《めてみみ》物欲は気温に勝る
2024.10.04 06:24
提供:繊研plus
「Tシャツの正価商品は苦戦し、秋冬物がよく売れた」。都心百貨店のメンズ自主編集店で聞いた。訪れたのは9月下旬。猛暑が続いており、秋冬物は動いていないと思い込んでいたので驚いた。ツイードのコートやブルゾン、モヘヤニットなど厚手の商品や、長袖のシャツやスウェットが売れているという。9月の売り上げは前年同月比、予算比ともに大幅増となった。
売れている理由は「今、買わないと無くなるから」だ。国内外デザイナーブランド中心の品揃えで、各商品の数量はそれほど多くない。買いそびれないようにSNSで発売日や入荷日を調べて、それに合わせて来店、購入している。こうした買い方は20代前半が中心ながら、40代もいるそうだ。
話を聞いて思い出したのが、90年代後半のメンズカジュアル個店やオリジナル商品の流行。希少な個店オリジナルを求めて、裏原宿など各地、各店で10~20代男性の行列が出来ていた。当時あった個人売買情報誌には「ナイキ」などと同様に裏原宿かいわいのショップを中心とする「買いたい」商品情報も多く、ヤング層の物欲があふれていた。
当時と比べると20代全体のファッション消費への関心度は低いかもしれないが、ファッション好きは必ず一定数いる。そんな彼らの「欲しい物を手に入れたい」という物欲は、気温・気候に全く左右されていない。
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