ウイング」の「マッチミーブラ」だ。発売されたのは21年だが、前年比29%増(24年4月~25年3月)と伸長を続けている。前中心に体温で変形する樹脂シートが内蔵されており、その樹脂シートがバストに合わせて伸縮して、フィット感を高めてくれるという、まさにテクノロジーを駆使して女性たちの要望に応えるワイヤブラだ。
価値観は十人十色
快適性を求める傾向は日本だけの話ではない。パリ国際ランジェリー展では、フランスを代表するブランドであり、世界80カ国で販売されている「シャンテル」においても、軽量で伸縮性が高く通気性のある生地を接着技術で形にするソフトストレッチシリーズが販売枚数の56%を占めると聞いた。同展のブース内ディスプレーも、メインに飾られているのは繊細なレースのデザインランジェリーではなく、コンフォートを訴求するブラジャーだった。
また、米国だけでなく欧州でも人気で、百貨店での取り扱いも続々増えているキム・カーダシアンが手掛ける「スキムス」も、編み立て成形の下着を着るだけでボディーラインを整えるという点では「楽できれい」に加え「便利」を追求した下着と言えるだろう。
今や「楽」か「きれい」かのどちらかを選択する時代でもなければ、「楽」の捉え方も「きれい」の基準も十人十色。さらには、ひとりの女性の中で「楽」や「きれい」に対する考え方はグラデーションに変化していく時代だ。そんな女性のマインドの変化に呼応しながら進化していく下着市場に今後どんな商品が誕生するのか、注目したい。
■川原好恵(かわはら・よしえ)
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験し、独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、様々な媒体で執筆・編集を行う。
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