アフターコロナのNYリテール事情② ニューヨーカーのグルメ化現象
食の位置付け高く
前回ニューヨークで空前の抹茶ブームが起きていることを紹介しましたが、健康的な理由で食の選択肢を増やすだけでなく、ニューヨーカーがグルメ化する現象も同時に起きています。昨年11月には、イタリア食材のスーパーマーケットとカフェ、レストランを併設したEATALY(イータリー)のマンハッタン3店目がソーホーにオープンしました。
最寄りのスーパーで必要な物をすべて買い揃えるのがこれまでのスタンダードだったのに対し、現在は複数店舗に足を運んで買い物をする人が増えています。例えば、野菜や果物はファーマーズマーケット、スモークサーモンは「ゼイバーズ」、魚は「シタレラ」といったように、最もおいしい物を提供する店に行くことに時間をより多く使うようになっています。食が日常生活の中でより重要な立ち位置になってきているのです。
東海岸で約100店を展開し、質の高い食材や総菜で人気のスーパーマーケットチェーン「ウェグマンズ」も昨年10月にマンハッタンに初の大型店舗をオープンしました。オープンキッチンで調理した出来立ての総菜や新鮮な食材、地下には豊洲から週2回空輸で仕入れる魚屋まで併設されている特別店舗で、いつも多くの人でにぎわっています。
姿消す街角のデリ
ニューヨークにはかつて、あちこちに小規模のデリがあり、外に積み上げられた果物や季節の花などとともにそれが街の景観を構成する重要な要素の一つでもありました。しかし、価格や食品の安全性、質を求める人の増加により、小規模店舗は姿を消し、現代の消費者の求めるものを魅力的な価格で提供できる大型スーパーに置き換わり始めています。
今や、ニューヨークのどこにいてもおいしいコーヒーを飲むことができ、おいしいパンやデザートも手に入ります。おいしいと評判の店には長蛇の列ができているのです。
つい10年前まで、ニューヨークではアイスコーヒーすら提供する店がなく、気軽にコーヒーをテイクアウトするならスターバックス一択でしたが、この数年いったん収まったかに思えたスペシャルティーコーヒー店の増加も止まりません。日本に旗艦店を持つ「アラビカコーヒー」や英国発の「ウォッチハウスコーヒー」など海外からの参入も続いています。いずれも他とは一線を画すブランディングで、印象的な店舗デザインと独自のメニューで人気を集めています。
また、食料品の即日配達サービスを運営する「インスタカート」では、人気店を含む対象店舗が年々増加。アジア食材やオーガニック食材など、特定のカテゴリーのものをオンラインでお取り寄せをする人も増えています。
(リテールリサーチャー・江原理恵)
【連載】アフターコロナのNYリテール事情
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