

<チ。>夢と未来を語らう“知”に迫るノヴァクという“血”の恐怖、この先の暗喩に思えた冒頭の拷問シーン

アニメ「チ。―地球の運動について―」(毎週土曜深夜11:45-0:10、NHK総合/Netflix・ABEMAで配信)の第11話「血」が12月7日に放送された。本作は魚豊による同名漫画を原作としたアニメ作品。地動説の可能性を信じ、証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語が描かれていく。前話の「知」から、「血」へと変わった今話のタイトル。異端審問官ノヴァク(CV.津田健次郎)の登場と共に、表題「チ。」の意味を改めて深く考えるエピソードが展開した。(以降、ネタバレが含まれます)
地・知・血を含むトリプルミーニング
表題「チ。」には、いくつもの意味が込められているというのはこれまでの物語から読み取れることだ。地動説、地球、大地を示す“地”。知識や英知を示す“知”。そして、今話では、“血”がタイトルとなった。ノヴァクが言った、「世界を今のまま保持するために必要なものは、“血”だ」というのは分かりやすく伝わる言葉だろう。
教会が定める真理、思想を正として信仰を集めるために、反思想を異端、邪教信仰として裁く。そうすることで世界の秩序は1つになり、保持されていく。そのための異端審問官の仕事は、異端者かどうか真偽を付けることではない。異端者だという事実を作ることだ。仕事に忠実なノヴァクの言葉は、異端審問官の役割は教会のために血の犠牲を作ることだという風に聞こえるものだった。
ただ、「血」の意味がそうした直接的な“血”を指しているだけでないのは、物語を振り返れば分かるところだ。医学的な“血”ではなく、性質的な“血”。フベルトからラファウへ。ラファウから名も知らぬ異端者へ。さらに現在のバデーニ(CV.中村悠一)へと、真理を追い求め、石箱の“知”をつないできた探究者たちの“血”こそが、きっと「血」が示す本質的な意味になるのだろう。ノヴァクが出てきたことで大方の予想通り陰鬱な展開となった第11話だが、改めて本作の深さを見るエピソードでもあった。
また、ノヴァクに関して言えばもう1つ、“血”の関係が明らかになった。ノヴァクとヨレンタ(CV.仁見紗綾)の親子関係だ。以前より彼の口から娘がいることは伝えられ、第7話、ヨレンタと父親のやり取りから予想されていたことが明確になった形だ。異端審問官であることを娘ヨレンタに隠していたノヴァク。その彼が見たものは、異端と通報が入った人物とテーブルを共にするヨレンタの姿だった。バデーニとオクジー(CV.小西克幸)にだけ正体を明かしたノヴァクだが、自分の娘も異端の研究に関わっていたと知ったとき、彼はどんな行動を取るのだろうか。
夢と未来を語る3人に忍び寄る恐怖
いやが応でもノヴァクに意識を持っていかれた回だったが、後半のバデーニ、オクジー、ヨレンタが集まるシーンも大きな注目ポイントだった。バデーニは改めて地動説の完成を2人に告げ、今この瞬間も自分たちは動いていると、衝撃を与える。バデーニは“これから”の行動として、南西の共和国に移ると話す。彼の話では、そこでは比較的自由に研究ができるらしい。
今まで宇宙論絡みのことが特別な弾圧対象のように描写されていたが、冒頭のノヴァクの台詞にもあったように、どうやらそれはこの地域を管理する司教に原因があるらしかった。また、バデーニが手を止めた手紙には、何を書き、誰に送ろうとしていたのか。再びあったオクジーの本への反応も気になるところだ。
一方、オクジーも別の街へ移るというが、お金を貯めて、大学へ行きたいという言葉で2人を驚かせる。文字を覚え、本を書き、絶望しか見えていなかったオクジーに夢が生まれたのは喜ばしいことだが、2人のツッコミ反応と、夢があれば「とりあえず一週間くらいは悲劇に耐えられる気がします」と、独特な夢への価値観がオクジーらしいところだった。
そして天文研究所で働くヨレンタは、新しくできた天文の研究班に採用されたと言い、ゆくゆくは自分の名前で論文を発表したいと話す。誰でも平等に研究を発表できる未来、自由な知的空間ができるいつかの未来のためにと。
第2章も佳境に入ってきたところだが、教会に知られてしまったことで、バデーニとオクジーの今後に緊張が走る。冒頭の拷問シーンはこれからの暗喩に思えて仕方がない。放送後のSNSにも「ついに『知と血』が対面。ノヴァクが怖すぎる」「バレたとしたら誰がタレこんだ?どこから漏れた?」「こうやって真実に辿り着く為に何人もの命が潰され燃やされ、犠牲にされてきたんだなって思うと、辛くて見てられない」と、次回での身を案じる声が多く寄せられている。
◆文=鈴木康道
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