メンズ「F・O・Bファクトリー」 長く楽しめるこだわりの物作り
ジーンズカジュアルメーカー、スタジオエクリュ(岡山県倉敷市)の「F・O・Bファクトリー」が、売り上げを堅実に伸ばし続けている。メンズ主力で、素材の段階から日本製にこだわり、ベーシックなデザインで、長年楽しめるのが同ブランドの魅力だ。輸出が着実に伸びて増収を続けており、前期(24年6月期)のブランド年商は約4億円になった。
(小畔能貴)
代理店任せにしない
24年6月に出展したパリの合同展「マン」は、「パリ五輪の影響で来場者が少なかったが、過去最高の受注額」(礒野誠司代表)となった。出展を続けて7回になる。かつては代理店を活用していたが、「代理店任せだとなぜ売れたのか、売れなかったのかが具体的に分からない」ことから、自社で直接取引する形に切り替えた。
オリジナル素材を意欲的に活用し、海外ではできない日本の物作りも生かすことで、輸出は売り上げの6分の1を占めるまでになった。輸出先は欧州が最も多く約30軒。続いてアジア、米国となっている。
今後は自社工場を作る計画もある。国内製造業の生産能力が縮小気味の中、「将来的に自社でもある程度物作りが出来なければ」という危機感があることに加え、「物作りの様子を、台所のように発信することで海外への有効なアピールになるのでは」という考えも背景にある。
三方良しを重視
同ブランドは、「協力工場、小売店との〝三方良し〟を重視し続けてきた」。ビンテージをベースにしたベーシックなデザインで、素材から作り込んだアイテムを定番として持つことで、それも実現しやすい。複数ある定番は、バイオーダーの生産ではなく、工場の閑散期を含めて自社リスクで作り込む。これによって、協力工場の稼働率が上げられ、小売店の追加発注にも対応が可能になっている。
長く利用することで生まれる経年変化もブランドの魅力だ。緯糸をベージュにすることでよりそれが楽しめるようにしたオリジナルのデニムアイテム、ロープ染色ではなくかせ染めを採用したシャンブレーシャツ、日本最初の力織機「G3」による独特の素材感が魅力のデニムアイテムなどがある。
25年春夏物では、ヘンプ素材を活用したパンツや、インディゴのガーゼなどを使ったシャツなどを新作として打ち出す。
経糸に綿、緯糸にヘンプの太番手で織ったダックを使ったファティーグパンツは、製品染めやストーンウォッシュでラフな表情に仕上げ、ビンテージのミリタリー物に付いている13スターボタン(メタルボタン)を採用する。ネイビーと生成りがあり、税抜き2万3000円。
シャツは、インディゴのダブルガーゼで柔らかい風合いに仕上げたオープンカラーシャツ(1万8000円)のほか、ネップ入りデニムのベースボールシャツ(同)などがある。
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