25年春夏ミラノ・ファッションウィーク シアーとふんわりのコントラスト
【ミラノ=小笠原拓郎】25年春夏デザイナーコレクションは、ニューヨーク、ロンドンを経てミラノへとラウンドを進めた。初日から有力ブランドのショー、プレゼンテーションが相次いだ。
(写真=フェンディは大原広和)
フェンディはチュールの透け感と、ベルベットやスエードタッチの膨らみと光沢のコントラストで見せる。エレガントなドレスをワークブーツと組み合わせて、軽快でロマンティックに仕上げた。ストレートシルエットのチュールドレスはグラフィカルな装飾がのせられる。
スタンドカラーのシャツは共地のオーバーベルト、シャツドレスはバックにボリュームをたっぷりと取って、後ろから見るとセットアップのように見せる。タンクドレスやカーディガンとブルマーのセットアップは、ナチュラルカラーと相まってシンプルな表情。白、オフホワイト、ナチュラル、ミントグリーンのすっきりとした色使い。シアーとふんわりの二つの素材感で、シンプルな中に繊細な美しさを閉じ込めた。
マルニのショー会場には様々な方向を向いた椅子が並んでいる。ピアノの三重奏とともに、モデルたちはその椅子の間を縫うように不規則な動きで歩き回る。不織布を畳んで作ったような帽子、スクエアショルダーのジャケットやビッグショルダーのブルゾン、半袖のカフを折り返した白のシャツ、サイズと色でメリハリを付けたスタイルが充実する。スウェットを羽織ってケープレットのように着こなすスタイルやフロントとバックを逆さまにした着こなしなど、ボリュームのコントラストとともにスタンダードにひねりを加えていく。モノクロのバラのプリントドレスは、やがてカラフルな色やバラのスパンコール刺繍のドレスへと発展していく。手作りのクラフト感とボリュームの違和感を取り入れながら、それを何とか調和させていくイメージ。ピアノのどんどんと不協和音になっていく演奏の一方、服は不思議なバランスで何とか調和を保ち続けた。
MSGMは、青い砂を敷き詰めた会場で軽やかな夏のムードをはらんだコレクションを見せた。豊かな自然を描いた絵画をプリントしたドレスや建築の要素を取り入れたグラフィックドレスがキーアイテム。そこに、夏の海のきらめく光を思わせる装飾をきらきらとしたスパンコールで描く。草花を描いた絵画は、マッシモ・ジョルジェッティの友人でもあるルカ・デ・ガエタノによるもの。グラフィカルなテープをコントラストにしたドレスは、マリオ・ベリーニの椅子からイメージしたものだ。ギャザードレープとアシンメトリーなフリル、ペプラムディテールを利かせたドレスやトップも充実した。
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