

《ちょうどいいといいな ファッションビジネスの新たな芽》「DAR AMAL」 モロッコと日本をつなぎ仕事を作る

アラビア語で希望の家を意味する「DAR AMAL」(ダールアマル)は、カモチリナさんが13年に始めたエシカルブランドです。モロッコの小さな村、ムーレイイドリスと日本の2拠点で生活しながら、モロッコの女性たちが手作業で刺繍をした生地をバッグやポーチにして日本で販売しています。国際協力機構(JICA)の海外青年協力隊で雇用を作るためにモロッコに派遣されたことがきっかけで、任務を終えた後に事業を立ち上げました。
公平に頼む
商品は小麦粉の袋を土台に刺繍を施しています。当初は伝統的なフェズ刺繍で製作していましたが、繊細で目を酷使するため、視力が衰えると続けられません。長年刺繍に従事し、年齢を重ねた女性たちに仕事を頼めないことをカモチさんはもどかしく思っていました。ある日、村でおばあさんが持つ小麦粉の袋のバッグが目に留まり、「昔はこうやってバッグを作っていたのよ」と聞いて「これだ!」と思ったそう。小麦粉の袋は目が粗くて糸の目を取りやすいので、視力が落ちても刺繍ができます。
公平さを大切にするカモチさんは、若くて作業も早い人には織目の細かい布を、視力が落ちた人には小麦粉の袋をと、それぞれの特性や状況に合わせて刺繍の仕事を振り分けます。街で仕入れる布はお金が必要。しかし、主食のパンに使われる小麦粉の袋は、日常的に廃棄されていて調達が容易です。パンデミック(世界的大流行)時も村から出ずに作り続けられました。布よりも軽いので輸送コストが抑えられます。

生きる希望
最初は現地で雇用を創出したいと縫製もムーレイイドリスでしたが、袋状にミシンでまっすぐに縫うことや、同じ形の量産に苦労したそう。技術を習得した2人が同時期に結婚して仕事を辞めたことをきっかけに、19年ごろに日本の縫製工場への変更を決断。しかし、最初に依頼した工場との契約が終了するなど、工場探しは続きました。

現在は三つの就労支援施設で縫製しています。時間はかかりますが、とても丁寧に美しく作ってくれるそうです。施設によってできる技術が違い、製品によって依頼先を変えます。施設の利用者の得意なことを理解する担当者との相談から、新商品も生まれました。
「モロッコの女性たちにとって仕事は生きる希望です」というカモチさん。10年後も20年後も生活はあるのだから、仕事を続けられるように事業を続けていくことが大事です。ダールアマルの仕事によって、女性たちは家計に計画性を持てるようになりました。子供に服を買ったり、薬を買ったり、滞納した水道代を払えたり、家に屋根がつけられたり。みんなのうれしそうな姿や「ありがとう」の言葉に、少しは役に立てているかなとやりがいを感じています。


■ベイビーアイラブユー代表取締役・小澤恵(おざわ・めぐみ)
デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、主に新規事業開発の現場と経営で経験を積み、14年に独立、ベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドのウェブサイトやEC、SNSのコンサルティング、新規事業やイベントの企画立案を行っている。
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