《視点》旧態依然
2024.10.24 06:23
提供:繊研plus
昭和型の社会保障や税の仕組みが「働き控え」を招いている。「働かなくていいなら楽じゃないか」と思うかもしれないが、仕事量は変わらない。家族の扶養内で働くパート従業員の友人は、担当する仕事が終わらないため、家に持ち帰り作業をしているという。
企業にとっても困るだろう。ただでさえ人手不足なのに、パート従業員の働き控えで工場や店舗が回らなくなる可能性がある。昨年末、ある染色工場の社長は「代わりに学生アルバイトに来てもらっている」と言っていたが、できることに限界があると、ため息交じりに話していた。
給与収入が一定額以下であれば、配偶者年金の受け取り、保険料の負担なしでの医療の保障、税の軽減などが受けられる。そのため、家族の扶養内で働くパート従業員は〝年収の壁〟を超えないよう調整しなければならない。時給が上がると、働ける時間は減ることになる。
全国の都道府県で、最低賃金が今月から順次引き上げられているが、良いことばかりではなさそうだ。時代に合わせた制度改革が急がれる。
(坂)
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