

<チ。>真理の追究に必要なのは無謀な第一歩、思い出されるのは「不正解は無意味を意味しない」という言葉

アニメ「チ。-地球の運動について―」(毎週土曜深夜11:45-0:10、NHK総合/Netflix・ABEMAで配信)の第8話「イカロスにならねば」が11月16日に放送された。本作は魚豊による同名漫画を原作としたアニメ作品。地動説の可能性を信じ、証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語が描かれていく。今話では天文の難問を解いたヨレンタ(CV. 仁見紗綾)にバデーニ(CV.中村悠一)が接触。「地動説」の共同研究を持ち掛けるバデーニに対し、ヨレンタの心は大きく揺れ動いた。(以降、ネタバレが含まれます)
イカロスの逸話に例えた探究者に必要な一歩
フベルト、ラファウから始まり、宇宙の真理を追究するために危険を冒し、地動説の証明に命を懸ける探究者たち。第2章でラファウの意思を受け継いだのは卓越した頭脳を持つ修道士バデーニだが、彼らに共通しているのは神が作った宇宙を否定することではなく、神が作った宇宙だからこそ完璧な形、美しさを持っているはずだという、その考えである。
一方、宇宙論の大家ピャスト伯(CV.ふくまつ進紗)も神が作った宇宙だからこそ、一点の綻びもない完璧な天動説を完成させようと心血を注いでいた。両者向かう方向こそ違えど、真理を探究する研究者としての信念は同じもの。その上で、ピャスト伯は真理に辿り着くにはあと一歩の無謀さが足りないと感じていた。
その例えに出てきたイカロスとは、現実ではギリシャ神話に登場する青年の名前だ。ピャスト伯が語った通り、蝋で作った翼で太陽に近づきすぎたせいで翼が溶け、墜落死したと伝えられている。現代では無謀な挑戦の象徴として語られることが多いこの逸話だが、イカロスの無謀さは勇気として讃えられる一面にもなっている。
かくいうピャスト伯も名家から勘当され、一族から笑われるようとも真理の探究のために天文学の研究を選んだ人物だ。門下たちにも研究を飛躍させる無謀さを求めるが、その無謀さを持って宇宙の真理に挑もうと決意したのが、女性だからという理由で同僚により研究会から弾かれているヨレンタだった。
真理の探究には抗えない研究者ヨレンタ
前話、抗えない探究心からバデーニが掲示した天文の難問に解答を貼ったヨレンタ。間の悪いことにその現場をバデーニに目撃され、解答者は誰なのかと問い詰められていく。必死にシラを切るヨレンタへのバデーニの詰めっぷりが巧みすぎて、知的でありながらもちょっとした笑いも誘われるようなシーン。そうした会話の中、地動説の研究に恐れをなしたヨレンタだったが、真理を求めるというバデーニの言葉に心は揺れる。さらに決定打として背中を押したのは、ピャスト伯との会話だ。
バデーニが語った地球が動いているという地動説に続き、聖書は真理だが、「それを我々が正しく読めているとは限らない」というピャスト伯の考えは、ヨレンタが今まで思ったこともなかった視点だった。天文のことだけでなく、社会的制約を受ける女性の立場も、聖書の読み解き違いからくるものだとしたら…。
このときピャスト伯が手に持つロウソクが溶けるカットはイカロスの逸話に掛けたもので、ヨレンタが世界を変えるという無謀な挑戦に踏み出す決意を固めた瞬間を示唆する演出。前話、「ここが私が見られる最上の景色なんだ」と諦めで空を見上げたヨレンタの中で、世界が広がった瞬間だったに違いない。
終盤ではヨレンタ、バデーニ、オクジー(CV.小西克幸)が協力を求め、ピャスト伯と面会。ピャスト伯は、自分の人生を賭けた探究が間違いだったとする地動説の主張に怒りで手を震わせる。しかし、それこそが真理かもしれないというバデーニに、返す言葉を失ってしまう。そして、記憶に蘇るのはこの天文研究所のドアを叩いた若かりし日のことだった。
ただ1つの真理に向けて手を取り合ったヨレンタとバデーニ。そこにピャスト伯の手は加わるのだろうか。思い出されるのは、かつてフベルトがラファウに言った「不正解は無意味を意味しない」という言葉だ。
◆文=鈴木康道
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