《トップに聞く》中国・毛紡績コンサイニーグループCEO ボリス・シュエ氏 毛紡績でイノベーション
スパイバーとの提携などで注目される中国・寧波の毛紡績大手、康賽妮集団(コンサイニーグループ)。日本法人を今年設立し、初めて総合展も開いた。
(高田淳史)
設立から今年で25周年。カシミヤを中心にした高級糸が軸で、ラグジュアリーから有力カジュアルまで70~80のブランドと幅広く安定的に取り組めています。
中国では人件費が高騰し、人材の確保が難しくなっていますが、イノベーションで紡績業で成長します。17年に新棟を建て、全てをAI(人工知能)・ロボットが行う無人工場を作りました。独シーメンスグループと一緒に毛紡績の自動化に挑戦し、今では紡績工程だけでなく、トラックへの積み込みまで全て自動化し、24時間稼働しています。既に2億ドルを投資し、フル稼働する際には、あと2000万~3000万ドル投資します。既存工場と比べて、生産効率は2倍で、人件費は95%減、電力は35%減、CO2(二酸化炭素)排出も35%減らせる計算です。既存工場では以前と変わらず、1200人が働いています。
右肩上がりで成長を続けており、23年の売上高は約8億ドル。年間生産高は約7000トンで、無人工場での生産は3000トン。無人工場の稼働率は6割でまだまだ伸ばせます。難しい世界情勢ですが伸ばしたいですし、そのために準備はしています。3~5年で既存工場を含め、フル稼働の年1万トンまで増やしたいですね。
現状、全体の85%が輸出です。1番の輸出先は欧州で、米国、東南アジア向けと続きます。輸出と中国内販ともに伸ばしますが、特に市場性があるのが中国国内。競合は厳しいですが、人口が多く、富裕層も増えます。仮に対象が1億人としても市場は大きい。
良いものを求める人が増え、ECでも高級品が売れるようになっており、当社としてもロットは小さいですが、個性的なデザイナー向けが増えており、勢いを感じています。
日本にも可能性を感じ、2月に日本法人コンサイニージャパンを立ち上げました。まだまだこれからですが、総合展などをきっかけに伸ばしたいです。
スパイバーと連携し、人工たんぱく質「ブリュード・プロテインファイバー」(BP)を含んだ素材開発を決めました。リサイクルやサステイナブルを実現する新素材を扱うことが重要だからです。カシミヤなど高級獣毛とBPを複合した多様な素材を共に開発し、欧米のラグジュアリーブランドからファストファッションまで幅広い市場に向けて販売します。カットソーアイテムから重衣料まで幅広く活用できる素材を揃えます。当社の高度な紡績技術を生かし、ブリュード・プロテイン100%の素材も開発します。
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