ゴールドウイン、販売体制変更で成果 エリア別組織で同質化防ぐ
ゴールドウインは、24年4月に実施した販売体制の変更策が奏功している。販路別組織をエリア別に再編したことで、近隣に立地する売り場の同質化を防ぎ、売り上げの最大化につなげている。販売ロス率(総売上高に占める返品と値引きの割合)を低水準に維持することにも寄与している。
同社の販売部はこれまで、「直営店」「ホールセール」と流通別組織だったが、「北日本」「東日本」「中日本」「西日本」とエリア別に変えた。これにより、近隣に立地する専門店や大手スポーツ小売りチェーン内のインショップ、直営店同士のカニバリゼーション(共食い)を起こさないようにした。
例えば名古屋では、「アルペンナゴヤ」の4階フロア中央に大きな「ザ・ノース・フェイス」(TNF)のショップ・イン・ショップを構え、約200メートル離れたラシックにもTNFの直営店がある。「今まで同様のケースがあっても(流通別組織のため)どちらも総合的な品揃えになりがちだったが、新体制下ではアルペンナゴヤはライトトレッキング、ラシック店はライフスタイルとキッズを中心にMDを組むなど、店舗ごとの役割を明確にしてすみ分けを図り、相乗効果を高められている」(今井豊執行役員販売本部長)という。
消化が進みやすい売り場に商品を移すなど、「在庫の流動化」もしやすくなっている。以前なら、責任者は担当する販路の数字を守ろうとして在庫を抱えがちだったが、「今はエリアごとの最適化を優先しているため、販路を超越して在庫を流動化できるようになった」(渡辺貴生社長)。その結果、特に24年春夏は売れる店に優先的に商品が回り、店頭が活性化。「上期(4~9月)に直営店売り上げが前年同期比2ケタ成長した要因の一つ」(渡辺社長)になっている。販売効率も高まり、上期の販売ロス率は1.3%となり、引き続き低水準を維持できている。
同社は今後も、エリア別のマーケティングを強化し、売り上げを最大化させつつ、「在庫を残さない仕組み作り」(渡辺社長)に磨きをかける。
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