20代の約6割、未経験職種への転職で年収アップ。年収増につながるポイントは?

20代の約6割、未経験職種への転職で年収アップ。年収増につながるポイントは?

2024.12.19 11:10

パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」はこのほど、「20代 未経験職種※1への転職時 決定年収※2レポート」を発表しました。

これは、2019年度から2023年度にかけて「doda」エージェントサービスを利用して転職した20代のデータを分析したもので、決定年収の変化や、年収アップにつながったポイントを解説しています。

※1:リリースにおける「未経験職種への転職」は、はじめての転職かつ前職と異なる職種に就いた転職と定義

※2:決定年収とは、転職者を受け入れる企業が、採用決定時に個人に対して提示する年収のこと

■解説:doda編集長 桜井貴史(さくらい たかふみ)氏

経験者採用が依然として多い一方、職種未経験可能求人は5年間で約4倍。売り手市場で採用条件を改善する企業が増加、未経験職種への転職時も年収アップする傾向に

経験者採用が中心である中途採用においては職種未経験者を対象とした求人が占める割合は10%未満に留まっているのが現状です(図1)。

一方、職種未経験者からの応募を歓迎する「職種未経験可」の記載がある求人数は、2019年から2023年の5年間で約4倍となり、未経験職種へ挑戦する間口が徐々に広がっています(図2)。こうした状況のなかで、今回の調査では、転職者の約半数が未経験職種への転職である20代に注目しました。

20代の未経験職種への転職者は、2019年度から2023年度にかけて約1.4倍に増加。転職前後の年収の変化をみると、2023年度は6割近くの個人が年収アップをかなえ、平均決定年収金額は2019年度と比べて26万円アップ(358万円→384万円)しています(図3)。

なお、過去5年間で平均決定年収金額の増加が目立った職種や転職後に年収アップをかなえた個人の割合が大きかったのは「クリエイター・クリエイティブ職」「営業職」「事務・アシスタント職」となっています。

未経験職種への転職ながら年収アップ傾向がみられるのは、売り手市場の中、企業が未経験人材の採用においても採用競合他社より良い条件を提示する必要性が高まっているためだと考えられます。

昨今、さまざまな職種で経験者の採用難易度が上がっていることから、求人数の伸びでもわかる通り、入社後の研修制度を充実させたうえで未経験採用にも間口を開く企業が増加傾向にあります。

特に、前職の経験で磨かれた、職種を超えて活かせる汎用的なスキル、いわゆるポータブルスキルを持つ人材に注目し、企業が待遇改善に動いたことから、年収アップにつながったと推測されます。

中途採用市場は、2024年度以降も経験者採用が大部分を占める傾向は変わらないものの、上記のような理由から20代を中心に未経験職種に挑戦できる機運はより高まっていくと考えます。

未経験の職種に挑戦する際、自身の強みを活かせる仕事の選択肢を知り、必要に応じてスキルを磨き、自らの意思でキャリアを選び行動していくこと、つまりキャリアオーナーシップを発揮することで、自身の納得するキャリアを描ける可能性が高まるのではないでしょうか。

■20代 職種別 転職前後の年収増減と決定年収額の変化

ここからは、「20代×未経験職種への転職」に絞って、決定年収増加額が目立った職種、2023年度の転職者のうち転職後に年収アップした個人の割合が高かった職種に注目し、トピックスごとに解説しています。

◇<未経験職種への転職時 決定年収増加額が目立った職種>

前職「クリエイター・クリエイティブ職」から未経験職種への転職 

2019年度 345万円 ➡︎ 2023年度 391万円で、+約47万円※3

前職が「クリエイター・クリエイティブ職」だった人のうち、2023年度の未経験職種への転職者の割合は約半数を占めました。また、未経験職種への転職者の平均決定年収の推移を見ると、過去5年間で約47万円アップしています(図4)。

「クリエイター・クリエイティブ職」で得られるスキルや経験との親和性の高さから、「マーケティング職」へ挑戦する個人が多い傾向が見られます。加えて、「マーケティング職」の採用を強化しているWeb系の広告代理店やコンサルティング会社は、年齢構成が比較的若いこと、また経験者の母数が少ないことから、若手のポテンシャル採用を積極的に行っています。

こうした状況で、親和性が高いスキルや経験を持つ人材は、入社後の活躍が見込まれ、年収を引き上げて採用する企業が多く、決定年収増加額を押し上げた要因の一つになっていると言えるでしょう。

※3:小数点以下第一位を四捨五入しているため、転職前後の年収と増加幅の金額が異なります

▽異職種転職の際に評価されるポータブルスキル

「クリエイター・クリエイティブ職」は、大きくWeb系職種と映像系職種に分けられます。

Web系職種には、サイトの企画立案者であるWebプランナーや、Webデザイナーなどが該当します。クライアントの意図を汲んだうえでよいものを作り上げ、目標を達成することが求められる仕事のため、「ニーズを引き出し、くみ取るスキル」や「数字やデータの分析力」「PDCAを回す力」がポータブルスキルとして評価されるでしょう。

映像系職種には、イベントや芸能関係のディレクター、制作技術などが該当します。多くの人を巻き込み、調整しながら進めていくことが必要不可欠であるため「調整力」や「巻き込み力」などが評価されるポイントだと考えます。

▽異職種転職で年収アップをかなえるケース

上記ポータブルスキルが活かせる、かつ前職の業務経験と繋がりがある領域での異職種転職の場合、即戦力として入社後の活躍が期待できることから年収アップにつながりやすい傾向があります。

例1:Webプランナー時代の市場調査やプロモーション企画経験などが評価され、事業会社のネット広告や販促PRを担う「マーケティング職」に転職したケース

例2:制作会社の映像ディレクターで培った業界知識や人脈などが評価され、代理店の「広告・メディア営業職」に転職したケース

前職「営業職」から未経験職種への転職 

2019年度 363万円 ➡︎ 2023年度 401万円で、+38万円

前職が「営業職」だった人のうち、2023年度の未経験職種への転職が占める割合は約40%でした。また、未経験職種への転職者の平均決定年収の推移を見ると、過去5年間で38万円増加しています(図5)。

「営業職」は、20代後半になるとリーダー職に就くなどして年収水準が上がるケースが多いため、異職種転職の場合、メンバー層である20代前半を中心に年収アップがかないやすい傾向にあるのが実情です。

そのため、若手の採用を希望する企業が、営業経験者の汎用性の高いポータブルスキルや近しい業界知識を持つ人材のポテンシャルに期待し、年収を引き上げて採用していると考えられます。

▽異職種転職の際に評価されるポータブルスキル

「営業職」の場合、業種によって評価されるポイントに変化があるものの、「コミュニケーションスキル」「ニーズを引き出すスキル」「顧客関係構築スキル」、また自社製品を顧客に選んでもらうための「分析力」「プレゼンテーションスキル」なども、共通して評価されるポータブルスキルだと考えられます。

▽異職種転職で年収アップをかなえるケース

ポータブルスキルと経験業種から得られるスキルやノウハウを掛け合わせることで、転職後の年収増加をかなえやすいと言えるでしょう。

例1:広告代理店の広告営業として、販売促進課題や集客課題に対し、数値の分析による継続的な課題特定が目標達成 につながった経験が評価され、ベンチャー企業の「マーケティング職」や「営業企画職」へ転職したケース

例2:PL・BSの知識や銀行への融資交渉経験が評価され、金融業界の「法人営業」からスタートアップ企業の「経理職」へ転職したケース

◇<未経験職種への転職後 年収アップした個人の割合が高かった職種>

前職「事務・アシスタント職」から未経験職種への転職

2023年度は3人に2人が年収アップ

前職が「事務・アシスタント職」だった人のうち、2023年度の、未経験職種への転職が占める割合は約半数でした。また、未経験職種で年収アップした個人の割合は過去5年で10%増加。2023年度においては3人に2人が年収アップをかなえています(図6)。

平均決定年収も過去5年で28万円アップ(2019年度 356万円→2023年度 384万円)しており、企業はDXなどの業務効率化を推進する中で、業務改善や効率化につながるスキルや実務経験を持つ元事務アシスタント職の個人を採用するケースが増加していることが要因だと推測します。

▽異職種転職の際に評価されるポータブルスキル

「事務・アシスタント職」には、業種にかかわらずどのような企業活動にも必要とされる「一般事務」「経理事務」「人事事務」などのほか、専門性が高く特定の分野に特化した「貿易事務」や「医療事務」「金融事務」などさまざまな種類があります。

いずれの場合にも、1名で複数案件の事務作業を担うことが多いため「マルチタスク処理能力」や「関係者との連携・コミュニケーション能力」が強みであり、評価されるポータブルスキルといえるでしょう。

また、専門知識の取得にむけて「継続的に学ぶ姿勢」があることも評価されるポイントです。

▽異職種転職で年収アップをかなえるケース

「事務・アシスタント職」は比較的年収が低い水準であるため、異職種転職で年収アップをかなえやすい職種です。

とくに、すでに事務知識のある領域の専門職に転職するケースでは、即戦力としての活躍が期待できることから、より年収アップをかなえやすいといえます。個人や組織の業務効率アップにつながるエクセルスキルやSaaSサービス活用経験があることも年収アップへのアピールポイントになるでしょう。

例1:「経理事務」で培った経験や簿記資格を活かし、事業会社の「経理」へ転職したケース

例2:Excelのマクロを使って組織の業務効率改善をした実務経験が評価され、「営業事務アシスタント」から「営業企画職」へ転職したケース

■調査概要

対象:2019年度〜2023年度に「doda」エージェントサービスを利用した転職者のうち、「転職回数0回」かつ前職と異なる職種へ転職をした20代のビジネスパーソン

調査実施時期:2024年8月〜9月

(エボル)

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