《めてみみ》時間を味方に
2024.10.30 06:24
提供:繊研plus
昨年、東京証券取引所はプライム・スタンダード市場の上場企業に向け「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表した。その後も投資家から高評価の企業事例を紹介するなど、株主重視の流れは加速する。投資家から歓迎の声が上がる一方、経営者からは異論も聞かれる。
「企業価値の向上」で両者相違はないが、問題は手法。時に過剰とも思える増配や、歴史や伝統を考慮しない株主提案も見受けられる。経営に対する時間感覚の違いも大きく、短期的な収益やスピード感を求める投資家も多い。「見知らぬ株主からいつどんな提案が来るかわからない」と経営トップの悩みは深い。
繊維アパレルの多くは中小企業。近年は、下請け中心だった工場などが自社ブランド、DtoC(消費者直販)販路の立ち上げなどを積極化している。人・物・金の不足を嘆きつつ「お金さえあれば、もっと広告宣伝費を使えるのですが…」というつぶやきも聞く。
ただ、収益や株価を厳しく問われる上場企業に対し、中小企業を中心とした非上場企業は中長期的視点での経営はしやすい。ブランドを育てる時間は十分ある。商品を開発した、ECを始めたといっても、簡単に結果が出るものではない。大事なのは曲折があっても「この事業を育てるんだ」という経営者の強い意思。時間は大きな武器になるはずだ。
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